2018年2月5日月曜日

05- 識者も批判 裁量労働制拡大狙いの欺瞞

 安倍政権が掲げる「働き方改革」の関連法案の目玉は「裁量労働制の拡大」です、「残業代は支払われないものの、労働者が働く時間を自由に決められる」という謳い文句はとても信じられません。もしもそれを文字通りに行う企業があるとすれば、それは余程特殊な企業です。

 厚労省が2013年に実施した「裁量労働制等に関するアンケート調査」によれば、約2割が「不満」「やや不満」と回答し、その理由は「労働時間が長い」(432%)が圧倒的で「業務量が過大」も402%でした。要するに企業は早く帰れるようなノルマの与え方はしないということです。
 また「給与が低い」という回答は332でした。それは「残業代がつかない」からで、そこにこそ企業の真の狙いがあるわけです。

 厚労省が所管する独立行政法人「労働政策研究・研修機構」が145月に公表した裁量労働制の調査でも、<仕事の進行中に追加の仕事が命じられる頻度>が高く、会社に拘束される状況はほぼ変わらないという結果になっています
 経済ジャーナリストの荻原博子氏は、「裁量労働制は、企業にとって都合の良い“定額働かせ放題制度”」と言っています。それが真実なのでしょう。

 日刊ゲンダイの記事を紹介します。
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識者もブーイング 安倍政権「裁量労働制」拡大狙いの欺瞞
 日刊ゲンダイ 2018年2月3日
「合法的に残業代を支払わないで労働者に残業を強いる(制度だ)」
 2日の衆院予算委で、立憲民主の西村智奈美議員が声を荒らげた「裁量労働制の拡大」。安倍政権が掲げる「働き方改革」の関連法案の目玉だ。西村の質問に対し、加藤勝信厚労相は「(裁量労働制が)不当に適用されている事例がある」と認めつつも、「多様な働き方の実現で長時間労働を是正する」とノラリクラリだったが、まったく冗談じゃない。
 残業代は支払われないものの、労働者が働く時間を自由に決められる――とされている裁量労働制。だが、これはあくまで原理原則。タテマエであって現実はそうなってはいない。

 厚労省が2013年に実施した「裁量労働制等に関するアンケート調査」。現行の裁量労働制のもとで働く労働者(1303人)に対する調査結果をみると、約2割が「不満」「やや不満」と回答しているのだ。しかも、不満の理由では「労働時間(在社時間)が長い」(43.2%)が圧倒的で、ちっとも長時間労働の是正になっていないのが分かる。
「業務量が過大」も40.2%で、「給与が低い」も33.2%だ。厚労省が所管する独立行政法人「労働政策研究・研修機構」が14年5月に公表した裁量労働制の調査でも、<仕事の進行中に追加の仕事が命じられる頻度>について、「たまにある」「日常」と答えたのは、「専門業務型裁量制」で87.7%、「企画業務型裁量制」で91%。「通常の労働時間制」(88.4%)と比べて、会社に拘束される状況はほぼ変わらないというワケだ。

■実態は残業代の削減と長時間労働の助長
 厚労省は、裁量労働制が適切に運用されているか調べるため、全国約1万3000の事業所を対象に自主点検を求め始めたが、企業に悪用されるかもしれない制度を拡大しようなんて、安倍政権はどうかしている。経済ジャーナリストの荻原博子氏がこう言う。
「裁量労働制は、企業にとって都合の良い定額働かせ放題制度”。政府は労働者の生産性を高めるために『働き方改革』と言っていますが、やっていることは残業代の削減と長時間労働の助長です。経営者に労働の合理化や効率化を考えさせる制度でなければ、生産性なんて上がりませんよ」

 安倍首相も麻生財務相も世襲議員として生まれた時からカネを稼ぐのも仕事も苦労ナシ。汗水流してマトモに働いて収入を得たこともないから、「働く」ということがまるで分かっちゃいない。だから、こんなバカな法案を「働き方改革だ」と平気で言っている。オツムの弱い2人が総理、副総理なんて国民は本当に不幸だ。