2017年10月6日金曜日

九条の会が声明 「~ 憲法の岐路に立って」

 自民党が結党以来初めて改憲を掲げて総選挙に挑むことに対して、「九条の会」は5日、安倍政権による9条改憲の阻止を掲げる声明発表し、全国で草の根の対話と運動を広げようと訴えました

 声明は、自公がたとえ後退しても、維新、希望と合わせて改憲勢力が国会で3分の2の議席を占める危険性が高まっており、それを許せば「改憲派が2018年通常国会での改憲発議をねらってくることは間違いない」と警鐘を鳴らしています(しんぶん赤旗)

衆院選 譲れぬ争点、声上げる」とする東京新聞の記事も併せて紹介します。 
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安倍9条改憲を阻もう 全国で草の根対話と運動を「九条の会」が声明
しんぶん赤旗 2017年10月6日
 「九条の会」は5日、国会内で記者会見し、憲法改定が重大争点となっている総選挙に向けて、安倍政権による9条改憲の阻止を掲げる声明文書を発表し、全国で草の根の対話と運動を広げようと呼びかけました。

 声明は、自民党が改憲を掲げて選挙に挑むのは「結党以来初めて」だと指摘。解散直前に希望の党が改憲勢力の一翼として登場した中で、自公がたとえ後退しても、維新、希望と合わせて改憲勢力が国会で3分の2の議席を占める危険性が高まっており、それを許せば「改憲派が2018年通常国会での改憲発議をねらってくることは間違いない」と警鐘を鳴らしています。

 安倍首相が提起する自衛隊の憲法明記について「『武力による平和』が明示され、9条の根本的改変が起こることは明らかだ」と批判。安倍首相が不安をあおる北朝鮮問題については、「朝鮮半島とアジアの平和は、憲法9条の原則に基づく外交によってこそ実現できる」と訴えています。

 会見で、事務局の渡辺治一橋大学名誉教授は「総選挙は護憲3党と改憲4党との対決だ。選挙戦を通じて憲法改正反対を国民的議論にしていかなければならない」と述べました。

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 5日に発表された「九条の会」声明の全文は次の通りです。

         九条の会声明
戦後日本の歴史と憲法の岐路に立って

 安倍首相は、臨時国会冒頭に解散し総選挙に打って出ました。野党による憲法に基づく再三にわたる臨時国会開催要求を無視しながら森友・加計問題をはじめとする疑惑隠しをはかる憲法破壊の暴挙です。重大なことは、首相が、この総選挙を、政権延命をはかるにとどまらず、安倍政権への批判の高まりのなかで強行のメドが危うくなった憲法「改正」実行のお墨付きを得る好機と位置づけたことです。

 自民党は、選挙の重点公約のひとつに、憲法9条に自衛隊を明記することを中心とする改憲を掲げました。過去に改憲の野望を抱いた首相は少なくありませんが、国民の批判を怖(おそ)れ選挙戦ではそれを正面から争点にした例はありませんでした。自民党が改憲を旗印に選挙を戦うのは結党以来はじめてのことであり、容易ならぬ事態です。しかも解散直前になって、安倍政治を変えることを標榜(ひょうぼう)して希望の党が旗揚げし、改憲勢力の一翼として登場しました。この結果、たとえ国民の批判を浴びて自公勢力が後退しても、希望の党や日本維新の会などと合わせ改憲勢力が3分の2を占める危険性が高まりました。そうした事態を許すならば、改憲派が2018年通常国会での改憲発議をねらってくることは間違いありません。

 9条への自衛隊明示は、安倍首相の「何も変わらない」という言明に反して、戦後日本が築いてきた「戦争しない国」の転換をもたらすことは明らかです。
 もし9条に自衛隊が明記されることになれば、9条の「武力によらない平和」の理念と真っ向から矛盾する「武力による平和」が明示され、9条の根本的改変が起こることは明らかです
 また、自衛隊が憲法上認められることで、これまで「自衛隊は9条2項が保持を禁止している『戦力』ではない」というために政府が積み上げてきた自衛隊の活動を制約する解釈の撤回、さらなる空文化が起こりますしかも、この改憲で合憲とされる自衛隊は、違憲な戦争法によって海外での武力行使を認められた自衛隊なのです

 安倍首相は、北朝鮮問題での国民の不安を煽(あお)って改憲へと誘導していますが、軍事的圧力や9条改憲では北朝鮮問題を解決することはできません。それどころか、逆にアメリカの軍事行動への加担により、朝鮮半島での軍事衝突の危険を増大させることになります。朝鮮半島とアジアの平和は、憲法9条の原則に基づく外交によってこそ、実現できるのです。

 総選挙は、改憲諸党の前進を許し安倍9条改憲に道を開くのか、それとも阻むのかを決める重要な機会です。すべての市民が、戦後日本の「戦争しない国」をつくってきた憲法の役割に改めて思いを致し、安倍改憲を許さないという声を挙(あ)げましょう。

 草の根からの対話と宣伝を広げ、「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」の提起する3000万署名の運動を大きく成功させましょう。


衆院選 譲れぬ争点、声上げる 
東京新聞 2017年10月6日
◆九条の会 「改憲勢力2/3占める危険」
 十日公示、二十二日投開票の衆院選を前に、護憲派の市民団体「九条の会」は五日、東京都内で記者会見し、「戦後日本の『戦争しない国』を作ってきた憲法の役割に改めて思いを致し、改憲を許さないという声を上げよう」との声明を発表した。
 会見したのは、事務局長を務める東大教授の小森陽一さんら。声明は「戦後日本の歴史と憲法の岐路に立って」とのタイトルで、来年の通常国会で改憲案が発議される可能性に触れた。東京都の小池百合子知事が率いる新党「希望の党」が憲法改正を掲げたことを挙げ、「自公勢力が後退しても、改憲勢力が三分の二を占める危険性が高まった」と指摘した。

◆ママの会 「違憲の安保法看過できない」
 子育て中の母親らでつくる市民グループ「安保関連法に反対するママの会」もこの日、都内で記者会見し、東京や愛知、大阪など各地で活動するメンバーらが「だれの子どももころさせない」との横断幕を掲げて臨んだ。
 発起人の西郷南海子さん(30)は「安保関連法は憲法違反だと考えている。安保関連法だけが選挙の争点ではないが、重大な憲法違反をそのままにしておくことはできない」と述べ、安保法制廃止を訴える候補者を支援する考えを示した。

◆銀座デモ 「市民と向き合う政治家選ぶ」 
 安全保障関連法や原発再稼働、「共謀罪」法などに反対する市民団体らのデモが五日、東京・銀座などであり、約二千人(主催者発表)が参加した。十日公示の衆院選に向けて、「市民と向き合う政治家を選ぼう」と声を上げた。
 反原発団体などが中心となって開催。日比谷公園から銀座までの約二キロを、「安倍政権NO!」と書かれた横断幕を掲げて行進した。東京都杉並区の会社員三村正次さん(56)は「選挙後は受け入れがたい社会になるかもしれない。安保法制や改憲に反対だという意思表示のためにデモに参加した」と話した。
 これに先立ち、日比谷野外音楽堂で集会が行われ、野党連携を訴える市民団体「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」世話人の山口二郎・法政大教授(政治学)が「理念に忠実な政治が求められている」などと訴えた。