2017年6月1日木曜日

「日本ではメディアに政府から圧力」国連特別報告者勧告

 日本の表現の自由に関する査察官(国連特別報告者)デービッド・ケイ氏が、昨年4月に来日し1週間にわたり調査した結果を報告書にまとめ公表しました。
 ※ 2016年4月13日 国連・表現の自由査察官デイビッド・ケイ氏が来日
 報告書では、メディアの独立性を強化するため政府が干渉できないよう法律を改正すべき慰安婦問題などで歴史の自由な解釈が行われるよう、政府が教科書の内容などに干渉するのを慎むべきなど、日本の民主主義をさらに強化するため6つの分野で勧告しています。
 
 それに対して日本政府は事実の誤認があるなどとして、報告書の内容を見直すよう求めているということです。
 安倍政権には、発足以来の国会論戦や直近の国連人権委特別報告者ジョセフ・ケナタッチ氏への対応でも明らかなように、他者からの批判を受け入れようとする姿勢が全くありません。それでは進歩・改善はなく、ひたすら唯我独尊状態がずっと続くことになるわけで最も拙劣な対応です。
 
 ケナタッチ氏からの指摘にも政府は即刻反論の文書を提出しましたが、れは同氏によれば「中身のないただの怒り」であり、「プライバシーや他の欠陥など挙げられた懸念に対して具体的な反論は全くなかった」ということです。
 これでは指摘を受けて恥をかき反論して更に恥をかくという恥のかき通し状態です。
 「私人・安倍晋三」が恥をかくだけなら別に構わないのですが・・・
 
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「日本ではメディアに政府から圧力」国連特別報告者勧告
NHK NEWS WEB 2017年5月31日
国連の人権理事会の特別報告者が、日本での表現の自由についての報告書をまとめ、法律を改正してメディアの独立性を強化すべきだなどと勧告しましたが、日本政府は事実の誤認があるなどとして、報告書の内容を見直すよう求めています。
 
国連の人権理事会は外部の専門家を特別報告者に任命していて、表現の自由を担当するカリフォルニア大学教授のデービッド・ケイ氏が30日、日本の表現の自由についての調査結果をまとめた報告書を公表しました。
この中で、ケイ氏は「日本ではメディアに対し、政府当局者からの直接的、間接的な圧力がある」などとしたうえで、日本の民主主義をさらに強化するためだとして、6つの分野で勧告をしています。
この中では、「メディアの独立性を強化するため、政府が干渉できないよう法律を改正すべきだ」として、放送法を一部見直すことなどを求めたほか、「慰安婦問題などでは、歴史の自由な解釈が行われるよう、政府が教科書の内容などに干渉するのを慎むべきだ」としています。
 
また、特定秘密保護法については、「安全保障の支障とならないかぎり、公共の利益にかなう情報を広めた人が処罰されないよう、新たな規定を盛り込むべきだ」としています。
 
これに対し、日本政府は「事実の誤認や不確かな情報に基づいて勧告している」などとして、報告書の内容を見直すよう求める文書を人権理事会に提出しました。
この報告書については、来月12日にスイスのジュネーブで開かれる人権理事会の会合で議論されます。
 
 
デービッド・ケイ氏の訪日報告書草案 詳報
産経新聞 2017年5月30日
I.序論(略)
.国際法基準およびミッションの主な目的(略)
.日本における表現の自由のための基盤への課題
   自民党の憲法案は、基本的人権の不可侵性を維持する97条を削除するよう求めている。同規定を削除する草案は、日本における人権の保護を弱体化しうる。
.意見および表現の自由の権利の状況:主要所見
 A.メディアの独立
 1.放送メディア
 ▽放送法は総務省にNHKと民間放送局を規制する権限を与えている。この枠組みは、メディアの自由と独立に対し不当な制約を課すことになり得る。
 ▽放送法4条に違反した場合、放送関係者の免許の停止を命じるかもしれないとする政府見解は、メディアを制限する脅迫として受け取ることができる。
  ▽政府職員の発言で、メディアが圧力を感じた旨の報告を受けた。2015年2月24日の報道関係者との会合で、内閣官房長官は、あるテレビ番組に対し、放送法の解釈にかなっていないと批判したとされる。
 2.活字メディア
▽特別報告者は、朝日新聞勤務時に慰安婦問題を報じた植村隆氏へのハラスメントを知った。植村氏への圧力は、吉田清治氏による証言に関する朝日新聞の別の記事の事実誤認に関する議論があった後、特に強くなった。植村氏は大学で働くことになったが、大学も彼の辞職を求める団体によって攻撃された。
▽特別報告者は、日本政府が、植村氏および同氏が所属する機関が被った複数の攻撃に対する批判を繰り返し行わなかったことを懸念している
 3.専門機関と記者クラブ制度(略)
 B.歴史の発信/表現への介入
▽日本の第二次世界大戦への参加および慰安婦問題に関する学校教材の準備における政府の影響に関する懸念も報告されている。
▽文部科学省は、いくつかの高校世界史の教科書に慰安婦に関する言及がある旨述べた。専門家は、慰安婦に関する記述が、中学校の教科書から編集削除された旨の報道を示した。
政府が、教科書が第二次世界大戦中に犯された犯罪の現実をどう扱うかに介入することは、一般市民の知る権利や過去に対応し理解する能力を損なわせる
 C.情報へのアクセス
   特定秘密保護法は知る権利の保護範囲を狭めている。同法はジャーナリストとその情報源に刑罰を課す危険性にさらしている
 D.差別とヘイトスピーチ(略)
 E.選挙運動に関する規制(略)
 F.公共のデモ
  ▽2016年10月、沖縄平和運動センター議長の山城博治氏が逮捕された。山城氏は裁判なしで5カ月間拘束された。長期間の拘束は山城氏の容疑事実に比して不適切に思える。日本政府の行動は、デモと反対意見の表明をふさぎかねないと懸念している。
V.結論および勧告
  ▽特別報告者は、以下の措置を勧告する。
 A.メディアの独立
  ▽政府に対し、報道の独立性強化のため放送法4条の撤廃を勧告する。独立した放送メディア規制機関の枠組みを進展させることを強く要請する。
 B.歴史教育・報道への介入
  ▽政府に対し、学校教材における歴史的出来事の解釈への介入は慎むべきこと、戦時中に日本が関わった出来事に留意し、これらの深刻な犯罪について国民に知らせる努力を支援することを求める。政府は学校のカリキュラム作成において完全なる透明性を確保し、教科用図書検定調査審議会を政府の影響からいかに守るかを再検討することで、公教育の独立性に、貢献すべきである。
  ▽慰安婦問題を含む過去の重大な人権侵害に係る公開情報を検証していくため、政府は「真実の権利」国連特別報告者の訪問招請を検討すべきだ。
 C.選挙キャンペーンおよびデモ
  ▽沖縄での抗議活動に向けられた圧力を特に懸念している。公権力は国民に不均衡な処罰を科すことなく、公共政策への反対を表明する自由を侵害されずに抗議や取材を行えるよう努力を行うべきだ。
 D.特定秘密保護法
  ▽政府に対し、報道関係者の業務に萎縮効果を与えないよう特定秘密保護法の改正を促す。日本の国家安全保障に危害を与えない国民の関心事項である情報を開示しても処罰されないことを保障する例外規定を含めることを奨励する
 E.差別とヘイトスピーチ(略)
 F.デジタル著作権(略)