2017年11月17日金曜日

17- 示威行動を2カ月控えた北朝鮮に米国はどう応じるのか

 北朝鮮915日に「火星12」を発射して以降、核実験やミサイル試射などの示威行動を2カ月にわたって控えています。
 あれだけ頻繁に行っていた示威行動を北朝鮮が2か月間ピタリと止めたのは、その前に米国のユン北朝鮮担当特別代表が「北朝鮮が核・ミサイル開発を60日間停止すれば、米国は直接対話に向けたシグナルと見なす」との考えを示したのに応えたものと見るのが普通ではないでしょうか。
 しかし韓国を訪問したユン特別代表14日、「北朝鮮が軍事挑発を自制している背景は分からない。北朝鮮は中断するとわれわれに伝えてきていないからだ」と述べたということです

 予め中断すると我々に伝えていないから「中断とは認められない」というのであれば、余りにも形式的で一体事態の解決を目指す意思があるのか疑われます。

 かつて駐イラクの米国大使が、フセイン大統領との対話の中で「アメリカはイラクがクェートに侵入してもクレームはつけない」と述べたことが、イラク軍のクェート侵攻を引き起こし、それが最終的に湾岸戦争でイラクが壊滅させられることにつながりました。
 米国大使はイラク軍がクェートに侵攻するのを見届けて空路帰国したということなので、彼女にはその後の成り行きが分かっていたのでしょう。
 それは戦争国家としてのアメリカの成功体験なのかもしれませんが、北朝鮮を手玉にとるようなことは止めるべきです。
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北朝鮮、2カ月挑発を控える 「米大統領歴訪を忍耐強く見守った」
東京新聞 2017年11月16日
【北京=城内康伸】北朝鮮が九月十五日に日本上空を越える中距離弾道ミサイル「火星12」を発射して以降、核実験やミサイル発射などの軍事挑発を二カ月にわたって控えている。核・ミサイル実験を凍結しているとの見方がある一方、時機をみてミサイル試射に再び踏み切る可能性も否定できない。

 朝鮮労働党機関紙・労働新聞は十五日の論評で、トランプ米大統領のアジア歴訪を「忍耐強く、最後まで見守った」とし、「トランプは行く先々で、悪態をついた」と非難。トランプ氏が八日に韓国国会で北朝鮮の人権侵害を指摘したことなどを挙げ、「体制転覆のための宣戦布告とみなす」と強調、「米国は最も望まぬことを体験するようになり、ぞっとする光景を現実として目の当たりにする」と脅した。
 別の論評では「米国が核戦争の導火線に火を付けることができないのは、わが国が強力な核戦争抑止力を保有しているからだ」と核保有を正当化。「わが国を核保有国と認め、共存する政策的決断を下さなければならない」と主張した。

 韓国を訪問した米国のユン北朝鮮担当特別代表は十四日、韓国メディアに対して「(北朝鮮が軍事挑発を自制している背景は)分からない。北朝鮮は中断するとわれわれに伝えてきていないからだ」と述べた。
 韓国シンクタンク、世宗研究所の鄭成長(チョンソンジャン)統一戦略研究室長は「北朝鮮は制裁で経済的打撃を受けており、米国との軍事的緊張が過度に高まることを避けようとしている」と指摘。「制裁にある程度順応すれば、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験などに踏み切る可能性は高い」とみる。