2017年7月22日土曜日

誰が安倍首相の代わりを担うのかだ

 経済学者の高橋乗宣氏が、連載記事の中で安倍内閣の「終わり」を宣言しました。
 支持率が下げ止まらずに、危険水域の30%を割り込んだのは安倍首相の自業自得。
 任命した大臣は醜聞と暴言の連発で、とりわけヒドイのは失態続きの稲田防衛相。
 政権不人気の理由に5月3日に突然の9条改正に着手すると公言したことがあるのを忘れがち。
 もはやレームダック政権に未来はない。内閣改造を断行しても政権浮揚にはつながらない。安倍首相にはその座を降りる道しか残されていない。問題は誰が代わりを務めるかだ。
 ないものねだり」と言えばそれまでだが、日本の将来は危ういという思いが募るばかり。
 という具合です。
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   日本経済一歩先の真相
すこぶる難題なのは 誰が安倍首相の代わりを担うのかだ
高橋乗宣 日刊ゲンダイ 2017年7月21日
 安倍内閣の支持率が下げ止まらない。時事通信が7日から10日に行った世論調査では、前月比15.2ポイント減の29.9%に激減。さらに15、16両日実施のANN調査は29.2%と、調査のたびに支持率をドンドン落としている。

 支持率が危険水域の30%を割り込んだのも、安倍首相の自業自得だ。任命した大臣は醜聞と暴言を連発。とりわけヒドイのは、都議選の応援で「自衛隊としてお願い」と言ってのけるなど、失態続きの稲田防衛相なのだが、首相の“お気に入り”という理由だけで罷免を逃れ続けている。
 ここまでロコツな無能大臣への「えこひいき」を見せつけられたら、今まで「なんとなく」支持してきた層もすっかり興ざめしたに違いない。
「もり」と「かけ」の両学園の疑惑だって、大本は安倍夫妻の“お友だち”へのえこひいき。それなのに問題の獣医学部新設について、安倍首相は「1校限定という中途半端な妥協が国民的な疑念を招く一因」「速やかに全国展開を目指す」とむちゃな言い訳を展開する始末だ。ここまで、人間は傲慢になれるものかと驚いてしまう。

 もちろん、この1、2カ月間の支持率激減は、政権の不始末が招いた結果だが、大事な要因が意外と忘れられがちだ。5月3日の憲法記念日に、安倍首相が突然9条改正に着手すると公言したことである。
 あの改憲宣言以降、傲慢えこひいき政権に大事な平和憲法をいじられたら、この国は大変なことになる。そうした危機意識から世論の支持が一気に、ひっくり返ったように感じるのだ。国民の慧眼には「さすがだ」と頭の下がる思いである。
 もはやレームダック政権に未来はない。内閣改造を断行しても政権浮揚にはつながらない。遅くとも来年秋実施の総選挙だって勝てるわけがない。安倍首相にはその座を降りる道しか残されていないが、問題は誰が代わりを務めるかだ

「安倍1強」とは安倍首相の強さを表す言葉ではなく、政界の人材払底を意味する。有力視される石破前地方創生相も頼りない。自ら倒閣に動く気配はなく、むしろ安倍首相との対立から逃げているようにしか見えない。野党を見渡しても政権を担える党はゼロ。政治の将来はどうなるのだろうと、国民も皆、不安に駆られているはずだ。

 この国にもドイツのメルケル首相のような優秀な女性政治家や、フランスのマクロン大統領に匹敵する若手政治家が彗星のごとく現れないものだろうか。日本版メルケルなら、都政で飛ぶ鳥を落とす勢いにある小池知事が有資格者になり得るかも知れないが、マクロンは皆無だ。今の若手政治家の話題は不倫や金銭トラブルなど、いずれもスキャンダル絡みしかない。
「ないものねだり」と言えばそれまでだが、日本の将来は危ういという思いが募るばかりである。