2017年4月22日土曜日

共謀罪の正体「目的はテロ対策じゃない」 自民党法務部会長

 共謀罪法案はテロ対策を売りにして提案されましたが、そもそも条文にはテロ云々は出てこないといわれています。『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)「そもそも総研」のスタッフの玉川徹氏が共謀罪法案の議員側のとりまとめ役の自民党法務部会長である古川俊治参院議員に取材したところ同氏は「テロだけじゃない」とテレビで断言しました。同法案の「目的はテロ対策ではない」ことを明らかにしたわけです。
 「羊頭狗肉」・・・看板を偽る・・・安倍内閣お得意のゴマカシ戦法です。
 LITERAの記事を紹介します。
 
 記事の後半では、「そもそも」にまつわる安倍首相のこれまた「ウソ・偽り」について明らかにしています。
 これは19日の衆院法務委で民進・山尾志桜里議員に対して、安倍首相が「・・・『そもそも』という意味には、これは、辞書で調べてみますと『基本的に』という意味もあるということも、ぜひ知っておいていただきたい」と述べたのですが、15種類ほどの辞書に当たってみても、「そもそも」に「基本的」という意味があると記述されているのは一つもなかったということを紹介したものです。
 それ自体が安倍首相が平気でウソを吐くことの証明なのですが、それが共謀罪とどうかかわるのかについては別掲の記事でも紹介した下記の動画をご覧いただくと良く分かります。
 
山尾議員質問動画(21日衆院法務委):  https://youtu.be/vuVTKIrz7o8
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テレ朝・玉川徹のツッコミに自民党が共謀罪の正体をポロリ
「目的はテロ対策じゃない」 「市民の座り込み抗議にも適用」
LITERA 2017.04.21.
共謀罪の目的はやっぱりテロ対策じゃなかった!
 ついに国会審議がはじまった共謀罪。19日の衆院法務委員会で安倍首相は、「我が国がテロ組織による犯罪を含む国際的な組織犯罪の抜け穴になることを防ぐ上において極めて重要」などとテロ対策であることを強調したが、もはやこんな詭弁が通用するわけがない。
 というのも、今回の共謀罪の取りまとめ役となっている自民党法務部会長である古川俊治参院議員が、「テロだけじゃない」とテレビで断言したからだ。
 
 その発言が飛び出したのは、昨日20日に放送された『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)の人気コーナー「そもそも総研」でのこと。コーナー進行役の玉川徹氏が共謀罪の重要人物である古川議員に取材を行ったのだが、そこで古川議員が語った内容は、まさに共謀罪の恐ろしさを裏付けるものだった。
 たとえば、安倍政権は共謀罪の捜査対象はテロ組織などの「組織的犯罪集団」に限られているというが、277ものの犯罪のうち、ひとつでも2人以上で計画や準備行為をしたと見なされれば「組織的犯罪集団」とされてしまう。そこでもっとも懸念されているのが、沖縄における基地反対のように、一般市民が参加する運動が「組織的な威力業務妨害罪にあたる」として共謀罪を適用されるのではないか、という問題だ。
 
 そこで玉川氏は、沖縄のように基地建設を阻止するために市民たちがトラック車両を現場に通さないよう座り込みで抗議する、そのことのために銀行でお金を下ろすなどしたときにも共謀罪は適用されるのか?ということを古川議員に質問。すると、古川議員はこう述べたのだ。
「仮に完全にトラックを防止するっていう目的だけにみんなが集まると、仮にですよ、仮にね。極めて具体的な計画でやる。具体的な計画といったら危険性が出てくるということですから、まさにやろうとしているということなんですね。そして、そのための実行準備行為をやったという段階じゃないと、これ適用になりませんから」
 
沖縄の基地反対運動にも共謀罪は適用されると、自民議員が明言
 ここですかさず玉川氏は「逆にいえば、そこまでやれば適用できるということですよね」と言うと、古川議員は「そうなれば、組織的犯罪集団として認定される可能性はありますね」と明言したのである。
 つまり、トラック阻止を計画し準備しただけで「組織的犯罪集団」となり、共謀罪で逮捕されてしまう、というのだ。安倍首相は「一般市民が対象になることはない」と繰り返し強調するが、とんだ大嘘ではないか。
 
 反対運動だけではない。例として、原発のような国策を推進する企業に対してSNS上で集団で批判を書き込むといった行為を信用毀損・業務妨害罪にあたるとして共謀罪が適用される可能性について、古川議員はこのように言い切った。
「故意があるということは確定的に何か証拠に出ていて、かつ、その具体的な計画で、まさに実行の段階に入って、それで実行準備行為があるという段階になれば、それはその犯罪は成立するので、あり得ることです」
 
 この古川法務部会長の説明によって、共謀罪とはやはり、テロとはまったく関係がない一般市民に、権力者の思うがまま、いくらでも適用できる法案だということがよくわかるだろう。しかも、古川議員はこんなことまで言い出したのだ。
「テロなんて言ってませんよ、この法律だって」
それはいろんな意味でですよ、テロだけじゃないですね
「テロ等準備罪」とテロの脅威を利用した嘘っぱちのネーミングに置き換えたのは安倍政権だが、その取りまとめ役たる法務部会会長である古川議員は自らが、この法案はテロだけが取り締まりの目的じゃないときっぱり宣言したのである。
 ようするに、「テロ等準備罪」というのは詭弁でしかないと自民党議員によってお墨付きが出たわけだが、問題は、安倍首相がこうした詭弁を弄して国会議論を掻き混ぜ、共謀罪を押し通そうとしていることだ。
 
安倍首相の答弁「「そもそも」の意味は「基本的に」と辞書にあった」は嘘?
 実際、前述した19日の衆院法務委では、民進党・山尾志桜里議員が、安倍首相は1月の予算委では「そもそも犯罪を犯すことを目的としている集団でなければなりません」と言っていたのに、その3週間後にはオウム真理教を例に出し「当初はこれは宗教法人として認められた団体でありましたが、まさに犯罪集団として一変したわけであります」と説明を一変させたことを指摘。「 そもそも発言” を前提とすれば、オウム真理教は『そもそも宗教法人』なので対象外ですね? どちらが正しいんですか?」と質問を行った。
 
 すると安倍首相は、藪から棒にこんなことを言い出した。
 “そもそも” という言葉の意味について、山尾委員は『はじめから』という理解しかないと思っておられるかもしれませんが、『そもそも』という意味には、これは、辞書で調べてみますと(中略)これは『基本的に』という意味もあるということも、ぜひ知っておいていただきたいと。これは多くの方々はすでにご承知の通りだと思いますが、山尾委員は、もしかしたら、それ、ご存じなかったかもしれませんが、これはまさに『基本的に』ということであります。つまり、『基本的に犯罪を目的とする集団であるか、ないか』が、対象となるかならないかの違いであって。これは当たり前のことでありまして」
 
 姑息にも程があるが、「そもそも」という言葉を「基本的に」という意味で使うことは一般的にほとんどないだろう。たとえば三省堂の『大辞林』では、名詞用法としては〈(物事の)最初。起こり。どだい。副詞的にも用いる〉とし、接続詞としては〈改めて説き起こすとき,文頭に用いる語。いったい。だいたい〉と説明している。「基本的に」という意味は書かれていない
 
 同様にネット上でも「『基本的に』なんて意味で『そもそも』と言うか?」と疑問が呈され、朝日新聞は『広辞苑』『日本語大辞典』『大辞林』『日本国語大辞典』を調査し、どの辞書も〈「基本的に」とする記述はない〉と記事にしている。さらに辞書をテーマにした「四次元ことばブログ」では、30種類以上の辞書を調べても、戦前の辞書まで遡って調べても、「そもそも」を「基本的に」と語釈する辞書は見つからなかったとレポートしている。
 
無能・金田勝年法相に答弁させないために、前代未聞の国会ルール破り
 ぜひ安倍首相にはわざわざ調べてみた辞書が何であるのか明かしていただきたいものだが、言うまでもなく、山尾議員はそんなことを問いただしたかったわけでは決してなく、 “誰がターゲットとなるのか”  という重要な問題が本題だったはず。それを自分の発言責任を放り出して、根拠もない自己弁護で議論を進展させようとしないのだ。
 だが、今後もこのような詭弁に詭弁を重ねるバカバカしい議論がつづいていくことは必至だろう。しかも、この日の法務委では、まともな答弁ができない金田勝年法相の “代打” として、要求されてもいない林真琴刑事局長を政府参考人として出席させることを強行採決。前代未聞の国会ルール破りを展開した。
 
 しかし、こんな滅茶苦茶なやり方で、どんな問題法案だって押し通せてしまうのが安倍 “独裁” 政権である。冒頭に紹介した『モーニングショー』のように、いまこそメディアは共謀罪の危険性と安倍政権の暴挙を暴き立てていかなくてはならないのだ。(編集部)