2017年4月4日火曜日

04- フリン中将は免責を条件に 上下院情報委で証言すると

 アメリカに関する二つの記事を紹介します。
 一つはこの2月になぜかトランプ大統領が擁護せずに不可解な辞任をしたマイケル・フリン国家安全保障担当補佐官に関するもので、彼がシリアでIS(ダーイッシュが占領地を拡大できたのはオバマ政権の政策によること、そしてオバマ、ヒラリー・クリントン、CIAなど情報機関などロシアとの関係を悪化させようとしている勢力にとって都合の悪い情報の証拠を持っていて、免責の保障があれば公表するというものです。
 これまでも言われてきたことで容易に推定できることかもしれませんが、アメリカの暗部に関するものでいざとなると興味をそそられます。
 もう一つは、Paul Craig Roberts氏の記事で、ロシアは自国をスパイされるスパイ衛星のロケット・エンジンをアメリカに売っているという話です。なんとも不思議な話ですが、ロシアは別に意に介していないようでRobertsは、「神よロシア人を救いたまえ」と祈っています。
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フリン中将は免責を条件に上下院の情報委員会で証言すると提案、
秘密情報の発覚を議員は恐れる    
櫻井ジャーナル 2017年4月3日
免責を条件にマイケル・フリンは上院と下院の情報委員会で証言すると提案しているという。フリンは理由にならない理由で今年2月に国家安全保障担当補佐官を辞任、2014年8月にはアル・カイダ系武装集団やダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)をバシャール・アル・アサド政権を打倒するための手先として使っているバラク・オバマ政権と対立してDIA局長を解任されている人物だ。
 
フリンは退役後の2015年8月、アル・ジャジーラの番組に登場し、ダーイッシュが占領地を拡大できたのはオバマ政権の政策によると語っている。フリンがDIA局長だった2012年8月に作成されたDIAの報告書は、シリアで政府軍と戦っている勢力の中心をサラフ主義者、ムスリム同胞団、そしてAQI(アル・ヌスラというタグをシリアでは使っていたが、実態はAQIと同じだとしている)、つまり「穏健派」は存在しないとしたうえで、オバマ政権の「穏健派支援」が続けば東部シリア(ハサカやデリゾール)にサラフ主義者の支配国が作られる可能性があると指摘していた。
 
この警告通り、2014年1月にイラクのファルージャで「イスラム首長国」の建国が宣言され、6月にダーイッシュはイラクのファルージャやモスルを制圧している。このとき、アメリカ軍はダーイッシュの制圧作戦、示威行進を黙認していた。ファルージャやモスルが制圧された2カ月後にフリンがDIA局長の職を解かれた理由は改めて言うまでもないだろう。
アル・ジャジーラの番組でフリンがオバマ政権の政策に触れることができたのは、2012年の報告書がすでに情報公開法に基づいて明らかにされ、秘密でなくなっていたからだ。職務上、機密情報を知りうる立場にある人物が機密情報を明らかにすることは禁じられている。
 
 当然、フリンはオバマ、ヒラリー・クリントン、CIAなど情報機関などロシアとの関係を悪化させようとしている勢力にとって都合の悪い情報をまだ持っているはずだが、それらを口にすれば刑事罰が待っている。それがネオコンをはじめとする好戦派を守っているのだが、もしフリンが免責を認めえられたなら、アメリカの支配システムを揺るがす事態に発展しかねない。裏取引か脅しか、何らかの手を講じた上でなければ、上院や下院がフリンの提案を受け入れることはないだろう。議会は難しい決断を迫られていると見ている人もいる。 
 
 
ロシア政府は無頓着なのか?
マスコミに載らない海外記事 2017年4月 3日
Paul Craig Roberts 2017年4月1日
3月1日、アメリカ国家偵察局が、ロシアのRD-180エンジンが推進するアトラスVロケットが運ぶスパイ衛星を打ち上げた。
 
“超大国”とされるアメリカ合州国は、スパイ衛星を宇宙に打ち上げることができない。“超大国”は、ロシアをスパイするためのスパイ衛星を打ち上げるロケット・エンジンをロシアが “超大国” に供給するのに依存している!!! 
レーニンの言葉をもじればこうだ。ロシア人は、ロシアを吊すためのロープをワシントンに売っている
ロシアは、更なるアメリカ・ドルの方を、国家の存続より重んじるのだろうか? どうやら、そうらしい。
 
大西洋統合主義者連中、ワシントンが資金提供し支援しているロシア国内の、ロシア・マスコミ内部、そしてロシア政府内部の第五列は、退廃的でふしだらな欧米に加わりたがる余り、連中は、ロシアの主権を進んで犠牲にして、全ヨーロッパ諸国、カナダ、オーストラリアや日本同様、ワシントンの属国になりたいのだろうか? そうなのだ。
 
ワシントンが、ロシアをスパイできるようにし、先制核攻撃で、ロシアを核兵器の標的にする能力を得るようロシアから謹呈することの説明が他にあるだろうか?
ロシアは国家存続よりアメリカ・ドルと “ワシントンとの協力” への関心が高いようだ。
ワシントンの手にかかって、ロシアが消滅するのを、プーチンは黙認するだろうと、ネオコンが信じているのも不思議ではない。
全てに対する圧政という、ワシントンの新世界秩序は順調に進んでいるようだ。ロシアはワシントンのために、ワシントンのスパイ衛星を宇宙に打ち上げ、ワシントンの支配を可能にしている。
 
おそらく次にロシアは、全ての核兵器搭載潜水艦の位置と、鉄道移動型ICBMの移動日程を、ワシントンに知らせるだろう。どうやらロシア政府の唯一の目標らしい “ワシントンとの協力” が確保できるのだから、当然のことだ。
驚くべきことではないだろうか。ワシントンが次々にロシアに経済制裁を課しているのに、プーチンは、スパイ衛星を打ち上げるのに必要なロケット・エンジンを、ワシントンに売り続けているのだ!!!!
 
神よロシア人を救いたまえ。
 
Paul Craig  Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリプス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼 の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Order.が購入可能。
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