2017年7月15日土曜日

消費税制 誤った理論を拡散した御用学者たち(日々雑感)

 アベノミクスはつまるところ、見かけの物価上昇2%を実現して消費税を10%に上げようとするものです。国民の実質所得が下がっている中で消費税を上げたらどんなことになるのかについては、少なくとも過去2回経験しています。
 消費税は当初「完全に公平な課税」、「直間比率の是正」を口実に導入されましたが、やがて「課税率の逆進性」という決定的な欠点が周知され正当性は失われました。まして日本は生活必需品にも無差別に課税するという世界に類を見ない方式です。

 消費税は「悪魔の税制」と呼ばれるにふさわしいものですが、不思議なことにメディアや体制側の学者たちの中には消費税を否定する論調は皆無で、当面10%への税率アップの必要性ばかりが強調されています。税収の主体を消費税に求める場合には税率を20%以上に上げなければ収支がバランスしないというのにです。消費税を上げないと社会保障費の財源が枯渇するなどの主張はそもそも倒錯した論理です。
 本来消費税は社会的強者が社会的弱者に自らの税負担分を負わせようとするもので、高額所得者に好都合な税制です。消費税はすみやかに廃止し、所得税・法人税を等を主体とする税法の改正を行うべきです。
 「日々雑感」の記事を紹介します。
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誤った理論を日本に拡散した御用学者たちを批判する
日々雑感 2017/07/14
所得税は、格差を是正する機能を強化することは必要だが、増加する社会保障財源を追加的に賄うための主たる税源にはなり得ない。わが国の所得税は、基本的に給与所得を稼ぐ現役世代に負担が集中し、高齢世代に負担はほとんど及ばない。こうした所得税を増税して財源を賄うこととすれば、若年世代ばかりが負担増となり、受益と負担の世代間格差は、ますます拡大する。所得税は、世代内の所得格差是正には役立つが、世代間格差の是正には役立たない。だから、所得税だけでどしどし負担増を求めることは、稼ぎ手の若年層ばかりに負担増を求め、日本経済の成長源に過度な負担を求めることとなり、望ましくない。
相続税を増税すればよいとの声もある。しかし、相続税は今得ている税収でも、消費税率の1%分にも満たない。こうした相続税を倍増するような増税を考えれば、大金持ちだけでなく、普通の暮らしをする持ち家を持つ人にまで負担増を求めなければ、実現できない。しかも、それでいて、今の税収を倍増して得られる追加的な税収は消費税率の1%分にも満たない。これでは、増大する社会保障費をとても賄えない。

そうなると、経済成長と財政健全化を両立させる税は、消費税しかないし、消費税こそがふさわしい税である。消費税は、税収が景況の影響を受けにくいから、景気の良し悪しに関係なく安定的な財源が必要な社会保障費を賄うのには適している。しかも、同じ税収を得るのに経済成長を最も落ち込ませない税は、消費課税である、と経済学の先行研究が示している。増税負担は最低限にとどめるべきなのはいうまでもないが、いくつかある基幹税のうち、経済成長をできるだけ落ち込ませないようにできる税は、所得税でも法人税でもなく、消費税である。その意味で、消費税は経済成長をより阻害しない税である。

この点から見ると、消費増税せずとも、現行税制のまま経済成長を促すことによって得られる増収(自然増収)で財源を賄えばよい、という見方は、せっかくの日本経済の成長機会を奪っている見方といえる。というのも、現行税制は、相対的に消費税よりも所得税や法人税から税収を多く得る構造となっている。その構造を引きずったまま、経済成長を促して税収を得たとしても、その自然税収は、消費税よりも所得税や法人税から多く得ることとなる。つまり、同じ税収を得るのに、現行税制だと消費税より所得税や法人税でより多く得てしまうから、その同じ税収をより多く消費税から得られる税制にあらかじめ変えていた方が、もっと経済成長を阻害せずに済んだのに、ということになる。

消費増税を延期するということは、日本の税制を所得税や法人税から多く税収を得る構造を変える機会を先送りして、その分成長機会を逸することをも意味する。
できるだけ早期に行うのが望ましい
さらにいえば、いずれ必要な歳出を賄うために税収確保が必要で、先送りすればするほど、将来に税収を確保するために必要となる税率は高くせざるを得ない。目先に税収を得る機会を見送っているわけだから、増税を先送りして失った税収を将来のいずれかの時期に取り返さなければならず、その分だけ税率を高くしなければならない。税率を高くすればするほど、経済活動は萎縮する。

現在の増税の先送りは、今の税負担を軽くするものの、将来の税負担を重くすることになる。つまり、今増税すれば目先の経済成長は小さく落ち込むが、将来に経済成長は落ち込まない。今増税を先送りすれば、将来大きく増税しなければならず、そのときには将来の日本経済を大きく落ち込ませることになる。果たして、それが現在から将来にかけて見通した日本経済のためになるのだろうか。

わが国の人口構造や財政状況からして、消費増税は永久に先送りできるはずもなく、時間の問題だ。近い将来、消費税率は最低でも10%を超える税率にしなければ、わが国の経済社会は成り立たない。世代間格差を拡大させないようにし、将来引き上げる増税幅をできるだけ小さくする意味でも、できるだけ早期に行うのが望ましい。税率引き上げは不可避なのに、先送りを繰り返すのは、茶番劇というしかない。
筆者土居 丈朗(どい たけろう)慶應義塾大学 経済学部教授
(以上「東洋経済社」より引用)

 土居氏は御用学者というべき御仁だ。慶応大学には竹中平蔵氏も含めて、妙な学者が多いのはなぜだろうか。開学の福沢諭吉氏は「痩せ我慢」を旨として政権に阿るのを潔しとはしなかった。

 安倍自公政権は2014年に消費増税を断行して総需要不足を招きデフレに日本経済を叩き落として国民を貧困化させた。消費増税が経済政策として間違いだったと結論が出ているのに、まだ土居氏あたりは消費増税10%は待ったなしだと主張している。
 そうしなければ社会保障費を賄えない、と消費増税の理由を説明しているが、消費増税5%の時も8%の時も同じ説明を時の政府はしていた。しかし実態は消費増税は法人減税の財源もしくは法人への消費還付税の財源として蚕食されて、社会福祉の財源になっていない。

 つまり財務官僚は「社会福祉財源が足りない」と叫んで国民の稼ぎから税を奪い取ろうとしている。だから常に社会保障は財源不足の「赤字」にしておかなければならない。
 そもそも社会保障は社会保険料で賄うものではなかったはずだ。税は社会保障のために徴収していたはずだ。富の格差是正を徴税と社会保障分配することによって格差是正を行うという役割があったはずだ。
 しかし、いつの間にか社会保険料が社会保障の財源で、税の投入は「不足」部分の補填だ、という刷り込みを日本のマスメディアが日本国民にせっせと行ってきた
 多くの純情な日本国民は「社会保障の財源」が不足しているのなら消費増税の仕方ないか、と考えだしている。それが官僚たちの狙いだ。

 しかし総需要を減少させる消費増税をデフレ経済下で行うのは愚策そのものだ。むしろ消費減税を行って法人税を以前に戻した方が良い。日本が経済的に成功していた当時の政策を思い出すが良い。
 当時は法人税は37%以上と高かったが、その代わり技術開発減税だの、研究開発減税だの、特別な生産機器に関しては特別償却だのと、企業活動を生産性向上へと導く誘導策に満ち満ちていた。今のようなジェトロだとかが日本企業の海外移転を手助けするなどといった日本国民の雇用の場を喪失させる政策に血道を上げるなどといった愚かなことはそれほどやっていなかった。

 日本株式会社として政府も企業も労働者も一体となって明日の豊かな国民生活を夢見て頑張っていた。そのためには終身雇用制度が必要だったし、非正規雇用などは考えられなかった。人材こそが企業そのものだという考えが主流を占めていた。

 短期的な企業利益の最大化を賛美する薄っぺらな経済評論家や投資相談家たちが跋扈するようになって日本はおかしくなった。その最たる者が竹中氏たちの「構造改革」論者たち御用学者だ。今も国家戦略特区の民間委員として加計学園などでワルサを働いているようだ。国民を騙す連中は徹底的に批判しなければならない。