2017年11月23日木曜日

野党超党派で徹底追及 “詩織さんレイプ事案”

 ジャーナリストの伊藤詩織さんが訴えているレイプ被害への捜査や、検察審査会のあり方を検証する国会議員による「超党派の会」が、ようやく21発足し20人が出席しまし(自民・公明は不参加)
 伊藤詩織さんが、飲食後 前後不覚(薬物によると推定)になりその状態で元TBS記者・山口敬之氏にレイプされたと訴えている準強姦容疑事件は、官邸の関与が推測され山口氏が逮捕される寸前に警視庁の中村格刑事部長(当時)からの指示逮捕が中止になったことをはじめとして、様々に不明朗なことが重なっていますが、「官邸マター」のためか殆どのメディアが二の足を踏み、報道することさえも避けるという状況で経過しました。

 メディアもそうですが、この官邸が関与して逮捕を免れさせた疑いの強い事案を、国会議員たちがこれまで放置していたことは解せませんでしたが、この度ようやく森ゆうこ・事務局長(自由党)田村智子(共産党)福島みずほ(社民党)など女性議員9人が呼びかけ人となり超党派の会を立ち上げました。
 会の名称は「『準強姦事件逮捕状執行停止問題』を検証する会」で、官邸の関与が強く疑われる「逮捕状執行委停止問題」が当面中心のテーマになるようです。

 この事案では、所轄の警察署が山口氏の逮捕状を取り、彼が帰国する空港に警察官を配置するところまで進んだのですが、そこに突然警視庁の中村格刑事部長(当時)からの指示が入り、逮捕が中止になりました。
 これについて元東京地検特捜部副部長若狭勝氏は、「この種の犯罪で、所轄警察署が入手した逮捕状について、警視庁本部刑事部長がその逮捕状の執行をストップすることは通常絶対にあり得ない」と断言しています。
 山口氏も中村氏も共に官邸とは親しい関係にあるので、寸前での逮捕中止に官邸が関与した疑いが持たれる所以です。

 21日に警察庁と法務省からヒアリングを行い、山口氏への逮捕状が逮捕直前に執行停止になった経緯について糺した際に、記者出身で警察司法回りを4年間経験した杉尾秀哉議員(民進)は警察官僚の説明に対して、
「逮捕停止をすることはあり得るというが、刑事部長の一存で執行停止したのを聞いた事は一件もない。極めて特異なケースであるということをまず認めなければこの会は成立しない」
と批判しました。それに対して警察官僚はまともに反論できませんでした。

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ようやく本腰 野党超党派で“詩織さんレイプ事案”徹底追及
日刊ゲンダイ 2017年11月22日
 「記録にない」「記憶にない」の繰り返しになってしまうのか――。
 21日、参院議員会館で、野党議員が超党派で「『準強姦事件逮捕状執行停止問題』を検証する会」を立ち上げた。
 安倍首相と昵懇の元TBSワシントン支局長の山口敬之氏(51)が、ジャーナリストの伊藤詩織さん(28)を2015年4月にレイプしたとする疑惑が主眼だ。

 呼びかけ人は、自由党の森ゆうこ参院議員や立憲民主党の阿部知子衆院議員、希望の党の柚木道義衆院議員ら8人。維新も含めて全野党が、きのうの検証会に参加し、警察庁と法務省からヒアリングを行い、山口氏への逮捕状が逮捕直前に執行停止になった経緯についてただした。
 この問題の最大の焦点は、警察上層部がレイプ事件の捜査に介入し、山口氏の逮捕にストップをかけたのかどうかだ。レイプを告発された山口氏が、安倍首相と極めて親しいために、疑いを招いている。
 ところが、省庁側は、この日も「個別事案についてはお答えできない」の一点張り。逮捕状の執行停止を「決裁」した中村格警察庁総括審議官(当時、警視庁刑事部長)の「決裁文書」については、「把握していない。文書を残すかどうかは場合による」(警察庁)と答え、議員らが「オカシイよ、それ!」と語気を強める場面があった。

 詩織さんが、レイプ事件を訴えてからすでに半年。やっと全野党が超党派で結集して“詩織さん事案”の追及に本腰を入れ始めた形だ。それにしても、なぜ、野党の動きはここまで遅れたのか。
「恐らく理由は2つです。1つは、今年9月に検察審査会で『不起訴相当』の判断が下され、刑事事件としては一応の決着がついたこと。もう1つは、民進党が事実上解党したことで追及しやすくなったことでしょう。事件を握りつぶした張本人と言われている中村格総括審議官は、民主党政権時代に官房長官秘書官を務め、自民が政権を奪取した後も留任している。民進党は、民主政権時代の弱みを握られているからか、あるいは恩義があるのか、これまで中村氏の捜査介入疑惑について国会で大きく取り上げられなかったようです」(永田町関係者)

 要するに、民進党が分裂した今、中村氏に“忖度”する必要はなくなったというワケ。今後、国会の場で焦点となるのは、まさに「不当介入があったか否か」である。どこまで証拠を出させることができるか、野党の本気度にかかっている。


詩織さん事件】総理守り抜く警察官僚 森ゆうこ議員「官邸と相談してください」
田中龍作ジャーナル 2017年11月21日
 準強姦の逮捕状が発行されていながら、被疑者がアベ友のTBS記者であることから警察幹部が逮捕状を握りつぶした -
 いわゆる「詩織さん事件」を追及する超党派の議連がきょう、発足。警察庁と法務省からヒアリングをした。

 警察庁捜査一課を名乗る官僚は冒頭から「東京地検に送致した、不起訴相当と承知している。警察庁としては申し上げかねる」と答えた。済んでしまった事件だからもう言う必要はない、という理屈だ。

 高輪警察署の捜査員はTBS記者・山口敬之の逮捕状を用意しながらも、警視庁刑事部長の指示で逮捕を見送った。
 これについて警察官僚は「逮捕状を取得した後でも証拠を精査した際、執行停止にすることはある」とかわそうとした。
 だが記者出身の杉尾秀哉議員(民進)は、ゴマカシを見逃さなかった。杉尾議員は記者時代に警察司法回りを4年間経験しているからだ。
 「停止をすることはありうるとおっしゃいましたが、寡聞にして執行停止、知らない。刑事部長の一存で執行停止、私はこんなことは少なくとも聞いた事は一件もない
 よくあることのように仰るが全く事実に反する。極めて特異なケースであるということをまず認めなければこの会(超党派の会)は成立しない」。
 警察官僚は杉尾議員の追及にまともに反論できなかった。
「山口の事件じゃなかったら所轄(高輪警察署)の事件だよ」。杉尾議員は断言した。

 実際、準強姦で警察本部(東京の場合、警視庁)が捜査に口を出すことはない・・・多くの警察OBが証言している。例えば小野次郎氏など。
 山口敬之著『総理』(幻冬舎)が発売されたのは2016年6月9日。不起訴が決まる1ヵ月以上も前だ。
 著作の発行人はこれまたアベ友の見城徹。不起訴になることが分かっていて発行したのである。起訴されれば莫大な損失となるからだ。
 ヨイショ本『総理』の発売までの時系列が、権力犯罪であることを証明している。

 議連事務局長の森ゆうこ議員(自由)が釘を刺すのを忘れなかった。
「個別の案件につき対応できないといういつもの言い訳は、今回通用しない。きちんとした説明で国民の疑念を晴らす。説明責任というのが今、求められている。だからここで答えられないと言って帰ってしまうのではなく、官邸と相談して下さい」。
 警察官僚は「官邸に相談する必要ない」と突っぱねた。あくまでも官邸の関与を否定する構えだ。安倍一強の中核を占める警察機構が、力づくで権力犯罪を揉み消してしまうのだろうか。
~終わり~