2017年4月29日土曜日

29- 「強権統治阻止は世界への責任」九条の会がアピール

 九条の会は27日記者会見を開き、憲法9条を守る今日的意義を明らかにするアピール「日本国憲法施行70周年にあたって」を発表しました。
 会のアピール発表は20046月結成時以来2回目です。
 しんぶん赤旗の記事と声明文を紹介します。
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九条の会がアピール「強権統治阻止は世界への責任」
しんぶん赤旗 2017年4月28日
 九条の会は27日、東京都内で記者会見を開き、憲法9条を守る今日的意義を明らかにするアピール「日本国憲法施行70周年にあたって」を発表しました。会のアピール発表は2004年6月結成時以来2回目です。
 
 アピールは、改憲阻止、戦争法の廃止、南スーダンからの自衛隊の即時撤退、沖縄県名護市辺野古、東村高江の米軍基地建設阻止、「共謀罪」法案の廃案によって「日本国民を強権で統治して物言わぬ存在にしてしまおうとする安倍政権の企(たくら)みを打破」することになるとして、9条をもつ日本に課せられた世界の人々への責任だと主張しています。
 小森陽一事務局長はアピール発表の目的について、安倍政権による戦争法制定など歴史逆行の暴走と、アメリカの軍事的挑発とそれに追随する安倍政権の政治によって戦争の危機が拡大するなど、「憲法の方向性を世界に生かしていく上で、極めて緊迫した局面です。憲法がはっきりと指針を示すはずだと考えた」と述べました。
 
 会見では、同会呼びかけ人で作家の澤地久枝さん、愛敬浩二名古屋大教授、伊藤千尋元「朝日」記者、清水雅彦日本体育大教授、山内敏弘一橋大名誉教授の各世話人が発言しました。
 
 
「日本国憲法施行70周年にあたって」
2017年4月27日
九 条 の 会  
 日本国憲法は今年、施行70年を迎えました。この70年、この憲法を「改正」しようとする攻撃が絶え間なく行われてきたにもかかわらず、「再び戦争をしない」と決意した私たちは「9条守れ」の運動をねばり強く展開し、これえをはねかえしてきました。
 しかしいま安倍政権は、アメリカに付き従った軍事同盟を背景に、「国益」、「安全」の口実のもと、集団的自衛権容認の閣議決定をおこなうとともに、秘密保護法制定、武器輸出三原則の撤廃、国家安全保障会議の設置、日米ガイドラインの締結、そして戦争法制定などを強行してきました。さらに通常国会冒頭の施政方針演説では「次なる70年に向かって」憲法「改正」を提案すると明言するなど、歴史逆行の暴走をエスカレートさせています。
 いま、アメリカではトランプ政権が誕生し、アジアでも大国主義的行動や軍事的挑発が繰り返され、20世紀以来の世界がめざしてきた戦争違法化の流れに逆行する軽視できない動きが強まっています。
 安倍政権の暴走は、こうした世界の逆流に便乗し、軍事力や恫喝が幅を利かす世界の中で、強国の一員としての座を占めたいという野望に基づいています。4月7日のトランプ政権によるシリア攻撃に対しても安倍首相はいち早く「米国政府の決意を支持する」ことを表明しています。こうした安倍政権の政治がアジアの緊張を高め、戦争と武力衝突の危険を拡大するものであることは明白です。
 こうした流れに対して、世界でも、武力や恫喝による解決に反対する市民の声が、当のアメリカも含めて噴出しています。9条を掲げる私たちの運動は、平和な世界の構築に向けて、その先頭に立って積極的な役割を果たすべき立場にあります。
 同時に、戦争法を廃止すること、南スーダンから自衛隊を即時撤退させること、沖縄辺野古、高江の基地建設を阻むこと、共謀罪法案の成立を許さないこと、何もより明文改憲に「NO」をつきつけことは、日本国民を強権で統治して物言わぬ存在にしてしまおうとする安倍政権の企みを打破し、現状に危惧をもつ世界とりわけアジアの人々、国々に対して、9条をもつ日本の私たちに課せられた責任です。
 戦争法廃止の運動のなかでは、立憲主義擁護の一致点にもとづいてかつてない共同が実現しました。南スーダンからの自衛隊施設部隊の撤退決定もその運動の成果です。安倍政権の暴走にストップをかけるのはこの共同をさらに大きく、強固なものにしていく以外にありません。そして安倍政権を退陣においこむことです。
 13年前、九条の会の出発に際して発表した「アピール」の言葉を、いま、あらためて、掲げます。「日本と世界の平和な未来のために、日本国憲法を守るという一点で手をつなぎ、『改憲』のくわだてを阻むため、一人ひとりができる。あらゆる努力を、いますぐ始めることを訴えます。」