2017年9月25日月曜日

25- 米B1爆撃機が南北境界線越えて飛行 戦闘機も +

 トランプ大統領は国連演説で金正恩を「ロケットマン」と呼び、「北朝鮮を完全に破壊する」と威嚇したあとも、22日夜、南部アラバマ州で行った演説でも「チビのロケットマン」と呼び、彼は太平洋上で水爆を爆発させる話しているが、てつもない災難を引き起こす」「常軌を逸した人物に至る所にロケットをうたせるわけにはいかない」と述べました。
 一方、金正恩はトランプを「米国の老いぼれ狂人」「火遊び好きなチンピラ」と呼び、朝鮮労働党委員長声明の中で「歴代暴悪な宣戦布告であり、史上最高の超強硬対応措置の断行を慎重に考慮する」と反撃しました。

 ロシアのラブロフ外相22日、ニューヨークの国連本部で記者会見し、米朝首脳のこうした関係を「幼児同士のけんか」と表現し、緊張緩和を呼び掛けました。

 幼児の口喧嘩で留まっている分にはいいのですが、米軍は23日、B1-B爆撃機トF15戦闘機が北朝鮮と韓国の軍事境界線を越え、東方沖の国際空域を今世紀で最も北まで飛行」しと発表しました。
 これは明らかな軍事的挑発で、軍事的接触一歩手前の極めて危険な行動です。
 軍事的に絶対有利な米軍の軍事挑発・威嚇は、北朝鮮が忌避してやまない米韓軍事演習に対する抗議としてのミサイル試射とは意味合いが違います。
 トランプ大統領と米軍は一体何を考えているのでしょうか。


 「米大統領発言に反発 国連総会一般討論 北朝鮮外相が演説」の記事を併せて紹介します。
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北朝鮮東方を飛行 B1爆撃機 境界線越え、反発確実
時事通信 2017年9月24日
【ワシントン時事】米国防総省のホワイト報道官は23日、B1爆撃機とF15戦闘機が北朝鮮東方の国際空域を飛行したと発表した。

 声明によれば、北朝鮮と韓国の軍事境界線を越え「今世紀で最も北まで飛行した」と説明した。報道官は「北朝鮮による見境のない行為を重大に受け止めていることを明確に示した」と強調。この示威行動に北朝鮮が猛反発するのは確実だ。
 声明によると、沖縄を拠点とするF15戦闘機がグアムから飛来した複数のB1爆撃機を護衛した。
 報道官は、北朝鮮の核・ミサイル開発について「アジア太平洋地域における深刻な脅威だ」と強調。「米国がいかなる脅威も打破する軍事的選択肢を持っているという明確なメッセージと決意を示すための任務だった」と説明した。

 米軍の声明は、北朝鮮の李容浩外相が国連総会で一般討論演説を行う直前に発表された。トランプ大統領が19日の国連演説で北朝鮮の「完全破壊」を警告して以降、米朝間の威嚇の応酬は激しさを増している。北朝鮮が今回の米軍の行動を受け、弾道ミサイル発射などの対抗措置を取る可能性もある。


米朝の応酬は「園児のけんか」 露外相が緊張緩和呼びかけ
 日刊ゲンダイ 2017年9月23日
 エスカレートする一方のトランプ米大統領と金正恩朝鮮労働党委員長の応酬を「ガキのけんかかよ」と呆れている人も多いのではないか。
 ロシアのラブロフ外相も同じだったようで22日、ニューヨークの国連本部で記者会見し、米朝関係を「幼稚園児同士のけんか」と表現し、緊張緩和を呼び掛けた。

 トランプは19日、国連総会で行った演説で、「場合によっては北朝鮮を完全に壊滅せざるを得ない」と警告したことに正恩は異例の声明を出して「最高の超強硬な対応策を取る」と威嚇した上、李容浩外相は太平洋での水爆実験の可能性に言及するなど威嚇の応酬が続いている
 ラブロフ外相は「核兵器による軍事的冒険は受け入れられない」と北朝鮮を批判した上で、「熱くなった頭を冷やして、接触が必要だということを理解しなければならない」と述べ、米朝双方に自制を要求。
 その上で「われわれは、誰にも止められない幼稚園児のけんかの代わりに、感情的ではなく理性的なアプローチを取るよう努力し続ける」と語った。

 具体的には、欧州の中立国か国連事務総長が米朝の仲介役になることも選択肢のひとつだという考えを改めて示す一方、国連総会中に李外相と会談する予定はないとも語った。


米大統領発言に反発 国連総会一般討論 北朝鮮外相が演説
事務総長 政治的解決の必要性強調
しんぶん赤旗 2017年9月25日
【ニューヨーク=池田晋】北朝鮮の李容浩(リ・ヨンホ)外相は23日午後(日本時間24日未明)、国連総会で一般討論演説を行い、トランプ米大統領が同国を「完全に破壊する」などとした19日の演説に対し、「自殺行為の任務を進めているのは他ならぬトランプ自身だ」などと強く反発し、威嚇仕返しました。演説後、李氏は国連のグテレス事務総長と会談。国連側の発表によると、グテレス氏は政治的解決の必要性を強調し、緊張緩和と安保理決議の順守を求めました。
 各国首脳から北朝鮮問題の平和的解決と緊張緩和を求める声が相次ぐ一方、トランプ氏の発言を契機に国連の舞台を中心にして再び米朝間の威嚇の応酬が激しさを増しています。

 李氏は、「朝鮮半島情勢の本質は米朝間の対立にある」との見方を示した上で、米朝対立が米国による長年の敵視政策と核による威嚇を背景とするものだと主張。北朝鮮の核戦力の目的は、米国の核の脅威を終わらせ、侵攻を防ぐ抑止力の獲得にあり、「究極目標は米国との力の均衡の確立だ」としました。

 また、米国が、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長を暗殺する「斬首」作戦や軍事攻撃の兆候を示せば、「容赦ない先制行動によって予防的措置を取る」と先制攻撃も辞さない姿勢を示してけん制しました。
 自国を「責任ある核保有国」だと位置づけ、「今や核戦力の完成の最後の門までわずか数歩というところまで来た」と宣言。米国の軍事行動に加わらない諸国に対しては、核の使用やその威嚇を与えるいかなる意図もないとも説明しました。

 トランプ氏に対しては、「誇大妄想と独り善がりに満ちた異常者」が「全米へのロケット到達を一層不可避にする取り返しのつかない過ちを犯した」などと攻撃。累次の対北制裁決議を科してきた安全保障理事会のあり方にも不満を表明しました。