2017年2月13日月曜日

日米首脳会談 対米追従 いっそう深化 日米FTAも歯止めなし

 今度の日米首脳会談では、米国の日本支配に相当する日米軍事同盟のさらなる強化を確認し、その中で日本も大きな役割を果たすことを確約しました。ここで「大きな役割」というのは具体的には南スーダンでのPKOのことを指すと言われています。沖縄の辺野古基地の建設が「唯一の解決策」であることも謳われました。
 日米二国間貿易協定(FTA)については、「経済対話の枠組みを創設する」ことが明記されました。今後FTAについて米国からの過酷な要求が出されることになります。
 このFTAの見込みについて、米韓FTAの経過を知る柳京熙准教授(酪農学園大学)は、「TPPの結果をみると韓米の交渉と同じで日米は対等に交渉できない」とし、「TPP以上にFTAは、農業に限らず生活全般にかかわる」ものであると警告しました。日本にはこの認識を持っている関係閣僚がいないことはこれまで何度も触れてきたとおりです。
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日米首脳会談 対米追従 いっそう深化
軍事経済 同盟強化を確認 辺野古推進、「経済」枠組み創設へ
しんぶん赤旗 2017年2月12日
 【ワシントン=洞口昇幸】安倍晋三首相とトランプ米大統領は10日(日本時間11日)、ホワイトハウスで初めて会談し、軍事、経済両面で日米軍事同盟のさらなる強化を確認しました。両首脳はホワイトハウスの車寄せで抱き合うほどの親しさを演出。「米国第一」を掲げるトランプ大統領を、安倍首相が「偉大な米国、強い米国」と持ち上げるなど、「日米同盟第一」の立場からいっそう対米追従を深める会談となりました。
 
 会談後に発表された共同声明では、沖縄県名護市辺野古への米軍新基地建設が、「普天間基地(同県宜野湾市)の継続的な使用を回避するための唯一の解決策」と明記。新基地建設反対の「オール沖縄」の民意を踏みにじって、基地建設を強行する姿勢を改めて示しました。
 
 会談で両首脳は、日米安全保障条約第5条が尖閣諸島に適用されることを確認。安倍首相は共同記者会見で、日米同盟の「絆は揺るぎないもの」であり、「日本も『積極的平和主義』の旗の下で大きな役割を果たす」と言明しました。トランプ氏は「日本の安全保障に関与する。日米同盟はアジア太平洋地域の平和と安定の礎石だ」と強調しました。
 
 国連では3月にも核兵器禁止条約の締結交渉が始まろうとしています。共同声明はこれに逆行するように、「核および通常戦力の双方によるあらゆる種類の米国の軍事力を使った日本の防衛に対する米国のコミットメント(関与)は揺るぎない」と明記しました。
 
 こうした日米の軍事一体化をさらに進めるために、日米の安全保障協議委員会(2プラス2、外務・防衛担当閣僚会合)の開催を確認しました。
 
 経済分野で共同声明は、米国の環太平洋連携協定(TPP)からの離脱に「留意」し、「日米間で2国間の枠組みに関して議論を行う」としました。「経済政策」「インフラ投資・エネルギー分野」「貿易・投資ルール」の三つの柱を扱うとして、麻生太郎副総理とペンス副大統領による経済対話の枠組みを創設することで合意しました。
 
 安倍氏は共同記者会見で、「日本は高い技術力で大統領の成長戦略に貢献できる。米国に新しい雇用を生み出すことができる」と強調しました。
 
 
日米FTA TPPより生活影響 北海道十勝 食と農のつどい
紙議員国会報告
しんぶん赤旗 2017年2月12日
 北海道の日本共産党十勝地区委員会は11日、十勝管内音更(おとふけ)町で「第22回食と農のつどい」を開催。日本共産党の紙智子参院議員が国会報告し、酪農学園大学の柳京熙(ユウ・キョンヒ)准教授(農業経済学)が講演しました。
 
 十勝町村会の高橋正夫会長(本別町長)をはじめ管内の町長・副町長や町議会議長、議員、役場、農協関係者、住民ら230人が参加し、両氏の話に真剣に耳を傾けました。
 紙議員は、昨年のTPP(環太平洋連携協定)をめぐるたたかいの到達や、通常国会での論戦について報告しました。紙議員は、安倍政権が国民の声を聞かず、TPPの発効が不可能になっても批准を強行したことを批判。「安倍首相が米国に参加するよう説得すると言い、批准したのは再交渉しないための手だてと言いながら、2国間交渉を否定しないのは矛盾する」と告発しました。
 
 「韓米FTAの現状から日本の姿を見る」と題して講演した韓国出身の柳准教授は「TPPの結果をみると韓米の交渉と同じで日米は対等に交渉できない」とのべ、韓国がFTA締結(2012年)後の4年間で、米国からの果実や乳製品などの輸入が大幅増になるなど大きく変化したことを紹介。「TPP以上にFTAは、農業に限らず生活全般にかかわるもの。食と農を守るため反対の声を上げていく必要がある」と呼びかけました。