2017年6月13日火曜日

「コッカイ オンドク!」 11日 全国44カ所で実施 

 「コッカイオンドク!(国会音読!)」は、共謀罪法案の審議での国会でのやり取りを、各人が安倍首相、金田法相、野党議員などの役割札を首から下げて、路端や広場などで国会議事録の通りに朗読するといういわば「朗読劇」のことで、それによって政府の答弁が如何に迷走しているのかを、演じたりそれを聞いたりして実体験するというものです。
 5月15日に初めての「コッカイ オンドク!」が行われると、新聞等で報じられて大きな反響を呼び、11日には全国44カ所で一斉に行われたということです。
 
 朗読劇は1時間以上に及ぶところもあり、金田法相の役割を演じた人は、「台本をよく読んできたが、実際に言ってみても意味が分からなかった」ということです(^○^) また金田法相役が答弁を述べると、別の参加者「何を言ってるのか分からない」とやじって笑いを誘ったり、法務省の担当者役が金田法相役に後ろから何度も耳打ちする場面もリアルに再現されたということです
 
 事実の再演自体が笑いを誘うことはいくらでもありますが、日本の重大な岐路を国会で審議する場がそれであるのは論外です。現実はまさに「オチ」のない不幸のただ中にあります。
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コント化する共謀罪国会質疑を音読で再現
   ―11日に全国で「コッカイオンドク!」
志葉玲(フリージャーナリスト) 2017年6月7日  
共謀罪(テロ等準備罪)法案をめぐる国会審議を音読する活動「コッカイオンドク!」が、全国に広がっている。編集されたニュース番組や新聞等の報道ではなく、国会でのやり取りをそのまま再現することで、国会での政府答弁の迷走ぶりを実体験するという試みだ。今週末の11日やその前後には北海道や首都圏、石川県、愛知県や山口県、福岡県など全国25か所で「コッカイオンドク!」が催される。 
 
犯罪とみなされる行為について、実際にそれを実行しなくても、複数人でそうした行為について話をすることや、脱原発や米軍基地反対運動など犯罪行為ですらなく、憲法で保障された表現の自由すらも、摘発・処罰の対象とする共謀罪。刑法の原理原則から大きく逸脱するため、慎重かつ徹底的に審議を行うべきものであるが、政府答弁は迷走、もはやコントのようですらある。
 
「もう一つ、パラパラ発言に続いて、そもそも発言というのがございます(中略)そもそも発言を前提とすれば、オウム真理教は『そもそもは宗教法人』でありますから(共謀罪による摘発の)対象外ですね。でも『一変したら対象になる』とおっしゃっています。どちらが正しいんですか?」  (山尾志桜里議員) 
 
「あのですね、そもそも『そもそも』と言葉の意味について、山尾委員はですね、『始めから』、という理解しかないと こう思っておられるかも知れませんが、『そもそも』という意味にはですね、これは調べてみますと、辞書で調べてみますとですね、辞書で念のために調べてみたんですよね。これは『基本的に』という意味もあると是非知っておいていただきたい」   (安倍晋三総理大臣) 
 
出典:―4月19日 衆院法務委員会
 
野党議員の質問にまともに答えず、日本語を歪めてまで自らの発言の矛盾を認めないなど、共謀罪についての政府答弁は不誠実かつ滅茶苦茶だ。しかし、安倍政権に忖度しているのか、共謀罪の審議のある日に限ってNHKの国会中継が行われないことが度々ある上、衆院法務委員会の議事録の公開も大幅に遅れている。 
 
こうした状況に危機感を抱いた石川県金沢市在住の主婦・小原美由紀さんが、国会質疑の書き起こしをするようになり、自身のフェイスブックにアップ、それがさらに共謀罪についての情報共有サイト「共謀罪(テロ等準備罪)って・・なんだ?」にもアップされた。この議事録を見た小原さんの知人が「音読をやろうよ」と提案。小原さん含め5人で先月15日、初めての「コッカイオンドク!」が行われた。その様子は、新聞等でも報じられ、大きな反響を呼ぶ。各地で「コッカイオンドク!」が企画されるようになった。 
 
「コッカイオンドク!」のウェブサイトには、各地の参加者から「自分で口に出して言ってみると、自分で自分の言っていることがわかっていない、というのを感じた」(安倍総理役)、「壊れたテープレコーダーになった気分」(金田勝年法務大臣役)、「のらりくらり答えている人に、切り込むのってすごく難しい。よっぽどこちらがわかっていないと。自分だったらとてもじゃないけど、こんな風に突っ込めないと思う。山尾さんの苦労がわかった」(金田大臣とやり取りした山尾議員役)等の感想が届いているという。 
 
今月11日の全国一斉「コッカイオンドク!」では、8日夜の時点で25か所での開催が予定されているが、「最終的にもっと増えるかもしれない」(小原さん)とのこと。公開可能な開催地、主催者の連絡先等は、「コッカイオンドク!」のウェブサイトで確認できる。小原さんらは、「国会で何が起こっているのかを可視化してみませんか?そして、ほんとうにこのままで良いのか、家族と、友人と、周りの人と、知らない人と、みんなで語り合ってみませんか?」と呼びかけている。(了)
 
 
読むと赤面「共謀罪」答弁 「コッカイオンドク!」全国一斉実施
東京新聞 2017年6月12日
 笑えない国会審議の再現劇はやっぱり笑えなかった。「共謀罪」法案を巡る国会審議を音読する活動「コッカイオンドク!」が十一日、東京や神奈川など全国四十四カ所で一斉に行われた。国会の議事録を基に書き起こした迷言や珍問答を声に出して読むことで、国民置き去りの国会審議の問題点を浮き彫りにする試みだ。金田勝年法相などの役になってみた市民らの感想は-。
 
 神奈川県藤沢市のJR藤沢駅北口の広場では十一日、「金田勝年法務大臣」などの配役を記したパネルを首から下げた参加者が、国会でのやりとりを書き起こした台本を読み上げ、論戦を再現した。午後四時から約一時間。通行人らで百人近い人だかりができた。
 
 「ただいまのご指摘はですね、その一般の方々が、その集団に属しておる方々が、一変した場合の組織的犯罪集団に、えー、そのまま属している場合に、その、みなさんが『関わり合いを持つ』ということになるわけであります」
 
 金田法相の答弁を、参加者の会社員内藤繁さん(55)=藤沢市=が読み上げると、別の参加者から「何を言ってるのか分からない」と声が上がった。失笑も交じる。法務省の担当者役の参加者が、金田法相に後ろから何度も答弁を耳打ちする場面もリアルに再現した。
 
 内藤さんは「台本をよく読んできたが、実際に言ってみても意味が分からなかった。犯罪の計画をしたとあらぬ疑いを持たれてしまったら、『違う』と反論するのは難しいのでは。冤罪(えんざい)が増えてしまうんじゃないか」と心配そうだ。
 
 藤沢での「コッカイオンドク!」を主催し、安倍晋三首相役などを務めたバレエピアニスト朝倉優子さん(53)=同市=は「市民がなりふり構わず声を上げている姿を見てもらい、国会を動かしたい」と力を込めた。
 
 東京都調布市若葉町の市東部公民館の和室には、二十人が集まった。「安保関連法に反対するママの会@調布」の主催。金田法相役をした世田谷区の藤川哲也さん(54)は「文章として成り立たない発言がよくできるなと、読んでいて恥ずかしくなった」。
 
 社会起業家の渡邊智恵子さん(65)らが企画した東京都港区白金台での会には、「コッカイオンドク!」を発案した金沢市の主婦小原美由紀さん(52)も参加した。五月中旬、小原さんが仲間と始め、全国に広がったオンドク。今回は一斉に開催しようとインターネットなどで呼び掛けた。「全国の人々が動いてくれた。私たちは微力だけど、決して無力ではない。微力がたくさん集まればまだ何が起こるか分からない」と訴えた。
 
◆22都道府県で再現劇
 11日の全国一斉コッカイオンドク!は、北海道から鹿児島まで全国22都道府県で行われた。
 
 金沢市の路上で行われた音読で金田法相を演じた北陸大2年木林純太郎さん(19)は「追い詰められ、うやむやにしなきゃという(政府側の)思いを感じた」。名古屋市南区では子育て中の母親ら15人が集まって挑戦。参加した弁護士田巻紘子さん(39)は「法案の中身に加えて審議もごまかしばかりだとよく分かる。法案の疑問点はちっとも解消されていない」と批判。札幌市で会を開いた神代(くましろ)知花子さん(39)は「市民の関心を高めたい」と強調した。
 
<コッカイオンドク!> 衆院予算委や法務委などでの共謀罪を巡る攻防を、金田勝年法相や野党議員になりきって再現する音読劇。5月15日に石川県で始まり、共謀罪に反対する市民グループらが自主的に全国で開催している。
 
 
共謀罪審議 「コッカイオンドク!」で再現 市民が音読
毎日新聞 2017年6月12日
 「共謀罪」の成立要件を改めたテロ等準備罪を新設する組織犯罪処罰法改正案が参院で審議される中、国会の質疑を文字に起こして音読する取り組みが市民の間で広がっている。質疑の矛盾点も再現することで審議や法案の問題を浮き彫りにするのが狙い。金沢市の主婦の呼びかけで先月にスタート。フェイスブックなどで各地に広がり、11日には全国で一斉開催された。 
 
 活動は「コッカイオンドク!」と名付けられ、11日は札幌、名古屋、京都、鹿児島市など22都道府県の44カ所で開催された。東京都港区の会場では市民17人が参加。犯罪捜査の対象範囲を聞かれた金田勝年法相が「えー」と言葉に詰まり、官僚の助けを借りる場面などを再現した。質問に答えるために手を挙げようとした金田法相の肩を、安倍晋三首相らが押さえて答弁させない場面も演じた。 
 
 参加したコピーライターのマエキタミヤコさん(53)は「市民が国会を忠実に再現して笑いが起こる状況を屈辱と感じるべきだ」と法案審議の現状を批判。先月15日に石川県で初めて「コッカイオンドク!」を開催し、火付け役となった金沢市の主婦、小原美由紀さん(52)は「編集されたニュースでは国会の様子が正しく届いているか疑問に感じた」と話している。【石川将来】