2017年4月17日月曜日

17- 北朝鮮情勢が緊迫しても安倍首相はただ戦争を煽るだけ

 安倍首相は13日の参院外交防衛委で、北朝鮮サリンを弾頭につけて着弾させる能力をすでに保有している可能性がある」と述べました。
 しかしそんなことは何も新しい情報ではありません。北朝鮮は2006年の段階で、日本の全土を射程に収めるノドンを既に200基保有していました(現在はその数倍を保有していることでしょう)。しかしこの間何ごともなく推移して来たというのが実情です。それは北朝鮮は残虐な独裁国家で拉致を行う犯罪国家ではあっても戦争を仕掛ける侵略国家ではなく、日本は敵国ではなかったからでした。少なくとも第一次と第二次の安倍政権が登場した期間以外は・・・
 安倍首相が北朝鮮の脅威を煽るのは、それによって日本の軍事国家化を促進したいからで、それこそは首相の地位を利用した印象操作です。
 
 一方内政のことごとくが挫折し、まだハネムーン期間中にもかかわらず支持率が低迷しているため、いまや相手国を攻撃しさえすれば国民が圧倒的に支持するという国民性を利用するしか活路がなくなったトランプ大統領は、先ずシリアに巡航ミサイル・トマホークを59発も撃ち込み、ついでアフガニスタンに「大規模爆風爆弾MOAB」を投下しました。核爆弾に次ぐ威力を持つというMOABを投下した意味は不明で、アフガニスタンの大統領は自国は爆弾の実験場ではないと怒りました。
 さらに空母「カール・ビンソン」に率いられた機動部隊を北朝鮮領海に差し向けていて、北朝鮮領海付近に到着するのは4月25日ごろと見られています。
 
 こうした威嚇行為は通常であれば瀬戸際で留まって大事には至らないものですが、今回は威嚇に屈することを潔しとしない金正恩と、そのまま機動部隊を引き上げるのでは面子も立たないし肝心の支持率も上がらないという窮地にあるトランプとの対決なので、誰かが仲裁しないことには大事に至ってしまいます。
 従来であれば中国が仲裁役を務めてきましたが、今回は米中首脳会談で何か釘を刺されたようで前面に出ようとしません。ロシアについてはトランプというよりもアメリカの体制側が、その役割をロシアに与えようとはしません。
 
 そうであれば今回は日本こそが仲裁を果たすべきなのですが、安倍首相には全くその意思がないどころか逆に米国に北朝鮮の制圧を煽っているといわれています。彼にはそうなった場合の結末が全く見えていないようです。
 もしも米軍の機動艦隊から何かの攻撃があれば、まさに一触即発、それを契機に南北朝鮮間で砲弾やミサイルが飛び交ってピョンヤンもソウルも火の海になるのは勿論、日本にはノドンが飛んできます。いまやアメリカと一体となっている日本が敵国として攻撃を受けるのは、集団的自衛権の発動を謳っている以上甘受するしかありません。
 もしも福井県の原発群や柏崎刈羽原発がノドンで撃破されれば、今度こそ日本は終わりを迎えることになるでしょう。
 
 日刊ゲンダイの記事を紹介します。
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北情勢緊迫も…戦争を煽る安倍首相と大政翼賛報道の恐怖
日刊ゲンダイ 2017年4月16日
 果たして6度目の核実験を強行するのか。北朝鮮情勢が緊迫する中、「戦争屋」の本性がムキ出しになってきたのが安倍首相だ。
 ここ最近は北朝鮮の脅威を煽る発言が目立ち、13日の参院外交防衛委で、北朝鮮が「サリンを(ミサイルの)弾頭につけて着弾させる能力をすでに保有している可能性がある」と踏み込んだのに続き、14日も陸自の西部方面総監部の訓示で「北朝鮮の核・ミサイル開発は深刻さを増し、テロの脅威が世界に拡散している」と気炎を上げていた。
「北朝鮮の行動を改めさせる必要がある。圧力をかけていかなければ、彼らは対応を変えていかない」
「今のまま国際社会に挑戦を続けていけば、未来がないと北朝鮮に理解させないといけない」
 
 安倍首相の北朝鮮に対する発言はどんどん前のめりになっていて、トランプそっくり。今すぐにでも自衛隊に出撃命令を出してもおかしくない。朝鮮半島近海に空母「カール・ビンソン」などを派遣した米軍の後ろ盾を得て強気になっているのだろうが、本来はイケイケドンドンのトランプに自制を促すのがスジだ。それが先頭に立って北朝鮮を刺激しまくっているから許し難い。「戦争放棄」を掲げる日本の総理大臣としてあり得ない姿だ。
 安倍首相は昨年12月にオバマ前大統領と一緒にハワイ・真珠湾を訪れた際、「二度と戦争の惨禍を繰り返してはならない」と誓っていたが、やっぱり大ウソだったワケだ。
 
■新聞・テレビも大政翼賛会に
 一方、そんな安倍首相の姿勢を少しも批判せず、挑発発言をタレ流している新聞・テレビも同罪だ。アフガン戦争やイラク戦争で証明されている通り、米国が軍事介入するほど事態はドロ沼化する。しかも、安倍政権が集団的自衛権の行使を認めたため、北とコトが起きれば自衛隊はいや応なく米軍と一緒に戦場に駆り出されるのだ。戦後70年間余り守り続けてきた「平和国家」を捨て去り、いよいよ殺し殺される「戦争国家」になるのだ。新聞・テレビは今こそ、「社会の木鐸」としての役割を果たすべきなのに、戦前と同じで「大政翼賛会」と化しているから、ムチャクチャだ。
 
首相が率先して戦争を煽っているのだから、こんなバカな話はありません。中国の王毅外相は『武力では問題を解決できない』と呼び掛けていますが、本来は日本が果たすべき役割です。大体、本当に有事になったら(日本も)終わりですよ。自制を促さないメディアもどうかしています」(元外交官の天木直人氏)
 このままだと、安倍首相が「1億総玉砕」「本土決戦に備えよ」なんて言い出しかねない。