2018年1月12日金曜日

米・北の対話路線化に日本だけが・・・(日々雑感)

もう一度ゆっくり言ってくれないか 核持つ国が持たせぬ理由
 これは.1218日の 朝日新聞 川柳欄に載ったものです。

 米国大統領府の元メンバーのバノン氏は極右の人ですが、北朝鮮との戦争には絶対に反対でした。
 その彼とも断絶したトランプ大統領が、北朝鮮がICBMを完成させる前に、「北朝鮮を叩こうとしている」という記事を見掛けるようになりました。

 米・朝戦争になれば韓国民が百万人単位(在韓邦人含む)で戦禍の犠牲になり、日本国民も十万人単位でミサイル攻撃の犠牲になると言われているので、さすがに米国は戦争を強行しないだろうというのがこれまでの見方でした。しかし、米本土の安全を守るために韓国や日本の受けるダメージは度外視して開戦する、というのがトランプ氏の真意ではないかという観測が強くなっています。

 開戦前には当然在韓の米民間人は退去することになり、米軍はその手段を持っていますが、日本には何の手段もありません。もしも原発の燃料プールが攻撃されれば、広島型原発数千発分のウランによって放射能汚染される被害の深刻さは測り知れません。
 そうしたことへの対策は何も持たないまま、安倍首相はひたすら米軍の強硬姿勢を煽っています。

「日々雑感」氏は、トランプ大統領韓国の文在寅大統領との電話会談で、「適切な時と状況がそろえば北朝鮮と対話する用意があると表明したことをとらえて、「もしも韓国民に百万人単位の犠牲、日本国民に十万人単位の被害が生じるのを度外視して、米国が攻撃を開始すれば、日・韓国民の間に湧き起こる反米感情から、米国は極東の足場を失うことになる。だから開戦はないだろう(要旨)」と述べました。是非そうあって欲しいものです。

 ところで、米朝会談に入るためには北朝鮮が核を放棄することが前提というのが米国の主張ですが、北朝鮮が国家の存続のためにそれだけは絶対に受け入れないことも明らかです。相手が受け入れられないことを会談開始の条件にするというのはそもそもが矛盾です。
 逆に内政干渉をせずに国家を存続させる保障が得られれば北朝鮮は核を放棄する筈ですが、その永久的な保障を与える具体的な方策など誰も持っていません。

 そうであれば、何故米国は核兵器を持ってもよいが北朝鮮はダメだということを、北朝鮮に分かりやすく説明する必要があります(もしもそれが可能であれば)。勿論、国連決議に反するからというのは何の説明になりません。

 日刊ゲンダイの「北との緊張緩和は五輪まで 米国は3月開戦に準備着々」の記事も併せて紹介します。
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米国の北朝鮮との対話路線に日本だけが置き去りにされる日。
日々雑感 2018年1月11日
 ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は、韓国の文在寅(ムン・ジェイン、Moon Jae-In)大統領との電話会談で、北朝鮮と対話する用意があると表明した。ホワイトハウス(White House)が10日、発表した。その一方、両首脳は北朝鮮の核開発をめぐり「最大限の圧力」をかけ続ける方針で一致したという。
 会談内容は韓国側が先に発表しており、サラ・ハッカビー・サンダース(Sarah Huckabee Sanders)米大統領報道官がそれを確認した。

 会談でトランプ氏は、「適切な時と状況」がそろえば北朝鮮と対話する用意があると表明。ただサンダース報道官は、「両首脳は北朝鮮に最大限の圧力をかけ続けることの重要性を強調した」とも述べている。

 米韓両政府によると、文氏は電話会談で、9日に行われた南北閣僚級会談についてトランプ氏に説明した。南北間の公式対話としては2年ぶりに実施された同会談で、北朝鮮側は、来月韓国で開幕する平昌冬季五輪への選手団派遣に同意していた。

 ホワイトハウスによれば、トランプ氏は文氏に対し、マイク・ペンス(Mike Pence)副大統領が平昌五輪で米代表団の団長を務めると説明した。匿名で取材に応じた米政府当局者の話によると、ペンス氏は五輪出席に合わせ、米アラスカ州の「大陸間弾道ミサイル(ICBM)防衛システムを視察」するほか、日本を訪問する
(以上「AFP」より引用)

 金正恩氏が米国を攻撃する核のボタンは机の上にある、と脅せばトランプ氏が「私も核のボタンを持っている。ただしそれは北朝鮮のものよりも大きくて強力だ」と餓鬼じみた応酬をしていたが、9日の南北官僚協議を受けて米国も北朝鮮との会談に応じる用意があると表明した。
 米国は米国の軍産共同体を維持し利益を上げるためには切れ間なく戦争が必要だ。ただし米国本土に戦塵が及ばない、という前提で、だ。そこで陳腐化した兵器を廃棄し、新兵器の実験を行うためだ。しかし戦線を広げ過ぎると米国の手に余ることになる。

 米国が北朝鮮と戦端を開くと極東の軍事バランスが激変する恐れがある。もちろん中・ロとの戦勝国クラブの仲間内で鍔迫り合いを演じかねない状況になるのもさることながら、最も危惧すべきは韓国民が百万人単位で戦禍の犠牲になり、日本国民も十万人単位でミサイル攻撃の被害として死亡すれば、韓国と日本で反米運動が勃発しかねない。
 米国にとって極東の足場を失うことがあってはならない。その損失は計り知れない。対中防衛に関しても、米国は実質的に丸裸になる。中国の戦略潜水艦による直接本土攻撃を受けることを覚悟しなければならない。

 日本のポンコツ軍事評論家たちがXデーは○日だ、とyou tubeなどで賑やかに断定しては外していたが、米国にとって何ら益のない北朝鮮を殲滅する軍事行動を取るとは到底思えない。北朝鮮は存在してもらわなければならない「敵国」だからだ。
 北朝鮮の脅威があるから大きな顔をして朝鮮半島沖に空母を展開できるし、日本の国土をすべて我が物顔でタダ同然で利用できる。これほど美味い話があるだろうか。しかも日本政府は言い値で米国製のポンコツ兵器を無制限に購入する。米国の軍産共同体が日本市場を手放すわけがない

 だから、北朝鮮には存続して欲しい。ただし米国民を「核攻撃するゾ」と脅さないでくれるかな、と思っているのも確かなことだ。しかし米国本土を攻撃するかも知れない確率は北朝鮮よりも中・ロの方が格段に高い。
 核クラブの仲間だといっても、中・ロも米国と同様に軍事力で他民族を制圧し国土に繰り込んできた。同様の手法で米国本土までも丸ごと版図にしようという野心が丸っきりないとはいえない、と米国政府が考えてもおかしくない。人は自分の観念で相手を観るものだからだ。

 米国は北朝鮮と対峙しているように見えて、実は中・ロと対峙している。ことにロシアとの関係が暴露されて窮地に陥っているトランプ氏は対ロ政策で手を緩めるわけにはいかない。もちろんロシアの承諾なしに北朝鮮を電撃攻撃することもあり得ない。
 核を廃棄しないままで、北朝鮮と「和解」をするしか米国の採るべき道はない。米国本土への運搬手段のICBMさえなければ核攻撃の恐怖から解き放たれるわけだから、ICBM技術の廃棄と製造工場の破壊で手を打つのではないだろうか。

 日本にとっては悪夢が続くわけだが、そんなことは米国の知ったことではない。米国の軍産共同体に継続して利益がある構造さえ崩れなければ米国政府は万々歳だ。こうした現実の外交のありようを、なぜ日本のマスメディアは日本国民に報せないのだろうか。安倍氏の北朝鮮の脅威を煽るプロパガンダ戦略に乗って日本国民を誘導することにシャカリキの日本のマスメディアは腐り切っている


北との緊張緩和は五輪まで 米国は「3月開戦」に準備着々
 日刊ゲンダイ 2018年1月12日
 9日、韓国と北朝鮮の高官級会談が開催され、北朝鮮が平昌冬季五輪に選手団と応援団を派遣することが決まった。南北の友好ムードが高まったことで、米国と北朝鮮の緊張状態が和らいだかに見えるが、実際には全然違う。米国は“3月開戦”に向けて着々と準備を進めている。

 北朝鮮側は韓国サイドとの高官級会談で、「五輪参加は韓国側へのプレゼント」と発言。ニンジンをぶら下げて引き出そうとしたのは、米韓合同軍事演習の中止だ。
「米韓は例年、2~4月に野外機動訓練『フォールイーグル』と指揮系統を確認する『キー・リゾルブ』、8月にコンピューターシミュレーションによる机上訓練中心の『乙支フリーダムガーディアン』を実施します。その中には北朝鮮高官の“斬首作戦”も含まれている。金正恩委員長は演習を極度に恐れているといわれています」(軍事ジャーナリスト)

 米国はとりあえず五輪期間中の合同演習を延期するとした。演習の延期は1992年以来26年ぶり。しかし、米国が譲歩したのはあくまで五輪のため。自国の選手が出場する“平和の祭典”に水を差さないようにするためだ。
 マティス米国防長官はパラリンピックが終了する3月18日以降に演習を再開すると明言しており、再開すれば朝鮮半島周辺は一気に緊迫する。元韓国国防省北朝鮮情報分析官で拓殖大客員研究員の高永テツ氏が言う。
「米国は北朝鮮の対話姿勢を“和平の申し出”どころか“米韓分断工作”として警戒しています。米国の目的はあくまで北朝鮮の非核化。それなのに金委員長は核を手放そうとしません。米国は北が非核化の対話に応じるまで『最大限の圧力』をかけ続けると思います

■すでに「軍事行動発動」を北に通告
 発売中の「文芸春秋」に、作家の麻生幾氏が執筆した「米軍攻撃『決断のとき』は三月だ」と題する衝撃的な記事が掲載されている。それによると、トランプ政権は昨年5月末までに、〈核放棄プロセスに合意しない限り、軍事行動を含むあらゆるオプションを発動する〉という“通告”を北朝鮮指導部に送ったという。

 さらに米情報機関の“総元締”DNI(アメリカ国家情報長官)は、〈北朝鮮が18年3月までに、ICBMの大気圏再突入、生物兵器弾頭ミサイル、SLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)の技術を獲得する〉と判断。 昨年7月末には北朝鮮攻撃の準備を整え、いつでも攻撃を開始する用意があるという。時期については、平昌五輪が終わった直後の今年3月が濃厚で、具体的な日程はトランプ大統領が決めるという。

「パラリンピックが終了する3月18日以降、米朝の軍事的緊張は一気に高まるでしょう。現在、点検・整備中の米原子力空母ロナルド・レーガンが3月には母港の横須賀港に戻ってきます。米軍が朝鮮半島周辺に空母打撃群3つを同時に展開できる態勢が整います。トランプ大統領がロシアゲートから国民の目をそらすために軍事行動に出ないとも限りません」(高永テツ氏)

 3月開戦に備えるためか、自衛隊の最高ポストにある河野克俊統合幕僚長の任期が今年5月27日まで1年半延長された。河野統幕長はハリー・ハリス米太平洋軍司令官と“密接な関係”を持ち、日米の軍事作戦の一体化がスムーズに運ぶと期待されているようだ。
 3月18日にはロシア大統領選も終わる。さまざまな足かせがなくなった3月下旬以降、トランプが“決断”しても不思議ではない。