2017年9月21日木曜日

ここまで狂ったかと国民唖然 大義なき冒頭解散

 安倍首相は21日未明国連総会で演説を行い、北朝鮮が事前の通告無しに日本の上空を通過する弾道ミサイルを2度にわたり発射したことなどを強く批判し、「今は対話ではなく圧力をかけるべきときだ」と国際社会が結束して圧力を強化するよう呼びかけるということです(NHK) が、その直後に解散総選挙に入ることが分かれば諸外国は一体どう思うでしょうか。

 日刊ゲンダイは19日、タブロイド判の1~3面に渡る巻頭大特集:「ここまで狂ったかと国民唖然 大義なき冒頭解散に逆風」(電子版では<上>・<中>・<下3分割)を組みました。
 その中で、これまで安倍政権北朝鮮を巡る情勢を「危機だ」と過剰反応してきたのに、ここにきて突然解散総選挙を打って1カ月政治空白を作るとなれば国際社会で物笑いの種になるとしています。
 そして安倍首相が国民の目を森友学園・加計学園問題の疑惑からそらし、政権を浮揚させるために北朝鮮問題を利用してきたことが、白日の下に晒されたとしました。

 実際、安倍政権が続く限り、モリ・カケ疑惑は永遠に終わることなく、首相が説明すればするほど矛盾が広がるので、解散に逃げ込むしかなかったということです(政治評論家本澤二郎氏)
 五十嵐仁・法大名誉教授は「悲願の憲法改正を実現するための改憲勢力3分の2を失うリスクを負ってでも、総選挙をやって臨時国会を潰さなければ政権維持は危うい。そう判断した」と述べています。臨時国会が始まれば、安倍内閣は確実にオシマイだったというわけです。
 安倍政権は自ら政治空白を作っておきながら、選挙戦に突入したら北朝鮮危機」を煽り、「皆さん、あの民進党に安全保障を任せられますか」と訴えていく方針だということです。鉄面皮にもほどがあります。

 解散権が首相の専権事項というのは間違いで、1952年に吉田内閣が“抜き打ち解散”を行い、最高裁『極めて政治性の高い統治行為』として判断を回避したのをいいことに歴代政権この悪習を踏襲してきたのに過ぎません。そしてここまで無制約に内閣が解散権を行使できる民主国家はないということです(金子勝立正大名誉教授)
 今回郷原信郎弁護士が内閣の解散権を憲法との関係で改めて問題にしたのは、今回の解散が党利党略に加えて安倍氏が首相の座に居続けたいという私利私略のためであることがあまりにも明白であったからです。この「大義なき」解散は職権乱用どころか憲法に反するもので、自民党内からも慎重論が出ています。

 メディアが無理に案出した「大義」なるものはそれこそてんでんばらばらで、荒唐無稽なもののオンパレードです。安倍首相は帰国後にその「大義」を語るそうですが、そこで何を出そうとも、ここまで見透かされてしまってはもう「お笑い」というものです。

 ジャーナリストの鈴木哲夫氏は、
「これだけ“大義ない”と批判されたら、もう国民が納得する大義を掲げるのは難しい安倍自民党に対する国民の不満は強いので、野党が“受け皿”さえ用意できれば、かならず票が集まるはず逆に野党がバラバラに戦ったら絶対に勝てない」と述べています。
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ここまで狂ったかと国民唖然 大義なき冒頭解散に逆風<上>
  安倍自民党 大惨敗の兆し
日刊ゲンダイ 2017 年 9 月 19 日
冒頭解散でハッキリわかった「北朝鮮危機」とやらの政治利用
 ついにここまで狂ったかと、多くの国民が唖然としているに違いない。安倍首相が「大義なき」解散に踏み切ることを決めたからだ。28日召集の臨時国会の冒頭で解散し、「10月10日公示―22日投開票」を軸に日程調整が進められている。
 冒頭解散でハッキリ分かったのが、安倍が煽り立ててきた「北朝鮮危機」とやらの正体だ。
 国際社会の警告を無視し、核・ミサイル開発を強行する北朝鮮は確かにトチ狂っている。しかし、金正恩朝鮮労働党委員長が揺さぶっているのは米国のトランプ大統領だ。
 日本は眼中にない。なのに、安倍は「異次元の圧力をかける」とわめき立て、過去2回のミサイル発射では領海からはるか彼方の太平洋上に落下したにもかかわらず、Jアラートを作動させ、日本国民を恐怖のドン底に陥れてきた。
 しかし、「北朝鮮危機」は切迫したものでもなんでもないことが分かった。もし切迫していたら、1カ月も「政治空白」が続く解散・総選挙などやれないからだ。

 高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)は言う。
「いかに安倍首相が北朝鮮危機を政治利用してきたか、語るに落ちるとはまさにこのことです。解散すれば衆院議員は不在になり、およそ1カ月の政治空白ができる。北朝鮮の暴発、あるいは米朝衝突が現実に迫っているのであれば、選挙どころではないはずです。そもそも、北朝鮮のミサイルが日本上空を通過するのは6回目ですよ。日本の危機は以前と大きく変わっていない。韓国は実に冷静です。国民の目をモリ・カケ疑惑からそらし、内閣支持率を上げるため、安倍首相が北朝鮮問題を利用してきたのは明々白々です」
 散々、北朝鮮危機を煽っておきながら、平然と政治空白をつくる安倍には国際社会も呆れているはずだ。

 国連総会出席などで訪米中の安倍は総会演説で北朝鮮問題をスピーチする予定で、それに合わせて米ニューヨーク・タイムズ電子版に寄稿。そこでも、〈対話は行き詰まるだろう〉〈今こそ最大の圧力を掛ける時だ〉などと呼び掛けている。
 国際社会に危機を訴えた直後、議会を解散して政治空白をつくるなんてあり得ない話だ。
北朝鮮をめぐる安倍政権の過剰な反応には海外メディアも冷めた目を向けています。その上、解散となれば国際社会で物笑いの種です」(五野井郁夫氏=前出)
 安倍は自己保身のために内政も外交も私物化しているのである。

臨時国会が始まればモリ・カケ疑惑でオシマイだった安倍政権
 国民から「大義がない」と批判されても安倍首相が冒頭解散を決めたのは、野党に国会審議をさせないためだ。安倍は臨時国会を開くことを極端に嫌がっていたという。
 実際、12月まで国会審議が続いたらモリ・カケ疑惑が再燃し、安倍が火ダルマになるのは間違いなかった。
 政治学者の五十嵐仁氏は言う。
唐突な解散は、モリ・カケ疑惑隠しであることは歴然です。悲願の憲法改正を実現するための改憲勢力3分の2を失うリスクを負ってでも、総選挙をやって臨時国会を潰さなければ政権維持は危うい。そう判断したのでしょう。事実、通常国会の閉会後も森友、加計両学園をめぐる新事実が次々と明るみに出て、野党は臨時国会で猛攻勢をかけようと手ぐすねを引いていた。内閣支持率は下げ止まり傾向ですが、モリ・カケ疑惑を追及されたら、再び支持率は30%台に下落してもおかしくなかった。臨時国会で袋叩きに遭えば、安倍政権はもたなかったはずです」

 臨時国会の論戦がヤマ場を迎える9月、10月はモリ・カケ疑惑が一気に噴き出すと予想されていた。
 まず、森友学園にタダ同然で払い下げられた国有地売却をめぐっては、会計検査院が月内にも報告書を公表する予定だ。
 加計疑惑の方は、来年4月開学を計画する獣医学部の認可を決定する文科省の大学設置・学校法人審議会(設置審)の結論が10月末にも出るとみられている。疑惑が晴れないまま開学にGOサインが出れば、世論の爆発は必至である。
安倍政権が続く限り、モリ・カケ疑惑は永遠に終わらない。安倍首相が説明すればするほど、矛盾が広がるだけだからです。誰がどう見ても、森友疑惑に安倍夫妻が関与していたことも、加計ありきだったことも事実ですからね。国税庁長官に栄転した佐川宣寿氏への国民の反発も強い。安倍首相はモリ・カケ疑惑をリセットするには、もう解散しかないと考えたのでしょう」(政治評論家の本澤二郎氏)
 臨時国会が始まれば、安倍内閣は確実にオシマイだった。


ここまで狂ったかと国民唖然 大義なき冒頭解散に逆風<中> 
  国民を愚弄し舐めている悪辣政権の短絡的発想「今なら勝てる」 
日刊ゲンダイ 2017年9月19日
(阿修羅 赤かぶ投稿より転載)
「仕事人内閣」が聞いて呆れるペテン師政権の大言壮語と大風呂敷
 大義のない解散には、安倍応援団の山本一太参院議員までが「ちゃんとした説明がないまま選挙をやったら、それこそ『国民をバカにしている!』と思われてしまう」 とブログで批判していたが、ホント、その通りだ。
 そもそも、安倍は8月3日に内閣改造をした時、「結果本位の『仕事人内閣』だ」と豪語していたはずだ。仕事人内閣だったら総選挙をしている暇などないはずである。なのに、内閣改造後、2カ月も国会を開かず、開いた途端に解散しようとは、仕事人内閣が聞いて呆れるというものだ。10月22日総選挙となったら、この内閣は丸々3カ月間もまともに仕事をしないことになる。
 さすがに、おかしいと感じたのだろう。山本一太は「『仕事師内閣で実績を上げていく』と明言した総理の言葉との整合性も問われる」とも批判していた。
 しかも、言うに事欠いて安倍は、「人づくり革命」を重要政策に掲げ、「人生100年時代を見据えた経済社会のあり方を大胆に構想する」と大風呂敷を広げていたのだから、国民をバカにするにも程がある。

 政治ジャーナリストの角谷浩一氏がこう言う。
「安倍首相は、改造時にさまざまな政策の実現を約束していたはずです。それを一度も国会で議論しないというのだから、国民との約束を反故にしたのも同然です。そもそも、本気で仕事する気があったのかも疑わしい。改造で入閣した大臣は『仕事人』とはほど遠い顔ぶれだからです。何しろ、江崎鉄磨沖縄北方相は、北方領土問題について『素人』と白状していた。要するに8月3日の内閣改造は、モリ・カケ疑惑などで不誠実な答弁を繰り返した大臣を外すことが目的だったのでしょう」
 このままでは、仕事人内閣は、ほとんど仕事をしないまま終わる。いったい安倍はどう釈明するつもりなのか。

国民を愚弄し舐めている悪辣政権の短絡的発想「今なら勝てる」
 安倍が“必然性”も“大義”もない解散を決めた理由はハッキリしている。「今なら勝てる」というだけの話だ。
 9月の世論調査で支持率が回復しはじめると、安倍は「解散は良い時にやらなければダメだな」と突然、口にしはじめたという。どうやら本人は、内閣支持率が上昇し、野党第1党の民進党が「離党ドミノ」でガタガタしている今なら勝てると皮算用したらしい。
 自民党議員も「今の民進党には誰も投票しない」「与党が弱っていても野党がもっと弱ければ選挙は勝てる。それが小選挙区制度の戦い方だ」と、臨時国会の冒頭解散を歓迎している。
 さらに、今なら小池新党も準備が間に合わず、野党の選挙協力も整わないと踏んだらしい。
「自民党が恐れているのは、小池新党が候補者を大量擁立してブームになることと、野党の選挙協力が進むことです。でも、今解散してしまえば、どちらも間に合わないと計算したのでしょう。実際、1カ月後の総選挙では小池新党はまともに候補者を用意できないでしょう。野党の選挙協力も現時点ではまったく進んでいない。民進党と共産党は200以上の選挙区で候補者が競合している。野党が弱く対抗勢力が不在では、有権者は選択肢がなく、結果的に自民党が大勝してしまう。臨時国会の冒頭解散を自民党議員が千載一遇のチャンスだと歓迎しているのは確かです」(本澤二郎氏=前出)

 いざ選挙戦に突入したら、自民党は「北朝鮮危機」を煽り、「皆さん、あの民進党に安全保障を任せられますか」と訴えていく方針だそうだ。驚くことに、この一言で、有権者は自民党に一票を入れると自信を深めている。


ここまで狂ったかと国民唖然 大義なき冒頭解散に逆風<下>
大義なき選挙を繰り返すヒトラーさながらの民主主義破壊
日刊ゲンダイ  2017年9月19日
(阿修羅 赤かぶ投稿より転載)
 自民党内からも慎重論が渦巻く安倍の「大義なき」解散は、職権乱用どころか、憲法違反の疑いすらある。
「憲法が定めた衆院解散の条件は本来、69条の『内閣不信任決議案の可決』と『信任決議案の否決』への対抗措置のみ。ところが、1952年に吉田内閣が69条によらず、天皇の国事行為を定めた7条に『衆議院の解散』があるのを根拠として“抜き打ち解散”に打って出た。違憲訴訟が起きましたが、最高裁は『極めて政治性の高い統治行為』を理由に判断を棚上げ。それを頼りに歴代政権はこの悪習を踏襲してきたのです。ここまで無制約に内閣が解散権を行使できる民主国家はありません」(立正大名誉教授・金子勝氏=憲法)
 一部メディアは、麻生副首相が安倍に「首相の専権事項なので、どこで解散すると言っても止めません」と伝えたことが解散の決断につながったように報じたが、麻生の認識は大間違い。7条解散を許すにしても、天皇への「助言と承認」を行うのは「内閣」。解散は「内閣」の権限であり、首相の専権ではない。

 大義なき冒頭解散は、憲法の大原則を蹂躙し続ける安倍政権の姿勢を象徴している。
「3年前に続き、政権維持のためだけに再び大義なき解散を繰り返す安倍首相の手口は、ヒトラーさながらです。1932年7月の選挙でナチ党が第1党に躍進して以降、ヒトラーは権力掌握のために32年11月、33年3月、33年11月と1年余りで4度も選挙を実施。悪名高い『全権委任法』成立後の4度目の選挙でナチ党以外の存続と新設を禁じ、ついに独裁者となったのですが、首相も目指す方向は同じではないか。野党側の選挙準備の遅れを突き、国民の政治選択肢を奪ってまで、『安倍1強』という名の独裁を強めようとする。まるで民主主義の破壊もいとわない手口に、大マスコミも無批判が過ぎます」(金子勝氏=前出)
 次の選挙は民主国家としての存続がかかっている。民主主義を破壊して平然の安倍自民を勝たせたら、この国は本当にオシマイだ。
  
野党共闘次第だが、この選挙で安倍自民党は大きく議席を減らす可能性
 臨時国会の冒頭解散を決断した安倍首相は、「今なら勝てる」と信じ込み、大手メディアも自民党の大勝を予想している。たしかに、野党の選挙協力は進まず、小池新党も準備が間に合いそうもない。しかし、「大義なき解散」を強行して大勝できると思うのは甘すぎる。有権者もバカじゃないからだ。「大義なき解散」に批判を強めるのは確実である。
 山本一太が「国民の目には『国会での疑惑追及を逃れるために解散する』みたいに映る」「『国民をバカにしている』と思われてしまう」とブログで批判している通りだ。

 政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏はこう言う。
過去、ほとんどの解散はたいした大義がなく、大義はあとからついてきました。でも、今回ばかりは本当に大義がない。これだけ“大義ない”と批判されたら、もう国民が納得する大義を掲げるのは難しいと思う。大義のない解散・総選挙は苦しいですよ。さらに、安倍首相にとって誤算なのは、民進党の“離党ドミノ”をストップさせてしまいそうなことです。もし、10月22日に予定されていたトリプル補選で民進党が3敗し、民進党の支持率が低迷したままだったら、年末に集団離党が起きる可能性があった。でも、目の前に選挙が迫ったことで、もう離党する民進党議員はほとんどいないでしょう。カネと組織を考えたら民進党にいた方が得策だからです。臨時国会の冒頭解散は、離党ドミノを止め、民進党の結束を強める可能性があります

 9・28解散10・22総選挙は、波乱が起きておかしくない。なにより、モリ・カケ疑惑に対する国民の不信感は、まったく消えていない。
「自民党が大勝するかどうか、カギは野党の選挙協力が整うかどうかです。都議選で自民党が歴史的な敗北を喫したのも、小池新党という反自民の“受け皿”があったからです。安倍自民党に対する国民の不満は強い。野党が“受け皿”さえ用意できれば、かならず票が集まるはずです。昨年の参院選も、32ある1人区のうち、野党の統一候補は11選挙区で勝利している。野党共闘の効果は明らかです。自民党に対抗する“受け皿”があれば、これまで棄権していた有権者も投票所に足を運ぶ。逆に、野党がバラバラに戦ったら絶対に勝てません」(鈴木哲夫氏=前出)

 国民をバカにして冒頭解散に打って出る安倍首相の策略を許すのかどうか。10月22日の総選挙は、この国の運命を決めることになる。