2017年11月3日金曜日

憲法9条を超えた伊藤詩織さん(天木直人氏)

 元TBSワシントン支局長の山口敬之氏に、睡眠剤入りの酒を飲まされ正体不明になったところを無理やりホテルに引きずり込まれて強姦されたと警察(検察)に訴えた詩織さんは、検察がその事案を不起訴としたことを受けて検察審査会に告訴しました。
 その段階(5月29日)で記者会見しましたが、メディアは山口敬之氏が安倍首相と懇意であることを忖度したようで、東京新聞以外にはその内容を殆ど報道しませんでした

 山口氏は詩織さんと会う前にTBSからニューヨーク支局長の解任を通告されていたのですが、そのことはおくびにも出さなかったので、詩織さんはニューヨーク支局に勤務できるかも知れないという期待を持って山口氏と面会したのでした。

 その後詩織さんは日本記者クラブでの記者会見を希望しましたが実現せず、外国記者クラブでの会見も何故か実現しませんでした。
 しかし詩織さんはめげずに伊藤詩織というフルネームを明らかにして、「ブラックボックス」という告発本を出版しました。そして1024日に日本外国特派員協会で記者会見を開き、被害者救済を訴えました
 天木直人氏はその勇気に感銘を受けて、ブログ「憲法9条を超えた伊藤詩織さん」を発表し、詩織さんを讃えました。

 一方山口氏は、検察審査会が不起訴相当の結論を出したことを機に言論界への復帰を果たすべく、10月26日発売の「月刊Hanada」12月号に「私を訴えた伊藤詩織さんへ」と題した“独占手記”を掲載しました。
 その内容は自分の一切の非を認めないだけでなく、詩織さんへの誹謗中傷・人格攻撃と陰謀論、そして矛盾だらけの自己弁護が混在したもので、山口氏の行為の悪質性を逆に浮き彫りにする(LITERA)ものでした。手記は
〈詩織さん、あなたは性犯罪被害者ではありません。そして、自分が性犯罪被害者でない可能性があるということを、あなたは知っています〉(手記より)
というような書簡の形式ではじまっているということです。

「月刊Hanada」の手記を読んだ(あるい山口氏と花田氏らが語り合う動画を見た)人たちからは、山口氏に対する手厳しいツイートが出されています。
 以下にその一例を示します。

・下心のない男性は、泥酔した女性をホテルに連れ込んだりしませんよ。女性の家族や友人に連絡をとり、あるいは自分の自宅に妻がいる既婚者なら妻に介抱を頼みます。ホテルを利用する場合でも、女性一人を泊めて自分は帰ります。準強姦魔の苦し紛れの言い訳を信じるバカはいません。
・そもそも就職相談に来た若者を泥酔するほど飲ませないわな。
・女性がもどすほど泥酔していたら、自分のホテルに連れ込まず、自宅へ送るだろう。「仕事が間に合わなくなるから」という理由でホテルへ連れて行き、仕事が忙しいはずなのに「合意のセックス」はした、と。・・・
・山口氏は、詩織さんをホテルに連れて行くしか方法がなかったと言っています。しかし、このお鮨屋さんは、山口氏が大変親しくしているお店なんだから、ご主人と女将さんに詩織さんを預け、元気になる迄休ませてもらうのが、大人の判断でしょ。
・救急車呼べばいいだけだったのに。なぜ自分が宿泊しているホテルに連れて行ったのか説明になっていない。
・誰がこんな戯言を信じる!? しかも、このタイミングで公開する狡猾さ・あざとさ・卑怯さは、罵倒する言葉が幾ら有っても足りない! 男の風上に置けない下種の極み!!
・山口敬之よ 身の潔白を主張したいなら 詩織さんと同じように 日本外国特派員協会で 堂々と会見すべきだろう。山口擁護派は 潔白を信じるんなら早く 会見の段取りをしてやってくれ! それとも 国会で証人喚問か? それだけの「事件」だろうが!
・強姦魔山口啓之「彼女のストーリーは悪意を持って薬を入れた~」 悪意以外に薬を入れる理由が何処にある。
・この卑劣なレイプ犯山口敬之が、自己の犯罪を正当化するために練りに練ってこの程度一般的に良識ある人の思考や行動と比して、あまりにも矛盾だらけで怒りばかり!!

 LITERAは、この数日間で山口氏の事件に関して下記の3編の記事を出しました。いずれも長編のため、アドレスの紹介に留めます。(タイトルまたはURLをクリックすれば原記事にジャンプします)


 以下に天木直人氏のブログを紹介します。
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憲法9条を超えた伊藤詩織さん
天木直人のブログ  2017 年 11 月 01 日
(阿修羅 2017.11.1 市村 悦延 投稿より転載)
 伊藤詩織さんが文藝春秋から「ブラックボックス」という本を出版した。
 元TBSワシントン支局長の山口敬之氏から性暴力を受けたとして警察に被害届を出したにもかかわらず、山口氏が安倍首相の御用ジャーナリストであることを忖度した中村格刑事部長(当時)の指示で逮捕が見送られ、東京地検も嫌疑不十分で不起訴処分とした。
 これを不服として訴えた検察審査会までも、不起訴相当の議決をした。
 この国家権力ぐるみの不正義の被害者である、あの伊藤詩織さんのことである。

 実際のところ、森友・加計疑惑という国家犯罪よりも、この伊藤詩織さんへの不正義こそ、安倍政権の犯罪性は深刻である
 それにもかかわらず、なぜか詩織さんを助けるために立ち上がろうとする者は出てこなかった。
 しかし、伊藤詩織さんはへこたれなかった。
 ついに上記の「ブラックボックス」という告発本を出版し、10月24日に日本外国特派員協会で記者会見を開いて被害者救済を訴えた。
 この勇気ほど、頭が下がるものはない。

 そう思っていたら、その告発本に寄せられた各界からの賛辞の数々を見て更に驚いた。
津田大介(この国の司法制度に対する真摯な問いかけだ)、
林真理子(女性がNOといったら絶対にNOなのだ。それを無視したら絶対に犯罪なのだ)、
佐藤優(あなたの誠実さと勇気に敬服します)、
三浦瑠璃(娘をこのように育てたいと思いました)など、
およそ立ち位置の違う者、権力にす寄っている者、憲法9条に否定的で私と敵対するような者たちが、こぞって伊藤詩織さんを絶賛しているのだ。

 いまや伊藤詩織さんは憲法9条を超えた。
 私は憲法9条こそ安倍政治に待ったをかけるこの国の最強のカードだと考えて新党憲法9条を立ち上げたのだが、伊藤詩織さんへのこの支持には足もとにも及ばない。
 ここまで幅広い支持を得た伊藤詩織さんを見て、打倒安倍政権を掲げて国民的支持を得たい既存の野党各党は、伊藤詩織さんを候補者にしたいとアプローチを競い合うに違いない。