2017年4月15日土曜日

ハルマゲドンが近づいているのだろうか?(Paul Craig Roberts)

 ラブロフ露外相とティラーソン米国務長官が会談した12日、プーチンはロシアTV局のインタビューで 「実務レベル、特に軍事レベルではロシアとアメリカの信頼の水準はむしろ低下している」 と語りました。
 トランプ氏は大統領選でロシアとの宥和を語り、大統領就任式では国民本位の政治を行うことを強調しましたが、就任して彼がまずやったことは軍事費の対前年10%(6兆円)アップで、その分民生費を削減しました。国民本位の政治はどうなったのでしょうか。
 
「世に倦む日々」氏は13日付のブログ:「15年ぶりに到来した米朝戦争の危機・・・」で次のように述べています。
「(要旨)トランプ大統領は、難民の入国制限は裁判所に反撃され、メキシコ国境の壁建設は予算で頓挫し、オバマケア代替案は撤回を余儀なくされ、連邦政府の人事は難航と新政権は船出して2ヶ月であえなく失速して支持率低迷の苦境に追い込まれていた。
 そこで政権を立て直すべく採った策が、ロシアと制止役のスティーブン・バノンを斬ってアサド政権潰しに旋回することと、中国を手玉に取って調略しつつ金正恩政権を潰すという二正面作戦の軍事外交戦略である。」
 
 トランプ大統領は、シリアの政府軍の飛行場周辺に突如59発のトマホーク攻撃を行い、アフガニスタンでは過激派組織ISに対して核兵器にも匹敵する「大規模爆風爆弾」を投下しました。そしていまや空母カールビンソン率いる機動部隊は北朝鮮領海近くに展開されています。
 どういう訳か昔からアメリカ国民は外国を攻撃して戦果を挙げると熱狂的にその政権を支持します。
 かつてクリントン大統領は自身が女性問題で窮地に立たされる都度イラクを爆撃し、それによって窮地を脱しました。
 トランプ政権が出発して2ヵ月余りで早くもそうして窮地に立たされているのは惨めというほかはありませんが、いまや軍事行動だけが最後の手段なので躊躇はしないだろうということです。
 
「世に倦む日々」氏は、続いて次のように予測しています。
「(要旨)もしも中国が北朝鮮への石油禁輸を拒否し、半島有事的なことが何もなく、手ぶらで空母が帰港する結末になると米国の世論はトランプの弱腰を叩く。西部劇のカルチャーが本来的な米国の国民性には、暴力で問題を解決する単純さと粗暴さと、勝つのは常に自分だという自信と傲慢があるので、トランプ大統領も振り上げた拳は簡単には降ろせない。
 そのように分析すると、ピンポイントであれ平壌が空爆される可能性は高い。・・・米朝がいざ開戦となれば、間髪を入れず軍事境界線に張り付いた北朝鮮側の数千門の高射砲が砲弾を発射してソウルが火の海になる北朝鮮の国家安全保障とは、つまるところソウル市民を人質に取っている事実であり、その条件だけで北朝鮮は国家として存立できている。
 そのことを最もよく認識し、恐怖として意識した上で、北朝鮮と対峙していたのが韓国でありソウル市民である韓国軍も間髪を入れず平壌を含めた軍事目標を一瞬で攻略し、1日か2日で北朝鮮殲滅作戦を完了させることを目指す。
 しかしその間にソウルも火の海になることは避けられない」
 
 要するにトランプ氏の暴走は、朝鮮半島にそうした結末を導くというものです。
 詳細は下記の原記事をお読みください。
     「世に倦む日々」  http://critic20.exblog.jp/26580675/
「15年ぶりに到来した米朝戦争の危機 ー予想外の韓国市民社会の安閑」  (4月13日)
 
 Paul Craig Roberts氏の「ハルマゲドンが近づいているのだろうか?」を紹介します。ハルマゲドンは「世界最終戦争」のことです。
 Roberts氏は、一時は、トランプ氏が体制側の圧力に屈せずに本来の路線を貫ければ「トランプ大帝」になれると期待していましたが、いまはもうサジを投げています。
 しかし、トランプ氏が暴走した挙句に世界がハルマゲドンに突入させられるのはゴメンです。
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ハルマゲドンが近づいているのだろうか?
マスコミに載らない海外記事 2017年4月14日
Paul Craig Roberts 2017年4月12日
欧米世界の無頓着さは、驚くべきものだ。CNN、MSNBC、NPR、ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストに洗脳されるにまかせているのは、アメリカ人だけでなく、ヨーロッパ、カナダ、オーストラリアや日本の国民も、マスコミを装う戦争プロパガンダ装置に頼っている。
 
欧米 “指導者連中” つまり、強力な私益集団と陰の政府の糸によってあやつられている連中も、同様に無頓着だ。トランプとアメリカ帝国中の傀儡指導者連中は、自分たちが、ロシアと中国との戦争を引き起こしているのに気がついていないに違いない、さもなくば連中は精神病質者だ。
ホワイト・ハウスの新阿呆が旧阿呆と入れ代わった。新阿呆は国務長官をロシアに派遣した。一体何のために? 最後通告を送るためだろうか? 更なるエセ非難をするためだろうか? ウソを詫びるためだろうか?
 
ティラーソン国務長官の厚かましさをお考え願いたい。モスクワ訪問前の週、彼は、アメリカが宣戦を布告していない国に軍事攻撃した、ワシントンの明白な戦争を正当化する、シリアのアサドが、ロシアの許可を得て、化学兵器を使用したという途方もないウソやエセの主張を支持していた。大統領に就任して、100日もたたないうちに、既にトランプは他の戦争屋閣僚ともども戦犯だ。
世界中がこれを知っているが誰もそれを言わない。それどころか、ウソと脅し満載のティラーソンが、アサドをアメリカ単独覇権国に引き渡さなければならないとロシア人に言うため、厚かましくもモスクワを訪問する。
 
ティラーソンの任務は、ワシントンがその中で暮らしている世界の完全かつ全くの非現実性を実証している。ティラーソンの傲慢さをご想像願いたい。力強い重要な人々をこき下ろし、威嚇しておいて、そういう人々の家を訪問し、夕食をともにして、いい気持ちがするだろうか? アメリカが支援しているISISから、シリアをロシアがほとんど解放したのだから、ロシアはシリアをワシントンに引き渡すだろうとティラーソンは考えているのだろうか?
ラブロフ外務大臣に、彼が言ったロシアについてのあらゆる悪質なウソは、心からのものではなく、シオニスト・ネオコンに言わされていたのだ言うつもりだろうか? 彼は本当の担当ではなく、アングロ-シオニスト帝国の道具にすぎないと?
 
ティラーソンは、ロシアの同盟者アサドは、ヒトラーよりひどい悪だというホワイト・ハウス報道官ショーン・スパイサーの発言を謝罪しに行くのだろうか?
ティラーソンは亡命を求め、勝ち組につくつもりなのかも知れない。
 
ロシアが本格的戦争を準備しているという反ロシア・プロパガンダを、売女マスコミが本格展開しているのだと、ロシアに精通するわずかに残されたアメリカ人の一人スティーブン・コーヘンが、二人のCNNマスコミ売女と、戦争屋の “専門家” レイトン大佐に言った。CNNマスコミ売女や大佐にはちんぷんかんぷんだったようだ。連中は一体誰に雇われているのだろう?
 
欧米のウソつき連中と違って、真実を語るロシア指導部は、ロシアは、二度と自国領では戦争しないと、はっきり述べている。ロシア人としては、これ以上、言うことはできまい。戦争をひきおこしてみろ、我々はお前たちを、お前たちの領土で破壊してやる。
 
ワシントンの大統領と政権、ヨーロッパ諸国政府、特にロンドン、カナダとオーストラリア政府の阿呆連中(=アングロサクソン民族国家)を見ていると、“欧米指導部” の全くの愚かさには驚嘆する他ない。連中は世界の終わりを請い願っているのだ。
売女マスコミは、生命の終焉に向かって活動している。膨大な数の欧米諸国民は自らの消滅に備えさせられているが、無頓着さのおかげで、それを自覚することか免れている。
 
ロシアと、ロシアの意図と行動に関する長年の真っ赤なウソで、ワシントンが、アメリカ合州国国民と、ワシントンのとりこにされた西欧・東欧、カナダ、オーストラリアと日本の国民をアメリカの対ロシア先制核攻撃に備えさせていると、ロシアに確信させたことを、傲慢で思い上がりに血迷うワシントンは理解できないのだ。公表されたアメリカの対中国戦争計画が、中国にも同じことを確信させている
 
もし戦争のためでないのなら、アメリカの戦争ドクトリンの変更は一体何のためだろう? ジョージ・W・ブッシュは、核兵器の安定化機能を放棄し、核兵器を、報復機能から、核先制攻撃用に格上げした。彼は更に、リチャード・ニクソン大統領が締結した弾道弾迎撃ミサイル条約から脱退した。今やアメリカ・ミサイル・サイトがロシア国境に配備されている。我々はロシア人に、ミサイルは、ヨーロッパに対するイランの核ICBM攻撃を防ぐためだとウソを言った。イランは核もICBMも保有していないという、議論の余地のない既知の事実にかかわらず、このウソが語られ、ヨーロッパの傀儡連中は受け入れた。だが、ロシア人は、それを信じてはいない。彼らはそれがワシントンのもう一つのウソであることを知っている
 
こうした目に余る露骨であからさまなウソを聞いて、ワシントンが対ロシア先制核攻撃を意図しているのをロシアは理解している。
中国も同じ結論に到達している。
だからこういう状況なのだ。核兵力を持った二国が、欧米を支配する狂気の阿呆連中が、この二国を核兵器で攻撃しようとしていることを予想しているのだ。ロシアと中国は一体何をしているのだろう? 両国は慈悲を請うているのだろうか?
そうではない。両国は、世界がこれまで経験したことのないような悪の欧米、ウソつきと戦犯の集団を破壊する準備をしている。
 
慈悲を請う必要があるのは、アフガニスタンで、数千人の軽武装タリバンを16年たっても打ち負かすことができない “単一覇権国” という用済みジョークのアメリカだ。
アメリカ政府や売女マスコミや、NATOやワシントンの属国諸国の間での無謀で無責任な戦争談義は即座に止めるべきだ。生命は極めて危うい状況にある。
 
プーチンは、ワシントンのウソと挑発に対し、驚異的忍耐を示しているが、彼は誰も信じることができないワシントンを信じて、ロシアを危険にさらす訳にはゆかない。アメリカ人も、ロシアも、他の誰も。
 
陰の政府のプロパガンダ馬車に飛び乗って、リベラル/進歩派/左翼は、ハルマゲドンに向かう行進に共謀している。
 
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