2017年6月12日月曜日

古賀茂明氏が「マスコミの弱体化」に警鐘

 経産官僚の古賀茂明氏が警世の書「日本中枢の狂謀」(講談社)を上梓しました。
 彼によれば、ありとあらゆるところで進められた安倍政権によるマスコミ支配は今、ほぼ完成しているということです。
 彼が官邸によって降板させられた「報ステ」の一件のときも、マスコミ政権の圧力にひれ伏して抵抗しませんでした。 「メディアがあの時から闘っていたら現状は違っていたかもしれない、安倍官邸がうまいトコロは、経営トップが自分と親しいことを現場に見える形で周知することだ」、と述べています。
 
 その挙句安倍首相は70年間守られてきた平和憲法に「自衛隊を保持する」と明記し、GDP1%枠を撤廃し、軍事的にも “列強” の仲間入りを果たそうとしています。そうなれば「いつか来た道」・・・際限なき軍拡に突き進むのは自明です。
 
 マスコミが政権に飼いならされてしまった以上、最後の歯止めは国民です」(古賀氏)
 支持率を下げて政権交代に追い込むほかには活路はありません。
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古賀茂明氏が警鐘 「加計疑惑の背景にマスコミの弱体化」
日刊ゲンダイ 2017年6月11日
 現役経産官僚の実名告発として世間に衝撃を与えたベストセラー「日本中枢の崩壊」から6年。古賀茂明氏がその続編とも言える新著「日本中枢の狂謀」(講談社)を上梓した。15年3月の「報道ステーション」降板騒動の舞台裏も詳細につづった400ページの大作。自ら造語した「狂謀」とは、安倍政権が霞が関や財界やメディアを取り込んで、この国を根本からつくり変えようとしているおぞましい策謀の実態である。
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 ありとあらゆるところで進められた安倍政権によるマスコミ支配は今、ほぼ完成しています。私の「報ステ」の一件は、そのひとコマに過ぎなかった。あの時、マスコミが政権の圧力に対し、「おかしいんじゃないか」と闘っていたら、現状は違っていたかもしれない。私の「報ステ」での行動は、それを願ってのものでしたが、かないませんでした。
 安倍官邸がうまいのは、直接、現場のデスクやキャップに圧力をかけるだけでなく、経営トップが自分と親しいことを、現場に見える形で周知することです。安倍首相はサラリーマンジャーナリズムがよく分かっている。
 マスコミが政権に飼いならされてしまった以上、最後の歯止めは国民です。それには正しい判断材料が提供されなければなりませんが、今のマスコミ報道では国民は真実を知らされない。本当に危機だと思います。
 
■国の形が大きく変わる岐路
 森友・加計疑惑の背景にもマスコミの弱体化が見えます。恵まれた環境では、人間は悪いことはしない。「バレたら大変なことになる」「政権が倒れる」「逮捕される」と思えば慎むものです。ところが、マスコミが権力の監視をしなくなったため、「バレないからやってしまえ」と安易に流れるような社会になってしまいました。人間は弱い。「世の中のため」か「自分のため」かの選択を迫られれば「自分」を選ぶ。安倍政権は人間の弱みにつけ込むのもうまいのです
 
 今は、あらゆる意味で日本の国の形が変わる岐路です。先の大戦に負け、その反省から、軍隊は持たない、二度と戦争はしないと誓った。戦後70年で国民の間にそれが定着し、政府もその方針に沿って国を動かしてきた。
 しかし安倍首相は、「国を守るのに必要なのは軍事力だ」という考え方。GDPの1%という枠を撤廃し、軍事的にも “列強” の仲間入りを果たしたい。憲法にも「自衛隊を保持する」と明記しようとしています。
 際限なき軍拡になっていくでしょう。しかもそれは、憲法上の要請になり、国民生活が犠牲になるのです。安倍首相の願望を実現するために、正気とは思えないスケールでこの国が変わっていこうとしていることを、あらためて知って欲しいと思います。