2017年10月14日土曜日

14- 東京新聞 <おさらい消費税>シリーズ (1) 及び (2)

 消費税アップ論者は、社会保障には財源が必要だから消費税率のアップは「やむを得ない」、あるいは「実施すべきだ」と当たり前のように言いますが、勿論間違っています。
 それは消費税は財務省自身が「悪魔の法制」と呼ぶほど徴税には便利ですが、所得が低い人ほど負担感が大きいという逆進性のある不公平税制なので、決して主流にすべきものではなく、出来れば廃止すべきものであるからです。

 東京新聞が「おさらい消費税」の連載を始めました。
 まだどのように展開するのかは分かりませんが、第1回目は、消費税の特徴ー 所得が低い人ほど負担感が大きい「逆進性」があり消費税に頼りすぎるとさらに格差が広がりかねない  簡単にまとめています。

 今回は、第1回目と第2回目を紹介します。各記事には図表が添付されていますが、ブログに表示できないため図表のURLを表示しました。クリックすれば図表が表示されます。
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<おさらい消費税>[1]税収 なぜいつも議論に?

東京新聞 2017年10月12日
 消費税は「景気に左右されにくい税金」と言われます。景気が悪くなっても生活必需品の買い物が急激に減ることはなく、税収の変動が小さいからです。
 二〇一六年度の国の税収は、円高で企業業績が低迷して法人税収が減り、七年ぶりに前年度を割りました。しかし、税収の約三割を占める消費税収(十七兆円)はあまり変わりません。一四年四月に税率を引き上げてからは税収が最も多い所得税に肉薄しています。

 広く消費者が負担しているという特徴もあります。消費税は商品を生産、販売する事業者に課されており、商品への価格転嫁を通じて買い物をする人が負担します。所得税のように働く世代に集中せず、年金暮らしの高齢者まで幅広く負担を求める税です。消費税率は1%上げれば、国の税収が約二・七兆円増えます
 仮に所得税の税率を引き上げれば、中間層のサラリーマンが増税となってしまいます。法人税は「企業の海外移転が進む」など経済界が反対します。消費税は増大する社会保障費をまかなう「安定財源」として、増税の対象になりやすいのです。

 とはいえ、安易な引き上げは危険です。一見すると公平に見えても、所得が低い人ほど負担感が大きい「逆進性」があります。収入が少ない世帯ほど家計支出のうち生活必需品が占める割合は高いので、消費税の負担感がより重くなるのです。
 日本では資産を持つ人と持たない人の格差が、高齢者で特に深刻化しています。逆進性のある消費税に頼りすぎるとさらに格差が広がりかねません
 専門家からは富裕層や大企業から多くの税金を集める方法も選択肢として指摘されています。株式の売却益や配当にかかる「金融所得課税」の増税や、企業の内部留保への課税などが挙げられます。 (須藤恵里、白山泉)
      
 安倍首相は一九年十月に消費税率を8%から10%に引き上げる際、増収分を教育無償化などに使う意向を表明しました。主要な野党は増税自体に反対です。衆院選の争点となっている消費税の特徴をおさらいします。

(添付図表)


<おさらい消費税>[2]使い道 何に使われているの?
東京新聞 2017年10月13日
 高齢化が進み、年金や医療などの社会保障にかかるお金は増え続けています。この二十年で倍増し、二〇一七年度には一二〇・四兆円となる見通しです。社会保険料と税金でも賄えない分は借金に頼っています。消費税は「借金漬け」の社会保障制度を持続させるための財源で、税率を5%から8%に引き上げた分は借金を減らすためにも使われています。
 日々の買い物で消費税を払っていて気になるのは「支払った税金が無駄なバラマキ政策に使われてはいないか」ということです。一九九九年以降、消費税の税収(地方消費税の1%分を除く)を年金、医療、介護に限って使うことが予算編成のルールで定められてきましたが、バラマキ懸念はぬぐえませんでした。

 そこで政府は消費税の使い道を法律に明記しました。これが一二年に、民主(当時)、自民、公明の三党合意に基づいて行われた「社会保障と税の一体改革」です。子育てなど少子化対策も使途に加えた上で、消費税法に使い方を記しました。
 その際、税率を5%から10%に段階的に引き上げた時の増収分のうち、五分の一を年金、医療、介護、子育て支援に使い、残りを財政再建に充てることも決めました。ただ、財政再建に税収を回すのは納税者の負担感だけを強めかねません。税金が高くなるのに、社会保障が手厚くなるわけではないからです。

 安倍晋三首相は税率を8%から10%に引き上げる際、財政再建分の一部を教育無償化などに使途変更することを表明しました。一部の子育て世帯の家計負担は軽くなりますが、財政再建はより遅れます。
 消費税率が8%となっても税収は足りず、借金は増え続けています。国が一六年度に積み上げた借金は約三十兆円。団塊の世代が後期高齢者になる二五年以降は、医療・介護費がさらに膨れる可能性があります。財政が立ちゆかなくなり、将来世代が「重い負担」を強いられる懸念は高まっています。 (白山泉)

(添付図表)