2017年4月27日木曜日

27- 対北朝鮮弾道ミサイル 「退避マニュアル」は“お笑い”

  安倍首相は、今回の北朝鮮を巡る緊迫情勢の始まりの段階で、トランプ米大統領から「全ての選択肢がテーブルの上にある」と伝えられたことを、殊の外に名誉なことに感じているようですが、「全ての選択肢」があるとは「先制攻撃も辞さない」という意味です。
 いくら戦争好きな首相であっても、そんなものを「高く評価する」というのは気が知れません。アメリカに自重を促して決して戦端を開かせないのが近隣国の首相の務めの筈です。
 ところで内閣官房は、なんと北朝鮮が弾道ミサイルを発射した場合の「退避マニュアル」を公表しているのだそうです。これ以上の北朝鮮敵視政策はありません。もっとも安倍首相は着任以来一貫して北朝鮮を敵視する発言を続けているので、ホームページにそれらを掲載するのに何の抵抗もなかったのでしょう。
 
 ところがその「退避マニュアル」に書かれている内容はトンデモナイものだということです。
 「いかなる事態にあっても、国民の命を守る」のが首相の責任だと本当に思うのであれば、役に立たないマニュアルを作るのではなくて戦争という事態を絶対に回避することに努めて欲しいものです。北朝鮮には先制攻撃の意図などは全くないのですから・・・
 日刊ゲンダイの記事を紹介します。 
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北朝鮮の弾道ミサイルに安倍政権“お笑い退避マニュアル”
日刊ゲンダイ 2017年4月26日
 25日、朝鮮人民軍創建85周年を迎えた北朝鮮。追い詰められつつある金正恩・朝鮮労働党委員長は果たして弾道ミサイル発射や6度目の核実験に踏み切るのか――。世界が固唾をのんで見守る中、安倍首相は24日、トランプ米大統領と今月3回目の電話会談を行い、「全ての選択肢がテーブルの上にあることを言葉と行動で示すトランプ大統領の姿勢を高く評価する」と伝えたという。
 
 「全ての選択肢」には当然、軍事攻撃も入る。つまり、日本も殺し、殺される戦争に突入するということだ。それを安倍首相は「高く評価」とか言っているから正気じゃない。毎日新聞の世論調査では、北朝鮮に対して各国の「外交努力を強める」との回答は64%に上り、「軍事的な圧力を強める」はわずか21%。ANNの調査でも「外交による話し合いが必要」と答えた人の割合が68%だったのに対し、「アメリカによる武力行使が必要」はわずか17%だ。つまり、大多数の国民のホンネは「軍事攻撃はヤメロ」ということだ。それなのに首相自らが先頭に立って戦争を煽りまくっているのだから許し難い。
 
 大体、安倍首相は「総理大臣はいかなる事態にあっても、国民の命を守る責任がある」なんて威勢のいいことを言っているが、これは大ウソだ。
 「内閣官房国民保護ポータルサイト」の〈弾道ミサイル落下時の行動について〉というコーナーに、北朝鮮が弾道ミサイルを発射した場合の「退避マニュアル」が載っているのだが、これがあまりにひどい内容なのだ。
 〈弾道ミサイルは、発射から極めて短時間で着弾します。ミサイルが日本に落下する可能性がある場合は、Jアラートを活用して、防災行政無線で特別なサイレン音とともにメッセージを流す〉とあり、メッセージが流れた場合、〈直ちに〉取る行動として〈近くのできるだけ頑丈な建物や地下街などに避難する〉〈近くに適当な建物がない場合は、物陰に身を隠すか地面に伏せ頭部を守る〉〈できるだけ窓から離れ、できれば窓のない部屋へ移動する〉なんて書いてあるのだが、あまりに現実離れしている。軍事ジャーナリストの世良光弘氏がこう言う。
 
「発射された北朝鮮の弾道ミサイルが日本に着弾するまで8~10分。発射情報は米軍経由で日本側に届くため、Jアラートが警報を鳴らすのは早くても5分後。つまり、国民が行動する時間は3分しかありません。内閣府のポータルサイトには避難施設も出ていますが、東京都だけでPDFで60ページ。これでは避難施設を探している間にミサイルが落ちてきますよ。それにサリンやVXガスの場合、空気より比重が重いため、政府の言うとおりに地下街などに逃げ込んだら即アウト。(退避マニュアルは)オソマツ過ぎます」
  安倍が叫ぶ「万全の態勢」なんて、しょせんはこの程度である