2018年1月8日月曜日

こんな政権がのさばる国難 安倍1強支配に死角はないのか

 安倍首相が、森友学園・加計学園問題に何らかの影響力を行使した疑いは濃厚で、いまだに国民の7割が安倍首相の関与の疑いがあるとし、6割が通常国会での徹底追及を求めてます。
 しかしその一方で、国会が閉まってしばらく経つと、内閣の支持率が毎回4割とか5割近くまで回復してきたのは極めて不思議なことです。その意味で1月度の内閣支持率調査は注目されます。

 モリ・カケ疑惑に加えて年末には、ペジー社の斎藤元章社長が4億円余を詐取した容疑で逮捕されました(余罪も多いと見られています)。ペジー社は設立からわずか半年で国立研究開発法人NEDOからの多額な資金助成が決まり、その後も続々と合計35億円の助成を受けました。また同氏が経営する関連会社は、科学技術振興機構」(JST)から60億円の無利子融資を受けるなど、政府機関から破格の厚遇を受けています。
 そんなことが実現した背景には、斎藤氏の会社の顧問におさまっている元TBS記者の山口敬之が、安倍首相や麻生財務相と昵懇な関係であることを武器にその影響力を行使したことが考えられます。

 安倍首相のお友だち優遇と言えば、リニア中央新幹線JR東海の単独事業(全額自己負担)とされていたものが、安倍のツルの一声で財政投融資3兆円が組み込まるということがありました。JR東海のトップ葛西敬之氏は安倍応援団長=後見人として知られている人です。
 ペジー社への超厚遇といい、JR東海への3兆円財政投融資といい、モリ・カケ疑惑の拡大版なのでは・・・という連想が湧くのは避けられません。

 ペジー社の詐欺事件といい、リニア新幹線の談合事件といい、東京地検特捜部長は大いに意気込んでいると伝えられていますが、果たしてどこまで突っ込めるのか、何しろ政権には弱い検察なので安心はできません。

 安倍内閣がどんなに疑惑にまみれようともまた一筋に軍事国家を目指そうとも、支持率が高い分には安倍内閣は継続し、いまのままの政治が続きます。新しい年もまた比較的高い内閣支持率が続くのでしょうか。

 日刊ゲンダイの「こんな政権がのさばる国難 安倍1強支配に死角はないのか」を紹介します。
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 巻頭特集
こんな政権がのさばる国難 安倍1強支配に死角はないのか
日刊ゲンダイ 2018年1月7日
 国会を閉じれば内閣支持率は上がる――。疑惑まみれの安倍政権の勝ちパターンについに狂いが生じてきた。
 昨年末の特別国会閉会後に実施された朝日新聞の世論調査では支持が3ポイント減の41%で、不支持は38%。NNN調査では支持が3・3ポイント減の37・8%に下がり、不支持は45・3%に上った。支持率3割台への落ち込みは4カ月ぶりだというが、しぶとく持ちこたえてきたのが不思議なくらいだ。

 国会を紛糾させ、世論のアベ不信が高まるきっかけになったモリカケ疑惑は1年近く経った今でもくすぶり続けている。安倍首相は昨年の通常国会ではドーカツまがいの暴言連発で野党とやり合い、憲法53条に基づく野党の召集要求を4カ月以上放置した揚げ句の臨時国会は、冒頭解散で逃亡。「真摯な説明を丁寧に」と臨んだ特別国会は外遊を言い訳にロクに顔を出さず、出たら出たでゴマカシを重ねた。だから、世論の7割がモリカケ疑惑に対する安倍政権の姿勢を評価せず、6割が22日に始まる通常国会で野党の徹底追及を求めている

 そうした中で急展開しているのが、スパコン開発企業による国の助成金不正受給とリニア談合事件だ。東京地検特捜部が中心になって進める両事件には、安倍に近い関係者の名前が取り沙汰されている。
 詐欺容疑で特捜部に逮捕されたペジーコンピューティング代表の斉藤元章容疑者は、安倍と麻生財務相と昵懇な間柄の元TBS記者の山口敬之氏と関係が深い。一般財団法人を共同設立するパートナーであり、高級レジデンスの賃料も負担していたと報じられている。
 ペジー社は設立からわずか半年で経産省主管の国立研究開発法人「新エネルギー・産業技術総合開発機構」(NEDO)から最初の助成決定を受け、切れ目なくカネを引っ張ってきた。関連会社は文科省所管の「科学技術振興機構」(JST)から「産学共同実用化開発事業」として計60億円の無利子融資決定を取り付けた。詐欺で巻き上げた血税は100億円を超えるとみられている。

■あらゆる疑惑が安倍首相に通ず
 JR東海が進めるリニア中央新幹線をめぐるスーパーゼネコン4社による談合にもアベ人脈がチラつく。発注側のJR東海代表取締役名誉会長の葛西敬之氏は安倍の後見人で、財界ブレーンとして知られる存在だ。総工費9兆円の巨大プロジェクトには、安倍のツルの一声で財政投融資3兆円が組み込まれた。政治学者の五十嵐仁氏はこう言う。
あらゆる疑惑が安倍首相に通じる。こんな政治状況は異常です。9月には安倍首相が3選を目指す自民党総裁選が行われますが、これほど疑惑を抱える人物の再選を許し、この国のトップを任せ続けていいはずがない。通常国会で審議される来年度予算案では防衛費が6年連続で増加し、過去最高の5兆2551億円に膨れ上がっている。その一方で、増税や働き方改革などで国民からさらなる搾取を画策し、国民生活を破壊しようとしています」

 安倍1強支配に死角はないかのようだが、支持率がガクッと急落すれば無風再選はあり得ない。抑え込まれてきた党内の不満が噴き出し、総裁選に波乱が生じるだろう。

米下院議員が両にらみ ロシアゲートと中間選挙
 安倍が「信頼できる指導者」と心を寄せるトランプ米大統領の足元は、さらにグラついている。

 北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は米国が強める敵視政策に怒髪天で、米本土を射程に収める核・ミサイル開発に躍起だ。頭に血が上りやすいトランプは、国際社会が求める対話再開による問題解決には背を向けて「力による平和の維持」を喧伝し、国連安保理による追加制裁措置に踏み込んだ。エルサレムのイスラエル首都認定をめぐっても衝突のタネをまき散らし、世界中で総スカンを食らっている。

 CNN調査では支持率は35%。就任した年の12月のデータとしては、歴代大統領の数字を大幅に下回る。CNNやギャラップが過去50年間に実施した世論調査で、1年目の年末時点の支持率が5割を切ったのは、5代前のレーガン大統領が出した49%のみ。“子ブッシュ”のジョージ・W・ブッシュ大統領はこの時点で86%を記録し、“パパブッシュ”のジョージ・H・W・ブッシュ大統領は71%だった。カーター、クリントン、オバマ大統領も50%台後半で1年目を終えている。

 上智大教授の前嶋和弘氏(現代米国政治)は言う。
「政権の最懸案事項は、トランプ大統領のアキレス腱であるロシアゲートの捜査の進展です。大統領選でロシアと共謀した疑惑で、モラー特別検察官はどこまでトランプ大統領に迫れるのか。長男のトランプ・ジュニア氏や娘婿のクシュナー大統領上級顧問が政権移行期間にロシア側と接触した疑いは、民間人の直接外交を禁じたローガン法に反する可能性はありますが、同様のケースで有罪例はありません。しかし、選挙戦中の連携が立証されれば、国家転覆罪に問われかねない。そうなれば、11月の中間選挙をにらんで鳴りを潜める下院議員も声を上げざるを得ず、弾劾手続きが動き始める可能性はあります」

■トランプと一蓮託生、世界で孤立
 ボスのトランプの命運も分からない中、「100%支持」「完全に一致」が口癖の安倍はひたすら盲従を続けている。
「国際社会で孤立を深めるトランプ大統領を信頼に足ると評する安倍首相は、世界の信頼を失っています。安倍首相は悲願の憲法9条改正に乗り出そうとしていますが、安倍首相が言う通りに北朝鮮問題が緊迫し、半島有事が現実味を帯びているのであれば、自衛隊が米軍と一緒に戦う状況が目前に迫っているということ。日本の平和と安全にプラスに働くのか、マイナスに作用するかは中学生でも分かる。国政を私物化し、国会を空洞化させ、平然とウソを重ねるにとどまらず、平和国家の日本をぶっ壊そうとしている安倍首相、安倍政権をのさばらせることが最大の国難です」(五十嵐仁氏=前出)

 千丈の堤もありの一穴から崩壊す。あまりにうまくいきすぎた安倍政権下の5年間に鬱積した党内の不満を世論のうねりが刺激すれば、その反動で一寸先は闇の政局に突入する。