2017年12月31日日曜日

詩織さんから はあちゅうまで セクハラ被害者 働く母親へのバッシング

 恒例のLITERAの年末特集(2017年の振り返り)の一つは、「詩織さんから はあちゅうまで、セクハラ被害者、働く母親へのバッシングが頻発した“男尊女卑”の1年を総まくり」です。
 今年、海外では女優たちから「女性の人権・性暴力被害」が告発され大きな問題としてクローズアップされました。しかし日本まだ、性暴行セクハラ被害告発女性は極めて少数であるうえに、勇気ある告発をした女性や性被害を受けた女性に対して、逆に卑劣なバッシングが巻き起こされるという異常な状況にあります。
 
 そうした実態をまとめたLITERAの記事は全文が7540字に及ぶ長編(5ページ)なので、ここでは第1ページ(【その1】の部分)のみを全文紹介し、その他の部分は「抜粋文」として、該当するURLを示しました(URLをクリックすると該当する原文のページにジャンプします)。


お知らせ

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 年末特別企画 リテラの2017年振り返り
詩織さんから はあちゅうまで、セクハラ被害者、働く母親へのバッシングが頻発した“男尊女卑”の1年を総まくり
LITERA 2017年12月30日
 2017年は世界的に女性の人権、性暴力被害が大きな問題としてクローズアップされた年だった。きっかけはハリウッド大物映画プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタインの長年のセクハラが告発されたことだったが、以降、「MeToo(私も)」を合い言葉に、次々と女性たちが声をあげ、社会全体でセクハラ告発を後押ししようという空気が広がっていった。
 また「TIME」誌の“今年の人”には「沈黙を破った人」としてセクハラ告発者らが選ばれるなど、そのムーブメントは世界的な広がりをみせている。

 しかし、日本はどうだろう。性的暴行、セクハラ被害に対して告発の声をあげる女性はまだまだ少数派であるうえ、勇気ある告発をした女性や性被害を受けた女性に対して、逆に卑劣なバッシングが巻き起こるのがパターンになっている。これは、日本社会が女性は“性の道具”とする男尊女卑思想、差別的偏見にいまだ支配されているからだ。いや、「いまだ」どころか、女性への蔑視、差別的攻撃は年々ひどくなっている。

 そうした実態を再認識する意味で、2017年年末、リテラ版男尊女卑セクハラ事件簿をお届けしたい。

【その1】官邸御用記者・山口敬之の準強姦事件被害者・詩織さんに向けられたセカンドレイプ攻撃
 今年、女性に向けられた卑劣な性暴力と攻撃の筆頭といえば、やはりTBS記者で“安倍首相にもっとも近いジャーナリスト”山口敬之氏による準強姦もみ消し事件だ。TBS時代に就職の相談で会った伊藤詩織さんをホテルに連れ込み性行為に及ぶ。山口氏に対し準強姦容疑で逮捕状が発布されるが、しかし逮捕直前、警視庁の中村格刑事部長(当時)の指示で逮捕が見送られたというもの。しかも、この不可解な捜査中止の背景には安倍官邸の影がちらついていた。逮捕見送りを指示した中村刑事部長は、菅義偉官房長官の懐刀と呼ばれていた警察官僚であることや、山口氏が安倍首相の側近である北村滋内閣情報官とみられる人物にこの事件についての相談メールを送っていたことも明らかになった。

 まさに、山口氏だけでなく、山口氏をかばった警察や官邸関係者も性犯罪の加担者というべきだが、しかし、問題はこれだけではない。被害者の伊藤詩織さんが「週刊新潮」(新潮社)で告発し、実名、顔出しで告発会見を開くと、ネトウヨや安倍応援団から一斉に詩織さんに対するバッシング攻撃が起こったのだ。
「ハニートラップ」「美人局」「民進党の仕掛け」などというデマ攻撃に加え、象徴的だったのが、詩織さんの服装について「胸元のボタンを開けすぎ」などという非難が浴びせられたことだ。
 実際の詩織さんはそういう服装ではなかったが、そもそもなぜ被害者服装が糾弾されなければならないのか。
 しかし、詩織さんはこうした声に屈することはなかった。メディアの取材に対して「被害者ならこうするはず、しないはず、というように被害者としてキャラクターづけられ生きていることは絶対に嫌です」と発言。著書『Black Box』(文藝春秋)のなかでも性犯罪被害者がタブー視されることのおかしさや、捜査や司法システムの問題、そして性被害に対する意識変革を訴え続けた。
 こうした詩織さんの活動は、性犯罪被害者の女性たちを勇気づけ、日本社会の性被害への偏見を正すために大きな役割を果たしたといえるだろう。

 対照的に、事件発覚後も卑劣きわまりなかったのが、加害者である安倍御用記者の山口氏だった。会見も開かず、一時は表舞台からフェイドアウトしていたが一転、“お仲間”の極右媒体で、詩織さんに対して反論にもならない反論を展開、恫喝攻撃までおこなった
 そしてもう一人、女性の人権を踏みにじった人物がいた。事件が報じられた直後、山口氏は自身のフェイスブックでもセカンドレイプ的な反論をしていたのだが、現首相夫人の安倍昭恵氏がその記事に「いいね!」を押していたのだ。
 この事件はたまたまではない。レイプを容認するような女性蔑視の体質が日本の最高権力を取り巻く組織や人脈にまで及んでいることを証明したといえるだろう。

【その2】小出恵介淫行事件で起きた被害少女への誹謗中傷に松本人志が賛意!「相手の未成年の女にも罰則を」
 ・・・なかでも悪質だったのが『ワイドナショー』(フジテレビ)の松本人志だ。「未成年の女のほうにも罰則を作るべき」と暴言を吐き、さらに被害者少女がバッシングされている状況を「SNSとかがまんざら悪くない」「我々タレントにしたらいい時代になってきた」とまでコメントしたのだ。・・・

【その3】斉藤由貴ら女性芸能人の不倫は厳しく糾弾される一方で、宮迫博之ら男性の不倫は笑い話に
【その2と同ページ)
 日本社会の男尊女卑、不平等を語る上で、はずせないのが不倫問題だ。今年も、芸能界では斉藤由貴、上原多香子、江角マキコ、藤吉久美子、政界では今井絵理子、山尾志桜里と、女性の不倫が大々的に取り上げられ、激しいバッシングが浴びせられた。・・・
しかし、一方、男性の不倫は全く厳しく追及されない。・・・ これは社会が女性にだけ強い貞操を求め、男性の不倫は“芸の肥やし”“誰でもする”という肯定論、寛容論が根強く存在するからだ。・・・

【その4】今年も政治家のセクハラ事件が続発!安倍内閣の閣僚もハレンチ事件の前歴もつ差別主義者だらけ
 今年も中央、地方問わず、政治家の暴言、女性スキャンダル、セクハラ事件が頻発した。・・・福井県あわら市の橋本達也市長(当時)・・・岩手県岩泉町の伊達勝美町長(当時)・・・立憲民主党の青山雅幸議員、初鹿明博議員・・・中川俊直衆院議員(当時)・・・松山政司一億総活躍担当相・・・西村康稔内閣官房副長官・・・茂木敏充氏・・・

【その5】女性が女性を抑圧する典型? 指原莉乃がセクハラ告発に「ハニートラップの可能性も」と攻撃
【その4と同ページ)
 ・・・感想を求められた指原莉乃がこんなことを言い出した。「もちろん女性が被害に遭うことに違いないし、絶対あってはいけないことだと思うんですけど。でも立て続けにこうなると、市長さんとか町長さんだと、よく思っていない人も多いじゃないですか。だからハニートラップの可能性も今後増えてくるかもしれないじゃないですか」こうした発言は、セクハラ被害に対し勇気をもって告発した女性たちを貶めるもので、セカンドレイプとも言える悪質なもの。・・・こうした揶揄や中傷は、ある意味男性から以上に被害者を抑圧し孤立を招く。女性側も、そろそろそのことに気づくべきだろう。

【その6】子連れ議会出席の熊本女性市議にバッシングが…ネトウヨタレントつるの剛士もトーンポリシング攻撃!
 熊本市議会女性議員の子連れ議会出席問題も、理不尽な女性へのバッシングが起こったケースだった。11月、生後7カ月の長男と一緒に出席しようとした緒方夕佳市議だったが、これが認められず開会が40分遅れた。その様子はワイドショーで大きく取り上げられ、案の定、緒方市議への批判が殺到したのだ。・・・緒方市議に向けられたこれらの批判は、典型的なトーンポリシングだ。トーンポリシングとは、正当な訴えをしていても、その内容を無視し、口調や態度がヒステリーだと責めたり、その手法がルール違反だと批判することで、その本質から議論を逸らせ、問題を矮小化する抑圧的ロジック。
 実はネトウヨタレントのつるの剛士もこトーンポリシングを使って、緒方市議を攻撃していた。・・・

【その7】“痴漢冤罪”問題でも男目線の意見ばかり! ネットでは被害者女性への「嘘つき」バッシングが
【その6と同ページ)
 ・・・ネットでは「被害を訴える女はみな嘘つき」「平然と嘘をつく」「ハニートラップですね」「冤罪生み出すくそ女!」「エロいカッコだったからじゃね」「目的は示談金」など女性に対する罵詈雑言が溢れた。
 本来、痴漢冤罪は、冤罪を生み出している警察や検察、そして司法の問題だ。しかしそうした議論はほとんどなく、その矛先はひたすら痴漢被害に声をあげた女性たちに向かう。・・・本当に必要なのは痴漢という卑劣な犯罪をなくすために何ができるか、という議論だろう。・・・

【その8】はあちゅうに激しい非難が殺到する一方で、新たなセクハラ告発の動きが
 ・・・電通時代の上司であるクリエイティブディレクターの岸勇希氏からセクハラ、パワハラを受けていたという告発をしたはあちゅう。大きな話題を呼び、岸氏は自分の経営する会社の代表を辞任する結果となったが、一方で起こったのは、はあちゅうへの激しい批判、バッシングだった実際、はあちゅうは「(セクハラを告白したことで)人生で一番、心ない言葉を浴びました」と苛烈なバッッシングを語っている・・・この背景には“被害を受ける女性にも落ち度や責任がある”という女性に対して抑圧的な日本社会の特性、そしてセクハラする側が自分の行為を性暴力だと認識していないという問題がある。・・・性被害は女性の落ち度などでは決してない。性被害者に責任などない。#MeTooの流れ、女性たちの意識改革の流れが日本でも広がっていくことを期待しよう。 (編集部)