2017年1月22日日曜日

22- 首脳の中で安倍首相だけが 無条件でトランプにすり寄る

 トランプ氏が次期大統領に当選した直後に、異例と言われる私的会談を行った安倍首相は、大統領就任直後にも真っ先に首脳会談を行いたいと外務省に強要したようですが、それは勿論実現しませんでした。今は2月の上旬でセッティングするように外務省をせっついているようですが、相手から見れば別に重要な相手ではないのでどうなることでしょうか。
 
 元外交官の天木直人氏によれば、世界の首脳たちはいまトランプ大統領がこれからどう動きだすのかを注視し、彼が打ち出す政策を見極めようとしている段階で、米国との関係は勿論重視するものの、もしも彼が自国の国益に反する政策を取ってくれば、国益を守るために(外交的に)うという当然の対応を考えているということです
 
 ところがそのような世界の大勢の中で、安倍首相ただひとり、無条件でトランプ大統領の米国と軍事同盟を強化していくと世界に公言し米国に追従する姿勢を明らかにするという、実に拙劣な道を歩もうとしています。まことに情けない話です。
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世界の首脳の中で唯一人無条件でトランプにすり寄る安倍首相
天木直人 2017年1月21日
 きのうの夜、日刊ゲンダイの記者が聞いてきた。トランプの米国はどうなりますかと。
 たまたま私はその日(1月20日)の読売新聞が掲載していたマハティール元マレーシア首相のインタビュー記事を賛意を持って読んでいたので、その中の次の言葉を紹介した。
 「トランプ氏が何をするか。トランプ政権の真価の見極めは100日間では足りない。2年はかかると私は思う」
 そしてこう答えた。
 誰も分からない。だから何でも言える。しかしそんな予測をするよりも明日からのトランプの政策を見極めていく事だ。それが評価だ。
 
 マレーシアのマハティール首相は、私が外交官人生の中で接した首脳の中では傑出した政治家の一人だ。90歳を超えてなおトランプ大統領に対する的確な評価を下す、その器量はさすがだと思った。
 まさしくトランプ大統領の政策は誰にも分からない。おそらく本人も分からないに違いない。どうとでも変化していく可能性があるのだ。トランプ大統領の政策は、世界各国の動きと連動して、良くも悪くもなるのだ。
 だからこそ、各国の首脳はみな口を揃えていう。トランプの出方を見極めると。そしてその後で必ずこういう。
 米国第一主義のトランプ大統領の政策が我々の国益と反しない事を願うと。そのようなトランプ大統領との米国と良好な関係が出来るようにしたいと。
 
 これは、言い換えれば、米国との関係は重視する。しかしトランプ大統領の米国が自国の国益に反する政策を取ってくれば、自国の国益を守るために戦う、ということだ。
 しかし、そんな事になればお互いが損をする。そんな馬鹿な真似をトランプの米国がしないように外交努力をしていきたいということだ。あたりまえのことである。
 そして、この事を、最もはっきり、繰り返して言っているのが、中国の習近平主席である。
 そして、中国のように、米国の軍事覇権に挑戦できるようになった大国でなくても、どの国もトランプ大統領の米国に向かい合う立場は同じであるに違いない。
 そして、これこそがまさしく正しいトランプ大統領の米国に対する対応策なのである。
 
 ところが、そのような世界の大勢の中で、ただひとり、無条件で、トランプ大統領の米国と軍事同盟を強化していくと、世界に公言してる首脳がいる。それが日本の安倍首相だ。
 トランプ大統領はその就任演説でこう言った。
 古い同盟国との関係を強化するとともに、新しい同盟国をつくっていくと。
 この言葉の意味するところは、米国の外交関係の再構築である。古い同盟国との関係は当然視し、あらたな同盟国との関係構築に力を入れるということだ。
 
 対米従属があたりまえの日本は、何を言っても従うから、ますますトランプ大統領の眼中から消えていくだろう。これが、戦後レジームから決別し、強く美しい日本を取り戻すと公言している安倍首相の成れの果てである。
 日本を取り戻す絶好のチャンスだと言うのに、自らそれを放棄している。トランプ時代には最弱、最悪の首相であるということだ。
 安倍首相の外交が習近平の外交の足もとにも及ばない理由がここにある(了)