2017年9月3日日曜日

03- 消費税増税推進論者が民進党代表に

 憲法9条改正論者で、共産党との共闘を否定しながら小池百合子氏との親和性は隠さずに連携の可能性を口にし、消費税増税を政策の柱とする前原氏が民進党新代表に選ばれました。最悪の結果です。
 民進党の中でリベラルと見られていた議員たちの多くが前原氏を支持しました。民進党は一体何を考えているのでしょうか。

 植草一秀氏は、
 「民進党の前途は多難で、特に政権党であった民主党が国民から完全に見放される主因になったのが、菅直人政権と野田佳彦政権による『シロアリ退治なき消費税増税』への『転向』であった」と指摘し、「消費税増税を容認する民進党では国民の支持を得ることは困難である」と述べました。

 普段は国内問題には触れない櫻井ジャーナルも、
 「前原氏のような人物を党代表にする政党が庶民の利益を考えているわけがなく、有権者もその程度のことは理解している
 「消費税増税は弱者から搾り取り強者を裕福にする政策で、日米の支配層が望んでいたもの」
 「田中角栄と周恩来の間で『棚上げ』で合意していた尖閣諸島の領有権問題を、中国漁船船長を逮捕して日本と中国との関係悪化を図ったのが前原氏」
だと酷評しました。

 民主党が勝利して政権の座に就いた総選挙では、莫大な金を注ぎ込みながら一向に進展しない八ッ場ダム工事の中止を公約に掲げていました。前原氏は国交相として現地に向かいましたが結局説得することが出来ずに、公約は実行されませんでした。「口先番長」と言われる所以です。

 一方、共闘を拒否された共産党の志位委員長は、記者会見を開き
 「前原新代表にお祝いのメッセージを送りたい。私たちとしては、野党と市民の共闘をさらに発展させるために、しっかりと話し合いを行っていきたい」
と野党共闘を目指すことを明言し、大人の対応を見せました。
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消費税増税推進民進党は総選挙で大敗する
植草一秀の「知られざる真実」 2017年9月 2日
民進党が新代表に前原誠司氏を選出したが、前途は多難である。
主権者国民にとっての政治とのかかわりにおいて、何よりも重要なのは 「政策」である。「政党」ではない。
中 略
次の総選挙で主権者国民が判断しなければならない最重要の政策テーマは、原発、憲法、経済政策 である。
中 略
そして、もうひとつの最重要テーマが「経済政策」である。
安倍政権は「格差拡大推進」、「格差拡大放置」の経済政策を実行している。この経済政策の是非が問われている。
「格差」にかかわる「経済政策」として検討が求められるのは、「歳出構造」、「税制」、「労働政策」の三つである。
「歳出構造」で問題なのは、「利権支出」のウエイトが大きく「プログラム支出」のウエイトが低いこと。日本財政の最大の構造問題がここにある。
歳出構造を全面的に刷新すれば、現在の支出水準で社会保障を劇的に拡充することができる。

直近25年間の「税制」変遷を見ると、所得税と法人税が「巨大減税」された一方で、消費税が「巨大増税」された。この「税制改変」を是とするのか、非とするのか。
そして、格差拡大の最大の背景は、「資本」による「労働コスト最小化」の激しい運動と、これを全面支援してきた政府による労働政策改変である。
正規労働者が激減して中間所得者層が激減し、新しい低所得者階層が大量に生み出されてきた。この流れを変えるための経済政策が求められている。

「歳出構造」が全面的に刷新されるなら、消費税が存続しても、格差問題は解消し得る。
北欧諸国の事例を見れば、それは分かる。
しかし、日本財政の最大の問題は「歳出構造」にある。歳出において、社会保障支出が削減の対象とされ、各種利権の温床である裁量支出=利権支出が増大されてきた。
この「歳出構造」が見直されぬまま、消費税増税を続けていることが、「格差拡大推進」、「格差拡大放置」の結果を生み出しているのである。
2009年に発足した鳩山政権は、ここにメスを入れることを明示した。その政策基本方針を分かりやすく表現したのが「シロアリ退治なくして消費税増税なし」なのだ。
そして、民主党が主権者国民から完全に見放される主因になったのが、菅直人政権と野田佳彦政権による「シロアリ退治なき消費税増税」への「転向」であった。
この「原点」を直視することなく、「消費税増税推進」の旗を掲げる以上、前原民進党に明日はないと言って過言ではない

「歳出構造」を全面的に刷新できるなら、最終的には消費税も財源調達の手段にはなり得るだろう。
しかし、「歳出構造」を変えずに、消費税増税を容認するなら、これまでの「格差拡大推進」、「格差拡大放置」の路線を踏襲するだけのことになる。
だからこそ重要なことは、「歳出構造の刷新」を実現するまでは消費税増税を封印することなのだ。これが「シロアリ退治なき消費税増税封殺」である。

民主党の凋落の原因を踏まえるなら、消費税をいったん5%に引き戻し、その上で「歳出構造刷新」を断行することを提示するべきである。
消費税増税容認の民進党では、主権者国民の支持を得ることは困難である。
(以下は有料ブログのため非公開)

米支配層の意向に沿い、日中関係を悪化させる引き金を引いた前原を
党代表に選ぶ政党の厚顔無恥  
櫻井ジャーナル 2017年9月2日
前原誠司が民進党の代表に選ばれたそうだ。野田佳彦幹事長と同じ松下政経塾の出身で、考え方は似ている。経済問題は新自由主義(ニューリベラル)、国際問題は新保守(ネオコンサーバティブ/ネオコン)。リベラルとコンサーバティブは正反対のようだが、実態は同じで、強者総取り、巨大資本が世界を支配する体制の構築を目標にしている。こうした人物を党代表にしたり幹事長にする政党が庶民の利益を考えているわけがない。有権者もその程度のことは理解しているだろう。

前原は鳩山由起夫内閣と菅直人内閣で国土交通大臣(2009年9月〜10年9月)、菅内閣で外務大臣(2010年9月〜11年3月)などを、野田は菅内閣で財務大臣(2010年6月〜11年9月)、そして内閣総理大臣(2011年9月〜12年12月)を務めた。2011年12月に野田は炉心溶融という大事故を引き起こし、全く機能していない東京電力福島第1原子力発電所の原子炉が冷温停止状態を達成したという戯言を主張、11年12月には内閣総辞職して安倍晋三政権誕生への道を作った。
その間、菅直人政権はTPPへの参加を、また野田政権は消費税増税を打ち出している。いずれも弱者から搾り取り、強者を裕福にする政策で、日米の支配層が望んでいたものだ。
中 略
中国を締め上げる最前線は言うまでもなく日本。両国の間には尖閣諸島の領有権問題があるのだが、これは1970年代に田中角栄と周恩来とが「棚上げ」で合意していた。この問題を棚上げにして両国の友好を推進、経済関係を強めようとしたわけだ。この問題を棚から引きずり下ろしたのが民主党の菅直人政権だった。

2010年9月、菅政権の時に海上保安庁は尖閣諸島付近で操業していた中国の漁船を取り締まり、漁船の船長を逮捕しているが、これは「日中漁業協定」を無視する行為。当然、海上保安庁は協定を熟知しているはず。海上保安庁は国土交通省の外局で、その当時の国土交通大臣は前原。大臣の意思がなければ不可能な行為だ。つまり、前原は田中と周による棚上げ合意を壊し、日本と中国との関係悪化を図ったのである。
実際、この逮捕で日本と中国との関係は悪化するが、2011年3月11日に東北の太平洋側で巨大地震が起こり、日本と中国の対立は緩和されそうになる。そうした雰囲気を消し去って関係悪化の方向へ戻したのが石原親子だ。

2011年12月に​石原伸晃​が「ハドソン研究所で講演、尖閣諸島を公的な管理下に置いて自衛隊を常駐させ、軍事予算を大きく増やすと発言した。この背後にはネオコンの大物でポール・ウォルフォウィッツの弟子にあたるI・ルイス・リビーがいたと言われている。リビーはハドソン研究所の上級副所長だった。さらに、2012年4月に石原伸晃の父親、石原慎太郎知事(当時)が「ヘリテージ財団」主催のシンポジウムで尖閣諸島の魚釣島、北小島、南児島を東京都が買い取る意向を示して中国との関係は決定的に悪くなる。安倍晋三もハドソン研究所と関係が深いが、そのつながりを築いたのもリビーだ。


野党と市民の共闘発展へしっかり話し合いたい
民進党代表に前原氏 志位委員長が記者会見
しんぶん赤旗 2017年9月2日
 日本共産党の志位和夫委員長は1日、国会内で記者会見し、民進党の新代表に前原誠司元外相が選出されたことについて問われ、「前原新代表にお祝いのメッセージを送りたい。私たちとしては、野党と市民の共闘をさらに発展させるために、しっかりと話し合いを行っていきたい」と述べました。
 志位氏は、野党間の選挙協力について問われ、「まずは10月22日の三つの衆院補欠選挙で野党統一候補をつくり、三つとも勝利をめざす。そのための話し合いをしてきたい」と強調しました。

 さらに次期総選挙の対応について問われ、「私たちは一貫して、共通政策・共通公約を豊かなものにしていく努力が必要だと主張してきた。小選挙区については、野党統一候補をつくる努力を行い、相互推薦・相互支援を原則にして話し合いをしていきたいと述べてきた。こうした方向で努力を強めたい」と述べました。
 志位氏は、野党4党で(1)安保法制(戦争法)廃止、立憲主義の回復(2)アベノミクスによる国民生活破壊、格差と貧困を是正する(3)TPP(環太平洋連携協定)や沖縄問題など、国民の声に耳を傾けない強権政治を許さない(4)安倍政権のもとでの憲法改悪に反対する―の4点で合意してきたことなどをあげ、「これまでの政治的合意を大事にし、さらに豊かにしていくために話し合っていきたい」と強調しました。

 また、「核兵器禁止条約への日本の参加が大きな課題になっている。この点では野党4党で一致しうるのではないか。これも入ると、野党共闘が国際的大義を持つ共闘になる」として、「そういうこともふくめて話し合っていきたい」と述べました。