2017年9月17日日曜日

臨時国会の冒頭 衆院解散の見通し

 NHKが16日深夜「臨時国会の冒頭 衆院解散の見通し」と報じました。
 朝日新聞も17日の朝刊一面に「首相、年内解散を検討 臨時国会冒頭も視野」の見出しを打ちました。いわゆる観測記事ですが、臨時国会冒頭の解散の確度はかなり高いということです。

 7月~8月の世論調査では森友・加計学園疑惑が影響して内閣支持率が急降下しました。ところが国会が閉じられ、米・朝間の緊張が高まる中で安倍首相が盛んに危機を煽ると、9月の調査では支持率が回復方向に転じました。国家の危機を煽ることの効果を承知していたに違いありません。とはいえそんな茶番染みたことがいつまでも効果を持つ筈はなく、国会が開かれ野党から両学園問題を追及されれば再び窮地に追い込まれるのは目に見えています。そこで冒頭に国会を解散しようというわけです。

 しかし北朝鮮のミサイル試射で、世界の首脳の誰よりも大騒ぎして危機を煽ったのは他ならぬ安倍首相です。北朝鮮の示威行動は朝鮮労働党創建記念日(10月10日)にもあることでしょう。安倍首相の煽るところに拠るならば、そんなときに政治空白を作って果たして世界に言い訳が立つのでしょうか。(^○^)
 また今度の臨時国会の開催は、野党4党が憲法53条に基づいて要求したのを受けたもので、本来は要求が提出された6月22日の直後に開かれるべきものでした。それを国会開催期限の規定がないのをいいことに、実に3か月も引き延ばした挙句に「審議なし」で解散するというのであれば、国民(と野党)に対してどう言い訳できるのでしょうか。

 それにもかかわらずこの段階で冒頭解散を強行するのは、いま選挙を行うのが自分たちにとって最も都合が良いという理由からであり、まさに「党利党略・個利個略」に他なりません。
  註 個利個略 こんど内閣支持率が下がれば安倍首相の下では選挙は戦えないとして、党内からも首相交代の要求が出ると言われていました。
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臨時国会の冒頭 衆院解散の見通し
NHK NEWS WEB 2017年9月17日2時23分
安倍総理大臣が公明党の山口代表に対し、今月28日に召集する方針の臨時国会の会期中に、衆議院の解散・総選挙に踏み切ることを排除しないという考えを伝えていたことが関係者への取材でわかりました。安倍総理大臣は、今後、政府・与党の幹部の意見も聞き最終的な判断を固める方針で、内閣支持率の回復で早期の解散・総選挙を求める意見が強まっていることも踏まえ臨時国会の冒頭にも解散する方向で調整が進められるものと見られます。
政府・与党関係者によりますと、安倍総理大臣は、先に公明党の山口代表と会談し、今後の政権運営などについて協議する中で、今月28日に召集する方針の臨時国会の会期中に衆議院の解散・総選挙に踏み切ることを排除しないという考えを伝えたということです。
政府・与党内では、衆議院議員の任期が残り1年余りとなる中で、国家戦略特区での獣医学部の新設をめぐる問題などで低下した内閣支持率が回復傾向にあることも踏まえ、早期の衆議院の解散・総選挙を求める意見が強まっています

一方、北朝鮮が弾道ミサイルの発射などを繰り返していることなどから、政治空白を作るのは好ましくないなどとして、早期の解散は慎重にすべきだという指摘も出ています。
こうした中、安倍総理大臣は、北朝鮮への対応や規制改革、それに北方領土の返還交渉などを前進させるためには、改めて国民の信を得て政権基盤を安定させることが欠かせないとして、早期に衆議院の解散・総選挙に踏み切る必要があるという判断に傾いたものと見られます。

この安倍総理大臣の判断には、野党第一党の民進党で前原代表の就任以降、離党届を提出する議員が相次いでいる状況や、東京都の小池知事と連携する政治団体「日本ファーストの会」の代表を務める若狭勝・衆議院議員が新党の結成を目指していることも影響を与えているものと見られます。

安倍総理大臣は今後、公明党の山口代表のほか、自民党の二階幹事長らの意見も聞き最終的な判断を固める方針で、臨時国会の冒頭にも衆議院を解散する方向で調整が進められるものと見られます。


露骨モリカケ追及逃れ 国会冒頭解散なら安倍首相はドツボ
日刊ゲンダイ  2017年9月16日
 衆議院の解散をめぐって、また永田町がざわざわしている。
 今月25日とされた臨時国会の召集日が28日にずれこみそうだなどと、なかなか決まらないことから、「安倍首相は冒頭解散を考えているのではないか」というのだが、10日の日曜夜に麻生副総理が安倍首相の私邸を訪れ、1時間半も話し込んだことで解散風が強まった。さらに、「複数の全国紙が『9・25解散が現実味を帯びてきたので、準備を怠らぬように』と社内会議で指令を出した」「自民党が内々に全国の情勢調査を指示した」などの情報も流れ、一部の衆院議員やメディアも警戒を強めて浮足立っている。

 10・22の補選に合わせた解散・総選挙の噂はずっとくすぶってはきたが、ここへきてなぜ加速しているのか。
安倍内閣の支持率が回復基調にあることが一番大きい。一方の民進党は山尾さんの不倫疑惑や離党ドミノでボロボロですからね。臨時国会で審議に入れば、安倍首相は森友・加計問題で攻められ、再び支持率が下落しかねないし、第2の消えた年金問題まで出てきた。そうした追及を避けるためにも、一部の首相側近が早期解散を進言しているようです。首相の悲願の憲法改正についても、『自公と小池新党を合わせて3分の2を確保できる』という分析もある」(自民党関係者)
 だが、Jアラートやミサイル避難訓練で北朝鮮危機をあおっておきながら、「今なら勝てるから総選挙」とはご都合主義が過ぎやしないか。モリ・カケ逃れは国民にバレバレ。臨時国会の予算委員会が後回しなんてあり得ない。

 政治評論家の野上忠興氏もこう言う。
「解散にどんな大義名分を付けるのでしょうか。自分と妻の不祥事を吹き飛ばすための個利個略なのは明らかで、森友・加計疑惑を隠すことが目的の選挙だと国民に見透かされるでしょう。簡単に勝てる、野党共闘は間に合わない、と思うのも甘い。09年の衆院選では政策協定を結んでいなくとも、共産党は全小選挙区の半分の150しか候補者を擁立しなかった。今回も、民進、共産ともまだ全選挙区に候補者を立てられていない。裏を返せば、選挙区のすみ分けが可能ということです。内閣支持率が回復基調だといっても、『安倍首相を信用できない』という人は依然多く、与野党一騎打ちになれば、どうなるかわかりませんよ」

 先週末に行われた読売新聞の世論調査で、解散・総選挙について「急ぐ必要はない」が66%のうえ、先月から5ポイント上昇してもいる。保身の身びいき解散で、安倍首相はドツボにはまる。