2017年7月31日月曜日

31- 加計理事長らが今治市議に1000万円ずつ渡したと

 加計学園獣医学部が建設される今治市の市民が27日、加計孝太郎理事長と菅良二今治市長が市議会議員らを買収した疑いがあると、松山地検に告発しました。
 告発状は加計理事長と菅市長が、獣医学部の誘致に反対しないようにと市議会議員13人に1人当たり1,000万円を渡したとしています。事実であれば大変なことです。
 なお菅市長と3名の市議は日本会議のメンバーです。

 告発人は26日の市会議員報告会の場で、「お金をもらってない議員は立って下さい」と訊いたところ誰も立たなかったので、加計理事長と菅市長と市議15名全員を被告発人としました。
 しかし実際には受付を担当していた松田議員(共産党)の起立を見逃し、他に一名が病気で欠席していたため、受領を認めた議員は13名でした。
 日本共産党愛媛県委員会は事実誤認だとして告発者に対して抗議しました。
 田中龍作ジャーナルの記事と日本共産党愛媛県委員会の声明(見解)を紹介します。

 それとは別に、大学設置審議会の結論はこの8月末に出されることになっていますが、疑惑まみれのなかですんなり認可するのはさすがに難しいので、1年間延期される可能性があるということです。1年後には“認可ありき”だということなのですが、いずれにしてもそうなると加計学園は大きな経済的打撃を受けるので、その救済策もすでに決まっているということです。
 日刊ゲンダイの記事も併せて紹介します。
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【今治発】市民「加計学園からカネをもらっていない議員は立って下さい」
田中龍作ジャーナル 2017年7月28日
 加計学園の誘致をめぐって贈収賄があったとして、今治市の男性が27日、加計孝太郎理事長、菅良二市長、市議会議員を松山地検に告発した。
 告発状によると加計理事長と菅市長は、誘致に反対しないようにと市議会議員13人に1人当たり1,000万円を渡した
 もしこれが事実で、金の出所が官房機密費だったりしたら、一発でアウトだ。
 アベ友案件で大揺れの今治市で26日と28日の両日、市議会議員による報告会が開かれた。市内の2つの公民館が会場となった。
 議会報告会は毎夏の恒例行事なのだが、今年は加計疑惑追及の場と化した。

 「お金をもらってない人(議員)は立って下さい」(30代男性)
 「(上物の費用負担)96億円の根拠となる図面を公開してください」(地元自治会長)
 「文科省の認可が下りていないのに、なぜ工事が進んでいるんですか? 認可が下りなかったら更地にして返してもらえるんですか?」(50代主婦)

 市議会側は事前に対策を練っていたようだ。議員たちはニヤニヤしながらまともに答えなかった。
 国家戦略特区・特別委員長の寺井政博・市議の回答がふるっていた。
「(詳細な図面は)セキュリティーの問題で全て公開することはできないと聞いている。市議会は文科省に詳細な確認をお願いしたいと意見を出している」。
「詳細な設計を精査したのではない。その必要もない」。

 寺井委員長は、市議会は確認する意思がなく、国と加計学園まかせにすることを明らかにしたのである。
 おまけに「高くないか? という事だが、他の大学と比較して決して高くないと説明を受けている」と加計学園の説明を繰り返した。
 特区・特別副委員長の岡田勝利市議もひどかった。
「(校舎建設などの費用負担)96億円の根拠は何ですか?」と質問されると「十分、分からないので調べます」とイケシャアシャアと答えるのだった。

 出所が公金であるため我が身は痛まない。無責任な議員や市長が加計学園の言うままに金を出す。
 安倍政権がすぐに倒れなかった場合、官邸の圧力で文科省は設置を認可するだろう。加計学園に注ぎ込まれる国庫補助の原資は国民の税金である。こんどは今治市民だけの不条理な負担ではなくなる。
〜終わり~


日本共産党今治市議に対する事実無根の発信について
 今治市議会報告会(7/26)参加者による誤報と告発についての見解
2017年7月28日
日本共産党愛媛県委員会
7月26日開催された今治市議会主催の議会報告会で、参加者の一人が、加計学園問題を巡って菅市長から賄賂を受け取った議員に、日本共産党の松田澄子市議が含まれると事実無根の断定をおこない、松山地検への告発状まで提出していますが、松田市議はその場で受け取っていない意思表示をしています。日本共産党愛媛県委員会は、事実確認を怠ったこの参加者(告発者)に対し、強く抗議するとともに、猛省を求めるものです。

この参加者は同報告会の質疑応答の際に、「市長は(加計学園から)賄賂を受け取っている。市議ももらっているという噂がある」と指摘、「受け取っていないと断言できる議員はこの場で立ってみろ」と発言。日本共産党の松田市議は起立し明確な意思表示をおこないました。
しかし、この参加者は、受付を担当していた松田議員の起立を見逃し、「起立しなかった議員」に松田氏を加え、“賄賂を受け取った議員”と断定、松山地検への告発対象者リストにも含めたものです。この参加者は、病気のためこの報告会を欠席していた議員まで「起立しなかった議員」に加えています。

日本共産党と松田市議は、国政でも市政でも加計学園疑惑の解明の先頭に立ってきました。先の6月市議会でも、唯一、一般質問でこの問題を取り上げ、市長に迫るとともに、学園開設の認可を文部科学省に促す意見書では反対の態度を明確にしたところです。松田議員が賄賂を受け取るなどということはありえないことはあまりに明白です。
今回の事実誤認に基づく行動は、こうした真相解明を求める取り組みに水を差し、障害を持ち込むものであると考えます。

日本共産党愛媛県委員会は、引き続き松田市議を先頭に、県民・市民のみなさんとともに、加計学園疑惑の徹底解明に向けて全力をあげることをあらためて表明します。


1年後“認可ありき”裏取引? 加計学園に巨額補助金支給か
日刊ゲンダイ 2017年7月30日
 はたして、このまま「加計学園」の獣医学部新設は認められるのか――。加計疑惑の次の焦点は、“文科省大学設置・学校法人審議会”が新設を認可するのかどうかだ。認可の可否は8月末に出される。もし、すんなり認可したら、国民から批判が噴出するのは確実。そこで、とんでもないシナリオが囁かれている。可否の結論を“1年間延期”する代わりに、なんと裏ワザを使って加計学園を資金援助するというのだ。国民は絶対に許してはダメだ。
「政府が手続きに問題はないと繰り返している手前、不認可にはできない。かといって、アッサリ認可すると国民の怒りは爆発する。そこで判断を1年延期する可能性が高くなっています。もちろん1年後の“認可ありき”です」(霞が関関係者)
 “引き分け”みたいなスッキリしない結論だが、加計学園にとって1年延期が大打撃になるのは間違いない。

「今治加計獣医学部問題を考える会」の黒川敦彦共同代表が言う。
「今治のキャンパス新設工事は進んでいて、きりのいいところで工事を中断したとしても、少なくとも50億円の工事代金が発生するとみられます」
 予定通り来春に獣医学部を開学できれば、入学金や授業料、そして私学助成金が入ってくるが、延期となれば少なくとも1年は収入ゼロだ。工事代金50億円を抱える加計学園は経済的に窮地に陥る可能性がある。

■7校に分散すれば目立たない
 そこで、加計学園を経済支援するための驚きのシナリオが練られている、という話が流れている。政界関係者が言う。
「加計学園グループの既存の学校への補助金を上乗せするのです。もちろんいきなり何十億円も増額したら不自然だから、数年に分けて少しずつ上乗せする。複数の学校に分散させれば目立たない。財務省も協力するはずです。バランスをとるため、獣医学部新設を断念した京産大にも補助金を増額する話もあります」
 2015年度の事業報告書によると、加計学園グループへの補助金は7校に合計18億円が支払われている。岡山理科大に7億1600万円、前川前次官に獣医学部申請をプッシュした木曽功元内閣官房参与が学長を務める千葉科学大には3億5000万円。中・高校や専門学校にも出ている。仮に10億円を5年分割にして、単純に7校に振り分ければ、1校当たり年間3000万円程度。何らかの名目で乗っけられる額というわけだ。
 8月末の設置審の判断が注目されるが、舞台裏も見た方がいい。

2017年7月30日日曜日

代表選で分裂・解体する民進党

 ブログ:「世に倦む日々」が、民進党のどうにもならなさを「リセット主義」と呼んで明らかにしました。
 本来であれば蓮舫氏を支えるべきであるのに、蓮舫-野田のトップスの一角が崩れた途端に、党員たちはこれ幸いとばかりに党内の権力闘争に走り出しました。幹事長候補たちは党幹部の一人から「蓮舫氏からの要請を断るように」と念を押されたため、一致して幹事長就任を断ったということです。驚くべき蓮舫引き下ろし作戦でありその整然さです。一年前に蓮舫氏を選出したときのあの高揚はどうなったのでしょうか。

 蓮舫氏が野田を幹事長に据えたのは最大の誤りで、国民は呆れ、党内の多くも反対でした。従って野田が幹事長の任を去るのは時間の問題でしたが、その蓮舫氏の“不明”が結局今度の不本意な退陣につながりました。(註 国民的人気のある山尾志桜里議員が、派閥リーダーの前原に言われて横浜市長選で、こともあろうに自民党の林文子現市長の応援をして痛烈な批判を受けている“不明”も気になるところです)
 野田は自分が幹事長の座を去れば蓮舫氏は持たないとかねてから語っていましたが、まさにそうなりました。蓮舫下ろしは代表のリセット(清算)ですが、民進党の場合は新たな指導部がスタートするときは、これまでの政策や方針への積み重ねなどはなく、常に全てをリセットして一から出直しをします。
 いまは落ち目の安倍政権にとどめを差す絶好のタイミングなのに、そんなこととは関係なく自分本位のそうした力学で奔走するというわけです。
 
 民進党は久しく、解党的出直しが必要と言われています。要するに極右グループとリベラルグループが分裂して「純化」する必要があるということです。野田をはじめ本当は自民党に入りたくてしょうがない連中を抱えながら野党を標榜しても何もできないので意味がありません。

 「世に倦む日々」氏は、枝野幸男と前原誠司の対決において枝野が勝った場合は、おそらく、右派議員は大量に離党して仲間の長島昭久と合流し、小池新党が国政進出する政党を作るだろうと述べています。
 また前原が勝った場合は、民進党そのものが国政進出する小池新党の器となり、共産党とは手を切る決断を下し、9条改憲への同意と協働をコミットするだろう、左派議員は新党の準備をし、社民党・自由党と小さな合流新党を結成するだろう、と述べています。
 民心からは離れ、タイミング的にも最悪の時期に行われるこの不毛の代表選に、もしも価値があるとすればそれは結果的に民進党が分裂し再編成することです。是非ともそれだけは実現して欲しいものです。

 同様に、このような民進党に明日はなく、民進党の解体、解党は不可避であるとする植草一秀氏のブログも併せて紹介します。
 植草氏は国民の期待を担って登場した民主党政権(鳩山政権)が発足からわずか8ヵ月余りで崩壊したのは、政権内部での妨害行為によるものであったとして、その後に登場した菅・野田政権下で民心を離れた政治を行い結局民主党政権そのものも崩壊させた元凶でありながら、その後も幹部然として居座っているメンバーたちを、これまでも厳しく批判してきました。
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蓮舫降ろしとリセット主義の政党生理 - 代表選で分裂・解体する民進党
世に倦む日々 2017年7月28日
蓮舫が代表を電撃辞任した。わずか2日前、マスコミの前で続投を表明、衆院に鞍替えして東京の小選挙区から出馬すると意気込みを強調したばかりだった。折も折、稲田朋美がPKO日報問題で辞任を余儀なくされ、安倍政権が窮地に追い詰められ、これから国会で追撃に出ようという矢先に、国民の期待を腰砕けさせる残念な出来事が発生した。国民にとっては迷惑きわまりない民進党の失態だ。ちょうど1か月前、都議選投票日の3日前、私はこういうツイートを発した。「民進党は党内政局になるだろう。まず、野田佳彦が幹事長の私が責任とって辞めますと言う(代表はそのままでお願いと)。すると誰かが、幹事長が責任とって代表はそのままかよと文句を言い出す。すると誰かが、じゃあ代表選やろうよと言い出す。すると、みんなが賛成と言う」。結局、このとおりの展開になった。民進党(民主党)については、20年以上観察を続けているので、予測については若干の自信を持っている。必ずこうなる。普通であれば、蓮舫が辞意を漏らすことがないように、周囲が全力でカバーするものだし、党内の政敵や悪意あるマスコミからプロテクトするものだ。特に、今は安倍政権が瓦解間際で、民進党にとって千載一遇のチャンスのときなのだから尚更。

が、後藤謙次や星浩が解説して指摘したように、民進党はそうはならないのである。国民の期待や要望は無視して、個々の議員が党内の権力闘争に自由に奔走していく。外に対して党の団結を守るのではなく、逆に党の混乱と騒動へとエネルギーを傾けて行く。そこには、絶えずリセットしようとする衝動が存在する。積み上げかけたもの、整理と構築に着手したものを、幼児が積み木を崩すようにご破算にして白紙に戻す。この民進党(民主党)の固有の組織法則性について、私は生理という言葉を与えて表現した。それはネイティブなもので、政党誕生の初発から持っている原体質で、20年以上休みなく繰り返して伝統として染みついている独自の集団性に他ならない。そして、それへの反省や懐疑は内部には微塵もない。リセットすることを積極的に肯定する。リセット主義。つぎつぎとリセットするいきおい1年毎に代表を変え、新三役が壇上で「がんばろー」と拳を突き上げ、選挙の度に政策のワーディングとコピープリントを変える。刷新だの出直しだのを広告代理店的な手仕事で表象工作する。だが、メンバーはいつも同じで何も変わっていない。国民は、そういう粘性のない民進党の体質にもう飽き飽きしていて、いいかげんにしろと憤っているのだが、彼らにはその感覚が全然伝わらず、選挙に負ければ逆に元気になって、代表選の祭りを始めてリセット主義で踊り狂う。

毎日の記事を読むと、辞任劇の内幕が書かれていて、「幹事長候補として党内で名前が挙がった議員らの多くは、要請があっても拒否する意向を示していた。さらに党幹部の一人が、幹事長候補と目された議員の一部に、蓮舫氏から要請があっても拒否するよう念押しするなど、八方塞がりの状況となっていた」と説明がある。ふざけた話だと吐き捨てるしかない。幹事長を断った一人に岡田克也の名前があった。1年前、代表を投げ出して蓮舫を後継にしたのは岡田克也ではないか。岡田克也は蓮舫の後見人であり、蓮舫体制の要石となる党のゴッドファーザーであったはずだ。野田佳彦が辞任となれば、ピンチヒッターを受諾するのは当然の責務であるのに、無責任にも打診を一蹴して蓮舫体制を崩壊させている。聞けば同情を覚えざるを得ないが、孤立した蓮舫は、一昨日(26日)、党務をすべてキャンセルして都内の部屋に一人籠もって電話をかけまくり、頼むから幹事長を引き受けてくれないかと意中の者たちに哀願していたと言う。華奢な蓮舫が涙声で訴えながら、相手に冷たく断られて絶望する姿を想像し、やりきれない気分になるし、民進党の身勝手な体質に怒りを覚える。あまりにも国民世論を無視している。右翼や自民党支持者を除いて、国民の中で蓮舫降ろしを歓迎する者が一人でもいるだろうか。

安倍晋三を追い詰めている今の政治の局面で、民進党代表選というアクシデントとフリクションが横から一方的に介入することは、反安倍の側の国民にとっては重大な不安要素の発生だ。ところが、蓮舫が電話をかけたであろう一人の枝野幸男は、早速、立候補者としてマスコミ記事に名前が上がっていて、蓮舫辞任のニュースに国民が困惑しているさなかに、新聞を使って出馬の意思表明を世間と党関係者に周知させていた。この事実には脱力させられる。マスコミ報道によれば、代表選は枝野幸男と前原誠司の二人の戦いになり、左派と右派の関ヶ原の構図になるらしい。どちらが勝ったとしても、民進党の凋落は止まらないだろうし、国民の支持を集めることはできないだろう。国民が求める受け皿になるなど考えられない。われわれは、2日前の蓮舫の続投宣言を聞いて安堵し、誰でもいいから早く新しい幹事長が決まって、蓮舫を支える体制が強化されればいいと思っていた。だが、蓮舫が四面楚歌になっている内情を知った党幹部たちは、特に枝野幸男と前原誠司は、俺の出番だとばかり次へ向けて水面下で始動していたのである。蓮舫辞任があった同日、横浜市長選の現場で山尾志桜里が林文子の応援演説に立ったのは、党内と世間に向けてのデモンストレーションであり、前原誠司の差し金による作戦だと推測される。

昨夜(27日)のプライムニュースでは、辻元清美が出演し、代表選についての感想を反町理に尋ねられ、今度は必ず党をリベラル路線に固めると意気込みを語っていた。枝野幸男を勝利させ、「野党共闘」を従来のような曖昧な位置づけではなく確固とした方針に据え、左寄りの基本政策で自民党との対立軸を鮮明にするという宣告だ。これは、共産党・社民党・自由党の支持者が要求している方向である。一方、前原誠司の所信はまだ明言されてないが、どういう政見と政策で代表選に臨むかを想像することは難しくない。前回の1年前も、共産党との共闘関係の見直しを訴え、党として憲法改正に踏み出す進路を提起していた。2015年の安保法制国会以来、いわゆる「野党共闘」のブロックが成立し、2016年の参院選を挟んで約2年間、民進党は共産党との間で協力関係を維持してきた。その間、この左寄りの路線に不満と反発を覚える右派議員たちが次々と離反し、今年4月には細野豪志が代表代行を辞任、長島昭久が離党、都議選直後の7月初旬には藤末建三が離党した。いずれも理由として憲法問題を挙げ、共産党との関係について拒否を言っている。この2年間、右派は冷や飯の境遇が続き、ストレスが溜まった状態にあって、次の代表選でマグマが噴火する気配にある。プライムニュースでの辻元清美の「挑発」を聞き、右派は大いに発奮して闘志を燃やしたことだろう。

枝野幸男が勝った場合は、おそらく、右派議員は大量に離党して仲間の長島昭久と合流し、小池新党が国政進出する政党を作るだろう。辻元清美の言うとおりに進行したとき、代表選は左右のイデオロギー論争が激突する修羅場になる。民進党は何をめざす政党なのかという理念の定置をめぐる議論が避けられない場合、当然ながら、民進党は保守なのかリベラルなのかという立脚点へと関心が収斂し、憲法についての立場や共産党との位置関係が問題となる。政党支持率が地を這う低さになり、最後の看板だった蓮舫の辞任を目撃した現在の民進党議員たちは、抑制し封印してきたイデオロギー闘争が不可避であり、党が分裂する結末になってもやむを得ないと覚悟しているだろう。左側には「野党共闘」があり、右側には小池新党がある。議員として生き残る道が外に見えている。解党となっても、右か左かどちらかを選べばよい。選択肢があり、可能性が具体的に目に入っているという環境条件は、敵味方に分かれて派手に殴り合いをして党を壊してもいいという判断に繋がりやすい。
前原誠司が勝った場合は、民進党そのものが国政進出する小池新党の器となり、共産党とは手を切る決断を下し、9条改憲への同意と協働をコミットするだろう左派議員は新党の準備をし、社民党・自由党と小さな合流新党を結成するだろう。
民進党は保守政党として純化され、あらためて保守二大政党をめざすことになる。

不愉快きわまる、不吉な予感漂う、国民不在の民進党の蓮舫降ろし。この事件を契機に風向きが安倍晋三の方に変わることのないよう、革命のロードマップに支障が出ないよう天に祈りたい


あまりに浅はかな権力亡者の前原・枝野両議員
植草一秀の「知られざる真実」 2017年7月29日
民進党の蓮舫代表、野田佳彦幹事長が辞意を表明し、9月に代表選を実施するという。
この情勢を受けて、早くも前原誠司氏、枝野幸男氏が出馬の意向を表明していると報じられている。

民主党は2009年に政権交代の偉業を成し遂げた。偉業を牽引したのは、小沢一郎氏と鳩山友紀夫氏である。
しかし、新政権はわずか8ヵ月余りで崩壊した。政権崩壊の主因は、政権内部での妨害行為であった。
鳩山首相は沖縄の普天間基地の移設先を県外、国外にすることを目指した。
外務、防衛、沖縄担当相は鳩山首相の方針を実現するために尽力するべき存在であったが、真逆の行動を示した。鳩山首相の意思に従うのではなく、米国の指令に沿って動いたのである。
普天間の県外・国外移設方針を妨害する行動を示し、結果として鳩山首相は県外、国外移設断念に追い込まれた。鳩山元首相が明言されているように、鳩山首相は最後まで普天間の県外・国外移設を追求するべきであったが、日本を実効支配している 日米合同委員会 の指揮の下で、外務、防衛、沖縄担当の各大臣は鳩山首相の県外・国外移設の実現に向けて尽力するどころか、鳩山首相の意思に反する行動を示したと見られている。
この三大臣こそ、岡田克也氏、前原誠司氏、北沢俊美氏である。

鳩山首相の辞意表明の機会を捉えて権力を強奪したのが菅直人氏である。
菅氏は権力を強奪すると、普天間基地の辺野古移設推進 企業団体献金全面禁止公約の廃棄 消費税大増税方針の提示 に突き進んだ。民主党政権の基本政策方針を全面的に転覆したのである。
2010年6月17日、菅直人首相は参院選マニフェスト発表会見を実施。この席で、消費税率を10%に引き上げる方針を明示したのである。
主権者はこの方針提示に反発し、民主党は2010年7月実施の参院選で大敗した。衆参ねじれ状況が発生し、民主党政権は凋落の一途を辿ることになった。

このなかで、2011年3月11日に東日本大震災が発生した。これに伴い、東京電力福島第一原子力発電所が完全な電源喪失の状態に陥った。2011年3月11日には福島第一原発が非常事態に移行したことが明らかになったのである。原子炉の冷却が不能になれば、何が起こるのかは明白である。燃料棒は溶解し、原子炉爆発を誘発する。チェルノブイリ原発で発生した爆発が生じることは時間の問題になる。

菅直人内閣で福島原発事故を伝えた枝野幸男官房長官は、3月11日19時42分、原子力緊急事態宣言発令を発表した。しかし発表に先立って、「発表に先立ち、これから申し上げることは、予防的措置でございますので、くれぐれも落ち着いて対応していただきたいと思います」と注釈を付けた。
予防的措置であるなら、一度対応を取ればそれで措置は完了するはずである。事態が進行しないなら、最初の予防的措置ですべては事足りるはずであるからだ。
ところが、この予防的措置が、時間の経過とともに追加されていった。

枝野氏が「予防的措置」を発表したわずかに2時間後の3月11日21時23分、枝野氏は新たに原発から半径3キロ以内の住民に避難指示を、半径3キロから10キロの住民には屋内での退避を指示したのである。枝野氏は記者会見でこう述べた。
「これは念のための指示でございます。放射能は現在、炉の外には漏れておりません。 今の時点では環境に危険は発生しておりません。」
念のための措置で原発事故が進行していないのなら、そもそも避難など必要はなかったはずだ。それが、緊急事態宣言を発令してわずか2時間後に、避難指示が発令された。

さらに、日付が変わった翌3月12日午前5時44分、菅政権は新たに半径10キロ圏内の住民に対して圏外への避難指示を発令した。
何を言いたいのか。枝野氏は3月11日夜の段階で、原発の半径20キロ、米国基準では80キロ圏内の住民に避難命令を発令するべきだったのだ。危険を把握しながら、事実を伝えず、必要な避難命令を発動しなかったのだ。つまり、住民を見殺しにする選択を示したのである。

このような人物に、日本の政治を委ねるわけにはいかない。現時点で代表選出馬意思を示している人物は、問題の本質を何ひとつ理解していない。ただひたすら、自分の利益しか考えていない。
だからこそ、現在の民進党が崩壊の危機に直面しているのである。このような民進党に明日はない。民進党の解体、解党は不可避である。無意味な代表選に突入するのは時間とエネルギーの無駄にしかならない。無反省に代表選に突き進む前に、問題の本質を考察することが求められている。
(以下は有料ブログのため非公開)
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自衛隊日報問題の本質

 自衛隊日報問題の根源に、安倍政権が南スーダンPKO駆け付け警護の任務を付与して、新安保法(戦争法)の実績を作っておきたいと熱望したことがあるのは言うまでもありません。
 そのためには7月にジュバで起きた政府軍対政府軍の戦闘(そこでNGO職員を襲撃し、殺人やレイプ行為を働いたのは南スーダン政府軍の兵士でした)は戦闘ではないものとして、11月の自衛隊の新規部隊の派遣に漕ぎ着ける必要がありました。
 自衛隊日報隠蔽は正にそのためにどうしても「必要」な作業であり、自衛隊に対して有言・無言の圧力が加わったのでした。結果的にこの度責任を取らされた自衛隊のトップスは「いい面の皮」でした。
 安倍首相(それに稲田前防衛相)はここでも「勝手な忖度だ」と言いたいのかもしれませんが、彼(ら)の憲法違反の野望が全ての原因になっていることは疑いの余地がありません。
 
 LITERAと日刊ゲンダイの記事を紹介します。
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稲田朋美の防衛相辞任でも自衛隊日報問題は終わらない!
稲田の隠蔽了承と安倍首相の隠蔽指示を徹底追及
LITERA 2017年7月29日
 稲田朋美防衛相が大臣をようやく辞任したが、何をいまさら、というしかない。森友学園をめぐる虚偽答弁に、都議選での「自衛隊としてお願い」発言、そして南スーダンPKOをめぐる日報隠蔽問題と、この間、さまざまな問題発言、行動が散々国民から批判されてきたにもかかわらず、「“ともちん”がかわいくてしようがない」(政界関係者)安倍首相は、周囲の声に耳を貸さず、頑として更迭を拒否してきた。そのあげくがこのザマである。
 しかも、今回の辞任も稲田氏が責任を取ったという話ではなく、稲田氏自身にふりかかった疑惑をごまかし、野党が要求する閉会中審査をつぶすために、安倍政権が先手を打って稲田氏をやめさせたということにすぎない。

 稲田防衛相は昨日の会見でも、関与を否定していたが、明らかに、日報隠蔽に関わっている。昨日、発表された特別防衛監察の報告では、「幹部から日報の存在に関する何らかの発言があった可能性は否定できないものの、 書面による報告や非公表を了承した事実はなかった」となっていたが、これは、陸自幹部が稲田防衛相が隠蔽を了承したと証言していたのに、稲田防衛相が強硬に否定したため、玉虫色の表現をとらざるをえなかったということらしい。
 実際、FNNは稲田氏への「報告」を示す防衛省幹部による“手書きメモ”を入手。そこには、2月13日に大臣室で交された、稲田氏と幹部との生々しい会話の様子が記録されていた。

辰己昌良統幕総括官「破棄漏れがある」
湯浅悟郎陸幕副長「まだ全部調べていない」
    (略)
稲田防衛相「CRF(注:陸上自衛隊中央即応集団)。7/7〜12のものもあったということ?」
湯浅「紙はないかとしか確認しなかった。データはあったかというと、あった。今あったのは1件のみ」
    (略)
湯浅「1年未満のなかで運用。帰国して報告書を作るまで残っている」
稲田「明日なんて答えよう。今までは両方破棄したと答えているのか?」
米山大臣秘書官「後藤くんにも、データは破棄したと答えた」

稲田防衛相の虚偽答弁によって忖度が働いた可能性
 稲田氏が明確に日報データの存在を認識し、隠蔽に関与していたことはもはや決定的といっていいだろう。なお、メモに出てくる「後藤くん」とは、日報問題をめぐる国会で厳しく稲田防衛相を追及していた民進党の後藤祐一議員のことで、稲田氏が頭を抱えている様子がありありと伝わってくる。
 いや、問題は稲田防衛相がたんに隠蔽を了承していたというだけではない。自衛隊日報にはもっと深い背景がある。たとえば、発売中の「週刊文春」(文藝春秋)が載せた“防衛官僚覆面座談会”では、防衛省の中堅官僚Bが一連のリークを“陸自による防衛相への反乱”とする見方について、こう語っている。
「反乱説はどうかなぁ。日報を『ない』としたミスを目立たなくするために、陸自が組織防衛に走った可能性もある」
 そして、続けて中堅官僚Cがこう述べているのだ。
「『陸自で破棄されていた報告を受けている』と大臣が国会答弁しちゃった手前、辻褄を合わせるために“統幕で日報が見つかった”ことにした。ところが、防衛監察で陸自だけが悪者にされる可能性が浮上して、慌ててリークが始まった、と」
 ようするに、自衛隊制服組が稲田氏ら政府側の答弁に振り回されるかたちで、組織的隠蔽をめぐって嘘を積み重ねることになったということだろう。

 実際、本サイトでも指摘しているとおり、そもそもこの日報隠蔽問題の背景には、日報にも記されていた昨年7月のジュバでの「戦闘」が、安保法に基づく自衛隊駆け付け警護の新任務付与にとって“不都合な事実”だったという事情がある。稲田防衛相と安倍首相は、国会で「戦闘」を「衝突」と言い換えて、新任務付与を閣議決定。その11月には、強引に駆け付け警護の任務を付与した自衛隊部隊を現地に派遣した。
 だからこそ、この日報隠蔽問題は、政権を忖度した防衛省が「戦闘」をなかったことにするため、日報の隠蔽を働いた可能性が濃厚なのである。それどころか、官邸、安倍首相が防衛幹部に指示をした可能性すらあるのだ。

安倍首相も要所で幹部と面会、日報隠蔽の報告を受けた疑惑が
 24日午後の閉会中審査でも、稲田防衛相だけでなく、安倍首相も報告を受けていたのではないかという疑惑が焦点となった。共産党の笠井亮衆院議員は「(総理も)早くからご存知だったのではないか」と切り込み、防衛省の黒江哲郎事務次官、豊田硬官房長が、今年1月18日に二人そろって官邸を訪れ、総理に面会している事実を突きつけた。実は、この1月18日というのは、陸自で岡部俊哉陸幕長にデータが見つかったことが報告された日の翌日にあたる。さらに、陸自内の日報データの保管事実が報道された3月15日の2日後にも、やはり黒江事務次官が安倍首相と面会していた。
 安倍首相は繰り返し「ありえない」と強弁したが、日報隠蔽問題について要所要所で黒江事務次官ら防衛省・自衛隊幹部から報告を受け、対処方針を指示していたのではないかという疑念は尽きない。それどころか、隠蔽疑惑が表面化した12月末以前より、駆け付け警護の新任務付与のために、なんらかのかたちで日報隠蔽に関与していた可能性もあるだろう。

 安倍首相は、稲田防衛相の辞任を受け、官邸で記者団に対し「閣僚の任命責任についてはすべて総理大臣たる私にある。国民の皆様の閣僚に対する厳しいご批判については、私自身、真摯に受け止めなければならないと思っている」と述べたが、「閣僚の任命責任」にしても「国民に対する真摯な説明」にしても、安倍首相はいつも口だけだ。
 本来ならば、防衛省で組織ぐるみの隠蔽が行われた事実が認定され、稲田防衛相の関与も濃厚、さらに自身の指示疑惑まで浮上しているのだ。情報をフルオープンにした第三者による真相究明の実施が急務だろう。
 いや、それだけではない。隠蔽問題が明るみになるなかで問題発言を連発した稲田防衛相を、ここまで延命させたのは、他ならぬ安倍首相である。国民の不信は頂点に達している。いますぐ総理の座を降りること。それが、責任のとり方というものだろう。(宮島みつや)


稲田防衛相が直前に了承 ”疑惑のキーマン‟の高飛び人事
日刊ゲンダイ  2017年7月29日
「国民に疑念を抱かせた責任を痛感している。職を辞することにした」――。稲田朋美防衛相が28日午前、南スーダンPKOの日報隠蔽問題に関する特別防衛監察の結果を公表。混乱を招いた監督責任を取る形で、ようやく辞任を表明した。組織的隠蔽への関与については「報告を受けたとの認識はない」とあくまで否定し続けるが、辞任直前、隠蔽問題のキーパーソンを海外へ逃亡させる人事に了承していた

■責任逃れのためなら何でもやる
 本紙は、統合幕僚監部が作成した今夏の防衛省人事の「内示」文書を入手した。注目は、統合幕僚監部参事官付国外運用班長の小川修子氏の在外公館への異動である。文書には外務省に出向させ、在中国大使館に1等書記官として赴任する旨が記されている。

「彼女は歴代防衛相の通訳を務めてきたほど語学堪能で、いわゆる背広組では『エース級』といわれるほどの逸材です。ただし、彼女は南スーダンPKO日報問題に関わり、実務レベルの責任者を務めていました。いわば彼女こそ、日報問題の全容を把握している最重要人物。当然、特別防衛監察の対象者となりました」(防衛省関係者)
 いったんは「破棄済み」と説明した日報が今年1月17日、陸上自衛隊内でデータ保管されていたことが判明。2月13日には稲田がその事実を陸自ナンバー2の湯浅悟郎陸幕副長から伝えられ、同月15日の省内の最高幹部会議で非公表とする方針を了承した――。監察結果で最大の焦点となっている稲田の隠蔽への関与の有無も、小川班長なら知り得る立場にあるという。

 今回の人事は8月3日に予定される内閣改造の直後に発令される見込みで、もちろん稲田も辞任する前に了承済み。自衛隊内部では、「監察の結果、処分されるのは陸自の『制服組』ばかり。小川班長は隠蔽問題の責任者の1人なのに、背広組のエース級なら海外逃亡の“1回休み”で、恐らくキャリアは守られる。常日頃から制服組を見下していた稲田さんらしい判断です」と怨嗟の声も広がっている。
 それにしても、政権にとって“不都合な真実”を握る官僚を海外に飛ばしてしまうとは……。
 森友疑惑で安倍首相の妻、昭恵夫人付だった経産省職員の谷査恵子氏と同じケースで、ロコツなまでの口封じ人事である。

「稲田氏の後任大臣が国会答弁などのために、隠蔽問題の経緯を調べようにも全容を知るキーパーソンが既に不在では、実態の把握は困難。監察結果の妥当性も国会で検証できなくなります。はたして稲田氏は組織的隠蔽を了承していたのか。その真相究明は、稲田氏の辞任と小川班長の異動とのワンセットで闇から闇。政権中枢としてはウヤムヤ決着で、この問題に幕引きを図る算段です」(官邸事情通)
 この政権の隠蔽体質は底なしだ。