2018年2月22日木曜日

働き方改革関連法案は 経営・財界の利益のため

 働き方改革関連法案は、22日午後安倍首相も出席して集中審議を行うことで与野党が正式に合意しました
 その一方で、同法案を「今国会で成立させる」方針を自公が確認したということです(NHK)。

 安倍政権はこれまで、特定秘密保護法、集団的自衛権の行使を含む安保法制、戦前の治安維持法に匹敵する共謀罪法と、いずれも人権を著しく抑圧する悪法を成立させてきました。
 そして今度は、戦後営々と築いてきた労基法と労働規制法による労働環境を一挙に破壊して戦前に回帰させる「働き方改革関連法案」を、強引に成立させようとしています。
 政府が、経営・財界が儲けを更に拡大するためには、労働者の生活が破壊されてもいい、彼らの生活が一生向上しなくてもいいと考えているわけです。

 働き方改革関連法案・・・特に裁量労働制の拡大を痛烈に批判する3つのブログを紹介します。
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捏造データに官邸は関与していないというのなら、
安倍氏には誰が指示したのか明らかにする責任がある。
日々雑感 2018年2月21日
 安倍晋三首相は20日午前、衆院予算委員会の集中審議で、裁量労働制の労働者と一般労働者の労働時間に関するデータ比較が不適切だった問題について「私や私のスタッフから指示をしたことはない」と述べ、データ作成への首相官邸の関与を否定した
(以上「毎日新聞」より引用)

 総量労働制の捏造労働時間データに官邸は関わっていない、と安倍氏は釈明したという。それなら捏造データに基づいて三年も審議会を重ねた責任者を処分すべきが筋ではないか。
 それとも官邸の意向を「忖度」してデータを捏造した官僚は「愛い奴ウイヤツ」だからドコゾの長官に栄転させなければならないと、厚労省の人事表を取り寄せて検討しているのか。なぜお粗末な捏造データに基づく法案を恥じて、政府は撤回を明言しないのだろうか。

 しかも問題なのは一括審議としてパートやバイトなどの関係法案までまとめて審議していることだ。これほど悪辣な政権がかつてあっただろうか
 戦後営々として築き上げてきた労働規制法を小泉政権以降、自公政権は破壊し続けてきた。そしてついに残業時間も含めて労働時間に関する基本的な規制までも「総量労働制」という名の下に撤廃しようとしている。国会議員はもとより、なぜ労働界はゼネストまでも含めた抗議活動を展開しないのだろうか

 エグゼクティブの限定法だからと残業無料法を放置したが、年収制限などアッという間に引き下げられて一般労働者にまで拡大されるのは消費税を見れば明らかだろう。労働組合幹部からなる連合はそうした学習効果すらない、愚かな連中の集まりだろうか。

 そしてマスメディアは官邸が関与していないというのなら、捏造データを持ち出した「犯人」は誰なのか追及すべきだ。第三の権力たる報道の自由を発揮すべき場面はまさしくここではないだろうか。腐り切った言論界も人材を総入れ替えしなければならないだろう。


裁量労働制のデータ〝ねつ造〟~ 立法化の裏に「財界のリクエスト」
    東海林  レイバーネット 2018年2月21日
(労働ジャーナリスト)     
 法大の上西教授が完膚無きまであばき、政府・厚労省もデータを撤回したけど、政府は「ごめん」で済まそうとしている(事実、官房長官菅は、『法案提出、成立の方針にまったく変わりはない』といつのものごとくだ)から、言っとく。
 「(数字のねつ造は)意図的ではない」と厚労キャリアは言っているけど、意図的であろうが(や、もちろん意図的であったら大問題だけどさ)なかろうが、政府・与党が主張してきた〝立法事実〟が、虚飾であり存在しなくなったのは動かない事実。立法事実がなくなった法律を国会に提出するなら、不誠実どころの話しではなく、政府の政策の正当性が厳しく問われる。ここで突っぱねて出し続けるのなら、この改正の立法事実は〝残業代払わないで長時間労働を可能にする制度を作れ〟という財界のリクエストだということだ

 思い返しても、首相・安倍は働き方改革を決して「労働者の健康維持、福祉の向上のため」とは言わない。彼は一貫して「最大の成長戦略」と言い放ってきた。労働者の命を縮める制度を、そうでないと言いくるめるために、これらのデータを使ってきた。安倍・政府は、今回の問題は「厚労省のミス」と開きなおっているが、1月29日の予算委で首相・安倍は、聞かれてもいないのにこのデータを示し、裁量労働制の方が労働時間が短いとアピールしたのだ。まさに、政府がこの法改正の立法事実をここに求めていたことは明らかだ。
 繰り返して言うが、立法事実のなくなった改正案は害悪でしかないのだから、早いところ撤回すべきだ。もちろん、裁量制と同等、それ以上にタチの悪い高度プロフェッショナル制度(残業代ゼロ制度・過労死促進制度)の撤回も忘れるな。(2/20 同氏のFBから)


裁量労働制データ捏造  厚労省当局者「官邸に忖度した」
田中龍作ジャーナル 2018年2月20日
 「裁量労働制で働く方の労働時間は、一般労働者よりも短いというデータもある」と安倍首相が答弁し、後に撤回した問題
 調査票の回収に携わった経験のある厚労省当局者が、田中龍作ジャーナルの取材に「(データは厚労省が官邸の意向を)忖度したのだろう」と明らかにした

 問題のデータは、2013年に厚労省が実施した「労働時間総合実態調査」。一般の労働者には「残業時間が最も長かった日」を、裁量制労働者には「通常の勤務時間」を聞いた。
 裁量労働制の方が、残業時間が短くなるように仕組まれた調査だったのである。
 調査があったのは2013年4月。同年6月に政府は裁量労働制の拡大に向けての戦略を閣議決定した。厚労省は政府の方針に沿った調査結果を出すように暗に求められていたのである。
 厚労省の職員は若い頃、研修で地方の労基署で1~2年勤務する。財務官僚が税務署に赴任するのと同じだ。
 趣旨の違う2つの質問だったのに、回答をわざわざ1つのデータにした・・・前出の厚労省当局者は「(役人が)こんな初歩的なミスをするはずがない」と苦笑する。
 厚労省は6野党合同ヒアリングに対して「裁量労働の方が残業時間が短い」とする姿勢は崩していない。
 厚労行政に詳しいある野党議員は「本当のデータを出せばクビになるから、ウソを出すしかないんですよ」と喝破した。
〜終わり~


働き方改革関連法案 今国会で成立目指す方針 自公が確認
NHK NEWS WEB 2018年2月21日
自民・公明両党の幹事長らが会談し、安倍総理大臣が裁量労働制で働く人の労働時間に関連した国会答弁を撤回したことも踏まえ、働き方改革の関連法案の内容が適正かどうか厳正に与党内で審査したうえで、今の国会で成立を目指す方針を確認しました。

この中で、働き方改革の関連法案について安倍総理大臣が裁量労働制で働く人の労働時間に関連した国会答弁を撤回したことも踏まえ、国会への提出前に与党内で法案の内容が適正かどうか厳正に審査することで一致しました。そのうえで「国民の生活と極めて関係の深い重要法案だ」として今の国会で成立を目指す方針を改めて確認しました。
また、衆議院予算委員会で審議している新年度・平成30年度予算案について、来週27日の衆議院通過を目指すことで一致しました。
(後 略)