2017年2月11日土曜日

日米会談直前にトランプが習近平に親書

 安倍ートランプ会談についての記者会見がありました。
 その内容は事前に骨子として伝えられていたようなもので日本側としては当たり障りのないものでしたし、トランプ氏としても実利が得られればそれで不足はないわけです。
 会談の予定時間は45分間ということで、詳細は全てそのあとの麻生副総理と米副大統領、岸田外相と米国務長官の会談に委ねられました。勿論、米国への莫大な投資の話も出ませんでした。
 どんな形の首脳会談にしてどう発表をするか、日本の役人たちが相当根回しをしておいたのでしょう。
 
 その間日本のTVでは、安倍応援団の山口某コメンテータなどが、「巷で言われているように年金積立金を投資するのではない」と擁護したのに対して、「外為特会(外国為替資金特別会計)を使うのでしょう」と指摘されて憮然とする(まるこ姫の独り言)というようなシーンがあったということです。何であろうと国民の資金を投じることには間違いはありません。
 
 ところでトランプ氏は日米首脳会談に先立って中国の習主席に親書を送り、追いかけて9日には1時間ほどの電話会談を行いました。トランプ氏はそこで「中国は一つ」という原則を認めたのをはじめ米中が幅広い分野で協力を進める必要性を確認したようです。
 この展開は、大統領選の最中にトランプ氏中国の商取引を不公平だと非難し南シナ海での軍拡には対抗するという強硬発言を重ね、さらに大統領就任後も米中電話会談を避けていたのを見ていた安倍氏には意外だったことでしょう。
 日刊ゲンダイは、これで「中国を 日米共通の敵” にするというシナリオは完全に破綻した。トランプ政権は意図的に日米会談の直前に 親書 を送った可能性がある」としています。
 元外交官の天木直人氏も、これは事前に中国に対して、「日本との間で日米同盟強化に合意するが心配する必要はない。これまでの繰り返しに過ぎない。中国との関係を損なうようなことはしない」と通報したのだと断じています
 
 もともと米・中の間では数百人の経済人たちが定期的に会合しているほど経済的な結びつきが堅固が得られていない「中国敵視政策」にいつまでもしがみついているべきではありません。
 むしろ ただ米国の前にひれ伏すのではなくて、中国のように堂々と国益を主張をしながら米国と対等に付き合っている姿勢をこそ見習うべきです。
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トランプが習近平に親書 日米会談直前で狂った安倍シナリオ
日刊ゲンダイ 2017年2月10日
 日本時間の11日に行われる安倍-トランプ会談。いまごろ、安倍首相は真っ青になっているはずだ。安倍周辺は、〈中国を共通の敵にすることで日米同盟の重要性を再確認する〉というシナリオを用意していた。通商問題も〈中国をワル者にすれば日本への批判をそらせられる〉――と計算していたという。
 ところがトランプが8日、習近平主席に「親書」を送ったとホワイトハウスが発表したのだ。しかも、〈アメリカと中国の双方に恩恵を与える建設的な関係を発展させるために、習主席との協力を楽しみにしている〉と親愛を込めた内容である。中国を “共通の敵” にするという安倍周辺のシナリオは、完全に破綻した格好だ。トランプ政権は意図的に日米会談の直前に「親書」を送った可能性さえ囁かれている。
■中国を「共通の敵」にできない
 そもそも、中国をワル者にすることでトランプの歓心を買う戦略が正しかったのかどうか。選挙中、トランプは中国を激しく攻撃していたが、就任後はほとんど口にしなくなっている。「就任初日に中国を為替操作国に指定する」という選挙公約も見送っている。敵対どころか、確実に「米中接近」が進んでいる状況なのだ。
「トランプの長女イバンカは1日、ワシントンの中国大使館で開かれた旧正月を祝うパーティーに娘のアラベラと参加し、京劇を楽しんでいます。イバンカはアラベラに中国語を習わせるほどの中国シンパです。一方、習近平と近いアリババのジャック・マー会長も、トランプと会い、アメリカ国内に100万人の雇用を生み出す約束をしています」(外交関係者)
 日本の大手メディアは対立する米中関係を盛んに報じているが、世界の2大国は、それほど単純ではない。
 外交評論家の小山貴氏がこう言う。
「まだ政権スタート2週間だというのに国務長官ではなく、国防長官のマティスが韓国と日本を訪れたことは、大きな意味があると思う。日本のメディアは『中国への牽制だ』と報じていますが、アメリカが警戒しているのは、中国よりも北朝鮮の核なのではないか。あと数年で北朝鮮の核ミサイルがアメリカに届くまで技術開発される恐れがあるからです。アメリカのメディアも北朝鮮の核の脅威を度々伝えています。北朝鮮を封じ込めるためには、中国の協力は欠かせない。日本の頭越しにアメリカと中国が手を結ぶ可能性は十分にある。もし、安倍政権が〈中国を日米共通の敵にする〉と考えているとしたらハシゴを外される恐れがありますよ」
 中国をワル者にするというシナリオが狂った安倍首相は、トランプを相手にどう国益を守るつもりなのか。 
 
 
安倍ひとり栄えて国滅ぶ今度の日米首脳会談
天木直人のブログ 2017年2月11日
 日米首脳会談後に開かれた共同記者会見をテレビで観ながらリアルタイムでこれを書いている。
 今朝の新聞はもちろん間に合うはずがないから今度の首脳会談の記者会見の事は何も書いていない。
 テレビの解説も、共同記者会見の言葉を繰り返すだけで、何の分析もしていない。
 だから、これから書くことは日本で一番早いコメントだ。そして一番正しいコメントである。
 
 今度の日米首脳会談を一言で言えば、「安倍ひとり栄えて国滅ぶ」である。
 その意味するところは、日米同盟が今度の首脳会談で後戻りできないほど固定化され、その見返りとして日本経済と国民の暮らしが米国に献上されるということだ。これは極めて深刻な事なのである。まさしく国家的危機なのである。
 日米同盟強化という名の米軍による日本支配は、オバマ大統領であれ、トランプ大統領であれ米国にとっては共通した国益だ。国益第一主義のトランプ大統領にそれを真っ先に言わせ、安倍首相がそれを自分の手柄のように繰り返した。
 その代りに、安倍首相はかねて準備していた米国雇用の創出やインフラ強化の協力を約束した。トランプ大統領は大喜びだ
 そして、日本が攻められる困難な貿易・為替問題は麻生副首相に丸投げした。おそらく首脳会談ではまともな交渉は行われず、この「いいとこどり」の共同記者会見の打ち合わせに終始したに違いない。
 明日からのゴルフ談議でも、難しい話は一切なく、ゴルフに打ち興じて終わるだろう。
 鳴り物入りで行われた今度の日米首脳会談は、この共同記者会見ですべて終わったのだ。やっぱりトランプ大統領は細かい事は何もわかっていない大統領だったのだ。そこを逆手にとった安倍首相の一本勝ちである。どんなに悔しくても、そのことは素直に認めなければいけない。
 
 しかし、そのつけは、日米二国間交渉という形で、これから時間をかけて日本につけまわされてくる。そしてその時は、もはや日本は打つ手がない。
 なぜならば、日米間の交渉は、最後は米国の要求を飲まされて終わる事になるからだ。
 野党は2月14日に予定されている集中審議で今度の日米首脳会談を追及する事になっている。
 しかし、それは不毛に終わるだろう。
 安倍首相は共同記者会見で語った事を繰り返し、日米同盟強化を確認した事を強調するからだ。
 そして日米同盟強化は、共産党と社民党を除けば、反対する政党はないからだ。
 その通りなのだ。野党共闘は日米同盟強化の前にはなす術がないのである。
 
 私が共同記者会見で驚いたのは、安倍首相が今年中のトランプ大統領の訪日を招待し、トランプ大統領がこれに応じたと発表したことだ。
 英国でさえもエリザベス女王に会わせる事に反対の声が高まっているというのに、安倍首相は天皇陛下に会わせると一方的に宣言したのだ。
 日本と日本国民の統合の象徴である天皇をもないがしろにした今度の日米首脳会談だったということだ。
 安倍ひとりさかえて国滅ぶというのはそのことだ。
 
 ここまで安倍首相ひとりに「いいとこどり」をさせていいのだろうか。そうはいかない。
 一つは国際情勢だ。その中でも特に中国との関係だ。今度の首脳会談にタイミングをあわせるように、その直前にトランプ大統領は習近平主席と電話会談した。間違いなく中国に事前通報したのだ。
 日本との間で日米同盟強化に合意するが心配する必要はない。これまでの繰り返しに過ぎない。中国との関係を損なうようなことはしない。そう二枚舌を使っているのだ。
 かくて中国包囲網の為の日米同盟強化は梯子を外され、日本の軍事占領のための日米同盟だけが突出することになる。
 
 もう一つは、入国制限に関するトランプ大統領令の違憲訴訟だ。
 この問題はついに米国連邦最高裁で判断が下されることになった。これから1年以上、トランプ大統領はこの問題にエネルギーを費やし、そして、最終的には連邦最高裁でも大統領令は違憲として退けられるだろう。
 違憲首相と違憲大統領の合意は必ず破綻する。それを追及できるのは新党憲法9条しかない。
 日本を米国の軍事支配から救う事が出来るのは憲法9条しかない。
 それを国民に問いかけたのがあの天皇陛下のお言葉だ。いまこそ新党憲法9条が求められている(了)