2018年4月9日月曜日

自衛隊明記すれば徴兵制が合憲に

「九条の会」は7日、安倍9条改憲を許さない3000万人署名達成をめざし、改憲発議を阻止し安倍内閣を退陣に追い込もうと、1000人規模の集会を開きました

 集会で、憲法学者の山内敏弘・一橋大名誉教授は、自衛隊が憲法に明記されれば憲法上の公共性を持つ、そうなると自衛隊の役務は『公共の福祉』に合致するので、国民兵役に服させることは、何ら『公共の福祉』に反しないことになり、徴兵制が合憲になると述べました。

 小森陽一・東大教授は、「必要な自衛の措置をとることを妨げず」とした自民党案が成立すれば、無制限の集団的自衛権を認めることになり、自衛隊の存在が9条2項(戦力不保持)の制約の及ばない「例外規定」になると述べました。
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 九条の会
自衛隊明記で「徴兵制が合憲に」 東京で集会
毎日新聞 2018年4月7日
 安倍晋三首相が憲法改正に強い意欲を示す中、改憲に反対する「九条の会」は7日、1000人規模の集会を東京都北区で開いた。同会の世話人で憲法学者の山内敏弘・一橋大名誉教授は、自民党の条文案通りに自衛隊の存在を9条に明記すれば、「徴兵制が合憲になる」との見解を示した。

 集会は改憲発議の阻止を目指して開催された。憲法学者ら9人が壇上に立ち、自民党案の問題点や今後の運動の進め方などを報告した。
 冒頭、小森陽一事務局長が自民党の条文案について問題提起。自民党案は「9条の2」として「国及び国民の安全を保つために必要な自衛の措置をとることを妨げず、そのための実力組織として(中略)自衛隊を保持する」との条文追加を提案している。
 これに対し、小森事務局長は「日本語をゆがめた形で自分たちの意図を実現しようとしている」と批判。「これまでの自民党の主張によれば『必要な自衛の措置』には集団的自衛権も入る。自民党の改憲案にどれだけ危険な内容が含まれているか、多くの国民に伝えなければならない」と訴えた。

 続いて、同会の呼びかけ人と世話人がリレートークを行った。
 世話人の山内名誉教授は、自衛隊の存在を明記することによって、なぜ徴兵制が合憲になるかを説明。「これまで徴兵制が違憲だと言われてきた理由は、憲法の定める『公共の福祉』に合致しないからだが、自衛隊が明記されれば、憲法上の公共性を持つ。従って自衛隊の役務は『公共の福祉』に合致し、(国民への)役務の強制つまり兵役に服させることは、何ら『公共の福祉』に反しないことになる」と述べた。

 リレートークでは、「単に自衛隊を合憲にするだけなら賛成してもいいのでは」との質問にどう答えればいいかの提案もあった。憲法学者の愛敬浩二・名古屋大教授は「現状を『1ミリも変えない』改正なら本当に必要なのか、逆に質問してほしい」と呼びかけた。改正のための国民投票が衆院選並みに600億円超かかるとみられるためだ。

 さらに愛敬教授は、集団的自衛権の行使を巡り、過去と現在の政府解釈が異なったり、最近は敵基地攻撃にも使える空母の保有構想が出たりしていることから「『現状』は次々に変わる。『1ミリも変えない』憲法を本当に作ることができるのか」と疑問を呈した。

 作家の澤地久枝さんは、改憲を目指す安倍政権に抗議するため、14日午後6時から国会正門前で行う「キャンドルデモ」への参加を呼びかけた。2004年に九条の会が設立されて以降、呼びかけ人の一人として発言してきた澤地さんは「このままではアメリカと一緒になって戦争をする国になる。この国から1人の戦死者も出してはならない」と語った。【沢田石洋史】


九条の会が集会 改憲阻止し安倍内閣退陣を
3000万署名やりきろう
しんぶん赤旗 2018年4月8日
 「九条の会」は7日、安倍9条改憲を許さない3000万人署名達成をめざし、署名運動を大きく広げて改憲発議を阻止し、安倍内閣を退陣に追い込もうと、東京都内で集会を開きました。自民党が9条改憲の条文案を示したもとで、呼びかけ人と世話人は、海外での無制限の武力行使が可能になる危険を指摘。安倍政権が公文書の改ざんや隠ぺいの問題で大きく揺らぐなか、全国津々浦々で署名を集める人たちから「改憲発議の阻止は、安倍政権にとどめを刺すたたかい」などと決意が語られました。

 事務局長の小森陽一東大教授は、「必要な自衛の措置をとることを妨げず」とした自民党案が、無制限の集団的自衛権を認め、自衛隊の存在が9条2項(戦力不保持)の制約の及ばない「例外規定」になると告発。「この危険な内容を対話で国民に伝えることを通じて、断固として3000万人署名をやりきろう」と呼びかけました。

 呼びかけ人で作家の澤地久枝さんは「安倍首相を政権から引きずりおろし、9条を守ろう。9条を守ることは、憲法全体を守ること」と訴えました。

 世話人の発言では、山内敏弘・一橋大学名誉教授が、自衛隊明記によって「自衛隊が憲法上の『公共性』をもち、国民はさまざまな形で軍事への協力を強制される」と指摘。徴兵制や人権制約まで合憲化される危険を挙げ、「9条を生かした社会をつくろう」と述べました。

 池内了・名古屋大学名誉教授は、安倍政権による武器輸出や軍学共同を食い止める運動が力を発揮していると語り、「運動を強めれば9条改憲阻止は可能だ。粘り強く大運動を」と訴えました。

 ドイツ文学翻訳家の池田香代子さんは、隠ぺいや改ざんをしながら安倍政権が居座り続けていると批判し、「うそつきには、憲法に指一本ふれさせない」と力を込めました。

 草の根の活動報告では、北海道から沖縄まで各地域の九条の会のメンバーが登壇。「今かつてない9条の危機で多くの人が立ち上がっている。戦争法廃止の2000万人署名を上回るペースで進んでいる」(埼玉)、「東北六県首長の会連合で、3000万人署名に全面賛同し、これを持って安倍政権にとどめを刺していくアピールを発した」(首長九条の会)など、たたかいの広がりと決意を語り、会場いっぱいの拍手に包まれました。

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写真)各地からの発言を聞く集会参加者=7日、東京都北区