2017年1月25日水曜日

役人の天下り天国 続報

 国家公務員の天下りについての続報です。
 
 しんぶん赤旗は、第一次安倍内閣時代に行った2007年の国家公務員法の改正が、名前とは裏腹な『改悪』であって天下りを自由化した(=天下りを原則禁止から原則自由に180度転換した)としました。
 同紙によれば、天下りは昇進コースから外れた官僚が早期退職や退職後に天下りして業界・企業と癒着を深めていくという構造的なもので、安倍政権下で15年度の管理職の再就職件数は約1670件にのぼり、5年間で2・3倍に増加しました
 
 東京新聞は、文部科学省の元高等教育局長(61)が早稲田大教授に天下りした際、OBが早大側の要請で再就職を仲介したように装うための口裏合わせの想定問答を、文科省が作成した事例を報じました。
 
 夕刊フジは、文科省が23日から、法令違反の天下り事例の調査を内の総務課に9人態勢の担当室を作って行う体制を作ったことを報じ、「身内が身内を調べきれるのかとしました
 
 内閣府の監視委員会が今回、OBによる天下り斡旋は明確には禁じられていないものの、「規制の抜け道にしており、法の趣旨に反する」と判断したのは余りにも当然のことですが、何故今になってなのか、そして全省庁にそれが及んでいるのに何故文科省に留まっているのか、逆に不信の念を抱かせます。
 
 日刊ゲンダイは、今回責任を取った文科省の事務次官は依願退職の形で、推定8000万円の退職金(月給は141万円)になると報じ、一般国民とはかけ離れた世界だました。
 また、問題の発端となった早稲田大への天下りは、大学が文科省の各種事業の補助金・交付金をもらうためのパイプ役を務めるものであるとしました
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「天下り天国」安倍政権推進 07年 禁止から自由化
共産党は禁止を主張
しんぶん赤旗 2017年1月24日
 文部科学省が、事務次官を先頭に組織ぐるみで違法な「天下り」(再就職)あっせんを行っていた事件で、真相の徹底究明とともに、政治をゆがめる「天下り」の根絶が政治の重要問題になっています。安倍晋三首相が第1次安倍政権時代に行った「天下りの自由化」(2007年の国家公務員法改悪。08年12月施行)が厳しく問われています。(深山直人)
 
公然あっせんの仕組み
 07年の法改定まで、退職後2年間は利害関係先への天下りは禁止されていました。それでも、さまざまな手法で天下りが行われ、政治をゆがめる癒着の根絶が求められていました。
 ところが、安倍首相は、天下りを禁止すれば「官民の人材の闊達(かったつ)な交流を損なう」といって禁止条項を削除し、天下りを原則禁止から原則自由に百八十度逆転させました。
 その代わりに、「押し付け的な天下りをなくす」(渡辺喜美行革担当相=当時)といって、(1) 現職職員による再就職あっせん (2) 在職中の利害関係先に対する求職活動 (3) 再就職した元職員による出身省庁への働きかけ―を禁止しました。
 しかし、規制対象は現職職員だけで、退職職員(OB)が知り合いの現職職員を紹介することや、職員が退職後に企業に再就職の働きかけを行うことは禁じられませんでした。
 しかも、独立行政法人などに「現役出向」する場合や、内閣につくる「官民人材交流センター」が紹介を行う場合などは禁止の対象外とされ、公然と天下りのあっせんや働きかけを行う仕組みまでつくられたのです。
 
 今回のあっせんについて文科省は、職員の天下り先となる早稲田大学に「正規の採用手続きが退職後に始まったのであれば問題ない」などといって、抜け穴だらけの現行規定すらないがしろにしている実態が浮かび上がりました。
 法改定のとき日本共産党は「天下り自由化法」だとして反対し、天下りの禁止を求めました。天下りそのものを禁止せず、現職職員によるあっせんなど一部の行為だけを規制するにとどめた現行法がまったくザル法だったことを示しています。
 
規制逃れ「OBルート」
 今回の事件では、文科省人事課による「現職ルート」と、人事課OBを介した「OBルート」の二つが存在していました。
 「OBルート」は、法の網をかいくぐるためにつくられました。再就職等監視委員会の調査によると、大学や企業からの求人情報が人事課に伝えられ、人事課が仲介役OBに求人情報と退職予定者の個人情報を提供。仲介役OBが、求人先と求職者をつなぎ合わせる「マッチング」を行っていました。
 
 しかし、こうした手法は、文科省が初めてではありません。
 「現職ルート」については日本共産党の塩川鉄也衆院議員が2011年10月、国土交通省OBの「天下り」について、元事務次官が審議官時代にあっせんに関与していたと追及。再就職等監視委員会は13年、国家公務員法違反と認定しました。
 2014年4月には日本共産党の赤嶺政賢衆院議員が、内部告発をもとに国土交通省でOBが仲介役となって天下りをあっせんしていると追及。菅義偉官房長官は「具体的事例があれば調べるのは当然」と答弁していました。
 しかし、政府は日本共産党の追及を受けても抜本的な対策を取らず、今回の事件発覚に至ったのです。
 
背景には政官業の癒着
 天下りの背景には、財界・大企業の要求に応える自民党政治とそれを支える政官業の癒着があります。
 官僚の世界では、事務次官を頂点に、昇進コースから外れた官僚が早期退職や退職後に天下りして業界・企業と癒着を深めていく構造になっています。
 安倍政権のもとで、15年度の管理職の再就職件数は約1670件にのぼり、5年間で2・3倍に増加。「天下り天国」といわれています。
 現在の公務員制度は、戦前の公務員が「天皇の官吏」と位置づけられていたことへの反省から、「全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」(憲法第15条)と規定されています。しかし、歴代自民党政権のもとで、「キャリア」と呼ばれる特権官僚層が復活し、政権政党と癒着構造を形成してきました。
 
 日本共産党は、天下りを禁止し、特権官僚層を生みだす「キャリアシステム」にメスを入れ、公務員が定年まで能力を生かして働ける仕組みをつくるなど、公務員が「全体の奉仕者」として、公正中立で効率的な行政を第一とする民主的な公務員制度への改革を求めています。
 
 
文科省、天下りで虚偽の想定問答 早大の依頼とOB仲介装う
東京新聞 2017年1月24日
 文部科学省の吉田大輔元高等教育局長(61)が早稲田大教授に天下りした際、人事課のあっせんや在職中の求職活動といった違法行為があったことを隠すため、文科省が作成した口裏合わせの想定問答が24日、明らかになった。吉田元局長用、架空の仲介役の省OB用、早大用の3種類を用意。OB関与の事実はないのに、元局長の退職後、OBが早大側の要請で再就職を仲介したように偽っていた。文科省が民進党文科部門会議で開示した。
 
 内閣府の再就職等監視委員会の調査によると、問答は人事課職員が2016年7月に作成。文科省が元局長や早大への調査に備え、隠蔽工作を進めたことがうかがえる。(共同)
 
 
文科省天下り、OBルート複数存在か
再就職組200人と現役職員2000人対象に調査着手 
夕刊フジ 2017年1月24日
 元高等教育局長が早稲田大教授に再就職するなど違法な天下りが続々と判明した文部科学省。事務方トップの事務次官ら7人が懲戒処分されたが、不正はこの程度で済みそうにない。同省では23日から、国家公務員法の再就職規制に反する事例の調査に入り、複数あるとみられる省OBによる仲介ルートの洗い出しや、天下りに伴う利益供与がなかったかを調べる。だが、身内が身内を調べきれるのか。外部の視線は厳しい。
 
 調査は、天下り規制が厳しくなった2009年以降に大学などへ再就職したOB約200人と、約2000人の現役職員が対象になる見込み。内閣府の再就職等監視委員会の指示を受け、文科省は総務課に9人態勢の担当室を設置した。
 文科省と大学などの間で人材あっせんの調整役を務めるOBについて、監視委は20日の調査報告で、人事課OBの男性(67)の存在を明らかにした。ただ男性は「私が全部掌握しているわけではない」と話しており、文科省に統合された旧科学技術庁系の職員をあっせんする別のルートなどが存在することも考えられるという。
 国家公務員法は、補助金配分や許認可で強い権限を持つ中央省庁が、利害関係のある企業などに直接人材を送り込むことを禁じている。OBによる仲介は明確には禁じられていないが、監視委は今回、「規制の抜け道にしており、法の趣旨に反する」と判断した。
 早大教授に再就職し、辞職した元局長(61)は、文科省在職中に人事課の協力で求職活動をしていた。
 
 天下りを受け入れた大学に文科省が補助金配分などで有利な扱いをしたり、あっせんの調整役に大学などが謝礼を渡したりといった利益供与が判明しようものなら、事態は事件という別のステージに移ることになる。
 
 
天下りあっせんで引責辞任 前川次官の退職金は8000万円
日刊ゲンダイ 2017年1月23日
 文部科学省の組織的な天下りあっせんに関与したとして、事務次官の前川喜平氏が先週「辞任」した。依願退職の形だという。天下りにメスが入ったのは結構だが、実は次官の退職金は8000万円だった。
 官僚の退職金の計算式は、最後の月給に勤続年数を掛け、さらに長期勤続の割り増し乗数(10年以上の勤続でおおむね14~15)を掛ける。次官の月給は人事院によれば141万円で、前川氏は79年旧文部省入省の勤続約38年。退職金は割り増しがついて7500万円以上、8000万円弱とみられる。
 
 内閣人事局は14年の国家公務員退職者への「退職手当の支給状況」を公表している。それによれば、常勤職員の退職金は2000万円以上2500万円未満が最も多いが、7500万円以上8000万円未満の者が3人いた。これが次官級の退職金とみられる。6000万円台は76人、5000万円台が103人。一般国民とはかけ離れた世界だ。
 
 東大を出て難しい公務員試験に受かり、日本の教育行政を担ってきたエリートなのだから、それくらいもらっても当然という意見もあろう。だが、前川氏が行ってきたことは違法行為である。
 この問題の発端となった早稲田大への天下り。同大のホームページにある吉田大輔教授(文科省高等教育局長からの天下り、先週大学を辞職)の職務には堂々と、「文部科学省等の各種事業関係に関する連絡調整等への関与」とあった。噛み砕いて言うと、天下り教授の仕事は、文科省の各種事業の補助金・交付金をもらうためのパイプ役だ。
 文科官僚は国民の税金で私腹を肥やしているのである。これはれっきとした賄賂罪(収賄罪)。安倍内閣は横領次官を懲戒免職にすべきである。その上で検察は、この次官を収賄もしくは横領の罪で逮捕するべきだ。(ジャーナリスト・若林亜紀)