2017年6月2日金曜日

米軍犯罪8割超不問 昨年

 昨年、日本国内で発生した米軍関係者による一般刑法犯の起訴率16・9で、全国での一般刑法犯の起訴率39・1半分以下でした。
 日米地位協定による捜査の壁に加えて、「著しく重要と認める事件以外は第1次裁判権を行使しない」と約束した裁判権放棄密約を検察が忠実に実行していることの反映と言われています。
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米軍犯罪8割超不問 昨年 刑法犯起訴率16・9%
しんぶん赤旗 2017年6月1日
 昨年、日本国内で発生した米軍関係者による一般刑法犯の起訴率が16・9%にとどまっていることが、日本平和委員会が情報公開請求で入手した法務省資料で明らかになりました。全国での一般刑法犯の起訴率(2015年)39・1%と比較して半分以下です。
 
 法務省が開示したのは、全国の地検と高検が作成した「合衆国軍隊構成員等犯罪事件人員調」の16年分。それによれば、米軍関係者による一般刑法犯は起訴14件に対して不起訴は69件に達しています。
 さらに、自動車による過失致死傷は起訴17件に対して不起訴が161件です。
 また、2001年から16年までの米軍関係者による一般刑法犯の起訴率は17・6%で、おおむねね8割以上が不起訴になっている実態が常態化しています。
 
 こうした低い起訴率の背景には、米軍の特権的地位を定めた日米地位協定があります。協定17条では、「公務中」の場合、第1次裁判権は米側にあるため、日本側に身柄を引き渡されない限り、起訴できません。
 
 一方、「公務外」の場合は日本側に第1次裁判権がありますが、1953年10月28日に日米合同委員会で結ばれた密約で、日本は米国に対し、特に重要と考えられる事件以外は裁判権を行使するつもりがないと約束しました。
 
2016年度 米軍関係者による刑法犯の起訴状況(全国)
罪  名
起訴
不起訴
起訴率
住居侵入
1
5
16.7
強制わいせつ
0
1
0
強姦
1
5
16.7
殺人
1
0
100
傷害
3
14
17.7
暴行
1
6
14.3
窃盗
1
26
3.7
その他
6
12
33.3
(合 計)
14
69
16.9
自動車による  
過失致死傷
17
161
9.6
   (日本平和委員会まとめ)

 
昨年の米軍関係者の起訴率17% 全体の半分以下
琉球新報  2017年6月1日 
 2016年の1年間に国内で発生した米軍関係者(米兵、軍属、家族)による一般刑法犯(刑法犯から自動車による過失致死傷を除く)の起訴率が16・9%だったことが31日、日本平和委員会の調べで分かった。15年の起訴率は18・7%で、日本人も含めた同年の39・1%の半分以下となっており、米軍関係者の犯罪が依然として特別扱いされている実態が浮き彫りとなった。16年の沖縄県内における米軍関係者の同起訴率は18・8%だった。
 
 米軍関係者による一般刑法犯83件のうち69件が不起訴で、強姦(ごうかん)は6件のうち5件が不起訴だった。01~16年の16年間でも起訴率は17・6%にとどまっている。
 
  起訴率が低い背景について、日本平和委員会は「『日本にとって著しく重要と認める事件以外は第1次裁判権を行使しない』と米側に約束した『裁判権放棄密約』を検察が忠実に実行している」「日米地位協定による捜査の壁もある」などと指摘。その上で「密約の撤回と地位協定の見直しが必要だ」と強調した。
  同委員会は法務省に開示請求した「合衆国軍隊構成員等犯罪事件人員調」を基に数字をまとめた。