2017年7月12日水曜日

12- 「核兵器禁止条約採択を心から歓迎する」世界平和七人委

 7日にニューヨークの国連本部で採択された核兵器禁止条約について、世界平和アピール七人委員会が10日、「核兵器禁止条約採択を心から歓迎する」声明を発表しました。
 その中で「唯一の戦争被爆国の日本政府が会議に参加せず、国連本部外で行われた核兵器保有国と核の傘に固執する少数国の会合に参加したことは歴史に残る汚点である」と述べています。

 「核兵器禁止条約に不参加 保有国の二枚舌に盲従する日本」とする日刊ゲンダイの記事も併せて紹介します。
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核兵器禁止条約採択を心から歓迎する
2017年7月10日         
   世界平和アピール七人委員会      
武者小路公秀 土山秀夫 大石芳野   
小沼通二 池内了 池辺晋一郎 髙村薫
 私たち世界平和アピール七人委員会は、核兵器禁止条約交渉会議のホワイト議長をはじめ、今回の条約成立に力を尽くしてきた諸国と国際赤十字、多くのNGO、そして広島・長崎の被爆者、世界各地の核実験の被害者の長年の尽力に心から敬意を表する。

この条約が国連加盟193か国の3分の2に近い賛成122票、反対1票、棄権1票で採択されたことは、核兵器廃絶に向けての大きな一歩であり、長年にわたりその実現を願い、努力を続けてきた被爆者、日本国民にとっても大きな喜びである。

 大量破壊兵器である核兵器の持つ非人道性は議論の余地がなく、放出される放射線の影響は目標にとどまらず地球全体に広がり、長期間にわたって被害を与え続ける。日本国政府が戦争で核兵器を使用された唯一の国として貢献できる機会に自ら背を向けて退席し、国連本部外で行われた核兵器保有国と核の傘に固執する少数国の会合に参加し、さらに「条約には署名しない」と改めて表明したことは、歴史に残る汚点であり、核兵器廃絶を目指す世界の人たちに対して恥ずべき行動だった

 自らの核兵器保有と核の傘依存を続ける一方で、他国の核兵器開発の糾弾を続けることは、非難の応酬を加速させるばかりか、核兵器使用の危険性を増大させ、国民の安全保障を損なうものであって、核兵器廃絶への道ではない。私たちは、日本国政府を含む不参加国が態度を変えて、現在と将来の世代のために、核兵器のない世界を実現させるこれからの行動に参加することを求める


核兵器禁止条約に不参加 保有国の二枚舌に盲従する日本
日刊ゲンダイ  2017年7月11日
「核兵器のない世界を必ず実現する」――。オバマ前米大統領が昨年5月に広島を訪問した際に“宣言”した安倍首相の演説はやはり大ウソだった。
 7日にNYの国連本部で採択された核兵器禁止条約。核兵器の開発や保有、実験、使用のみならず、核兵器による威嚇まで禁止する画期的な内容で、加盟国の3分の2近くの122カ国が賛成したのだが、例によってというのか、米英仏ロ中などの核保有国に加え、米国の「核の傘」に頼る日本は不参加。条約の前文には「ヒバクシャ」が明記され、日本の被爆経験をくんだ条約だったにもかかわらずである。

 国連本部で「70年間待ち続けた」と演説した広島出身でカナダ在住の被爆者、サーロー節子さん(85)も「唯一の被爆国として反核運動の先頭に立つと言いながら、実際は何もやっていない」と日本政府の対応を批判したが、その通りだ。
 核保有国らは、北朝鮮の核兵器開発には猛反発するが、いざ「核禁止」となると逃げる。いつもこの繰り返しで、これぞご都合主義というものだ。米英仏は声明で「核保有国不参加では、一つの核兵器の廃棄もできず、北朝鮮の核開発による重大な脅威の解決にもならない」なんてワケの分からない屁理屈をこね上げ、これに日本の別所国連大使も追随。「核保有国の協力なくして核兵器のない世界は実現できない」と発言していたからトンチンカンだ。

 広島県原爆被害者団体協議会の佐久間邦彦理事長(72)がこう言う。
「核兵器禁止条約の圧倒的多数の賛成は核に依存する国にとって大きな打撃になり、核廃絶に向けた新たな一歩になるでしょう。日本は被爆国であり、核保有国でもない。核廃絶を主導すべきなのに、保有国に歩調を合わせたのは残念です。核保有国に同調する姿勢は、北朝鮮に核開発を正当化させることになりかねません」
 安倍政権はしょせん、核廃棄を本気で目指す気などない。