2017年9月9日土曜日

在韓米人の退避を計画 トランプ「臨戦モード」演出の脅し

  韓国のメディア:聯合ニュースが6日、米国のCIAなどが20万人余りの在韓米国人の退避計画を入念に確認し始めたと報じました。

 それは9日の北朝鮮の「建国記念日」などでの北朝鮮側の動きに対応して、米国がいよいよ軍事行動に入ることを示唆するものです。ちなみに在韓米兵の数は約29000人(2015年3月)です。
 これまで在韓米人の退避がアメリカの軍事行動の有無の目安になると言われてきました。もしも本当に退避を始めるようになれば一大事です。米民間人は韓国から退避すれば「ソウルが火の海になる」危険から逃れられますが、韓国人はそうはいきません。約6万人の在韓日本人も全く同様です。
 それだけでなく日本にもノドンなどのミサイル攻撃が行われます。安倍首相は日本に飛来しないミサイルの試射については盛んにその恐怖を煽りますが、肝心の日本に向けたミサイル攻撃についてはどう考えているのでしょうか。
 
 北朝鮮に対して戦端を開くなどということは絶対にあってはならないことですが、さすがに戦争国家アメリカはそのときに必要な準備は心得ています。
 韓国政府は米軍の軍事行動開始には猛反対すると思われますが、アメリカを煽ってきた安倍政権は一体 在韓日本人の安全をどう守ろうとするのでしょうか。それとも開戦に満足するだけなのでしょうか。
 安倍首相は世界に先がけて「話し合いの段階は過ぎた」という言い方をしていますが、それの行き着く先は「臨戦モード」に他なりません。日本に戻れば安全とは言えないにしてもまずは在韓日本人の退避を考えるべきなのに、その計画も持たずに米国を煽るだけであるならこれほど無責任なことはありません。

 幸いなことに事態はまだそこまで進展していないと見られています。
「コリア・レポート」編集長の辺真一氏は、
「米軍は北朝鮮へ奇襲的な先制攻撃を行う場合は、具体的な計画や進捗状況を明かすことは絶対にありません。CIAが退避計画を“点検”したという情報が今回流れたのは、金正恩の動きを牽制するために米国が意図的にリークしたから」
と見ています。
 日刊ゲンダイも、トランプ大統領が「臨戦モード」を演出して北朝鮮に脅しを掛けたという見方をしています。そうであって欲しいものです。

 ブログ:「日々雑感」の記事も紹介します。 
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在韓米人の退避計画 トランプ「臨戦モード」演出の脅し
日刊ゲンダイ  2017年9月8日
 果たしてこれは有事を告げる“前触れ”なのか。9日の北朝鮮の「建国記念日」が近づき、いよいよキナ臭くなってきた。CIAと米国土安全保障省の職員がソウルに“結集”し、20万人余りの在韓米国人の退避計画を入念に確認し始めたいう。6日の聯合ニュースが伝えた。

 在韓米軍は毎年2回、朝鮮半島有事に備え、韓国在住の米市民を安全な地域に輸送する「NEO訓練」を行っている。もっとも、これは韓国国内での避難訓練で、国外への脱出訓練ではない。ところが、昨年9月に北朝鮮が5回目の核実験に踏み切ると、ソウル駐在の米軍家族ら60人を国外退避させる脱出訓練を実施。今年6月には訓練参加者を一気に1万7000人以上にまで増やして再び訓練を行った

 軍事ジャーナリストの世良光弘氏が言う。
「昨年の訓練は米軍の家族らをヘリコプターでソウル南方の京畿道・平沢の米軍基地に移動させ、C130輸送機で沖縄まで運ぶというものでした。今年の大規模訓練は、大型輸送機C17『グローブマスター』に避難者を分乗させ、移動距離も横田基地まで延ばし、神奈川県のキャンプ座間や厚木基地の宿泊施設に移送しました」
 避難者に許される所持品は最大で27キロまで。訓練は生物・化学兵器による攻撃を12時間防止できるマスクを着用したり、実戦的かつ綿密に行われる。

 トランプ政権は近く金正恩に「軍事的警告」を与え、朝鮮半島近くに原子力空母やB1戦略爆撃機、ステルス戦闘機F35を飛来させる案も浮上しているという。CIAによる避難訓練の点検は「いよいよ」ということなのか。

「コリア・レポート」編集長の辺真一氏がこう言う。
「米軍はすでに北朝鮮への奇襲的な先制攻撃に向けて一部の在韓米国人を隠密裏に国外避難させている可能性があります。しかし、作戦を確実に成功に導くために米軍が具体的な計画や進捗状況を明かすことは絶対にありません。だったらなぜ、CIAが退避計画を“点検”したという情報が今回流れたかといえば、金正恩の動きを牽制するために米国が意図的にリークしたのでしょう。国外退避=臨戦態勢の演出につながります。実際、クリントン政権下の1994年に北朝鮮の核施設への先制攻撃を決断しようとした際、米国は駐韓米大使を通じて米国人に国外避難指示を出しました。金正恩は今、どれだけの在韓米国人が国外退避したのか気が気ではないと思います」
 米国と北朝鮮のつばぜり合いと心理戦は続く。


プロレスごっこを煽る各国の軍産共同体とその御用マスメディアたち。
日々雑感 2017年9月8日
 果たしてこれは有事を告げる“前触れ”なのか。・・・・・
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上記 日刊ゲンダイの記事の一部を引用のため省略)


 朝鮮半島は大掛かりな「プロレスごっこ」に過ぎない。なぜなら北朝鮮が一発でもミサイルを米国領土に撃ち込めば北朝鮮の金独裁政権は即時に米軍の総攻撃を受けて終わるからだ。
 それかといって米軍が半島に駐留しているだけでも二万数千人の米軍を動員して戦争を開始することはない。なぜなら米国世論は北との戦争よりも北の核を認める方向へと傾いているからだ。

 中東から米軍がやっとの思いで撤退したのがISの掃討に再び四千人増派したが、それだけで米国内世論は限界だ。かつてベトナム戦争当時の米軍184000人を投じた泥沼の戦争の挙句に敗走した記憶が米国民の記憶に残っている。
 テレビ・ゲームのようなピンポイント爆撃で終わる戦争などない。全面攻撃に移れば半島で血みどろの戦闘を繰り広げ、敵味方とも多数の死傷者を出すことになる。もちろん日本も無傷では済まないだろう。

 安倍氏はリボ払いで陸上のイージス艦などを購入する、と気前良くトランプ氏に回答しているようだが、その程度の装備で北のミサイルが防げるものではない。200発のミサイルを福井県の原発に集中して発射すればどうなるのか。
 安倍氏は「断固とした制裁」を呼びかけているようだが、その前になぜ安倍氏が命を賭して北朝鮮へ話し合いに出向こうとしないのか。それこそが日本国民の命を守ることではないのか。

 北朝鮮も米国も本音は戦争をしたくない。中国とロシアは緊張関係が続く方が彼らの儲けになる。だから現状維持で、暴発もなければ斬首作戦も、ましてや戦争はない。