2016年12月24日土曜日

生前退位 有識者会議は首相の私的諮問機関に過ぎない

 安倍政権は1月に、有識者会議に「特例法で天皇の生前退位を一代限りで認める」という方針案を出させて決着をつけようとしています。
 しかし、そもそも有識者会議なるものは首相の私的諮問機関に過ぎず、そのメンバーも安倍政権が選んだものなので、何の法的権限もないものです。そんないい加減なもので天皇が提起された重大な問題を片づけてしまっていい筈がありません。
 
 故・三笠宮さまが戦後間もない頃につづった意見書の、「皇位継承」の章で、
「『死』以外に譲位の道を開かないことは新憲法第18条の『何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない』といふ精神に反しはしないか?」との疑問を投げかけて、天皇が皇室会議に譲位を発議できるようにすることを提案されました。そして、その自由を認めないならば、「天皇は全く鉄鎖につながれた内閣の奴隷と化する」と厳しく批判されました。
 
 いまようやくそうした重大問題の解決に取り組んでいるというのに、一代限りの特例にするなどと限定して済ませるのは大変な間違いです。もしも人権尊重の観念が欠落しているのであればそもそも政治家になるべきではありません。
 生前退位については国民の90%が賛成しています。それを日本会議系の偏向し切った考え方のもとでねじ曲げてしまうことは許されません。
 
 山崎雅弘氏のツイッターを紹介します。
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人事操作で形式を支配し、私製の「第三者機関」や「有識者会議」で権力行使の実体を国民の目から隠す 
山崎 雅弘氏ツイッター 2016年12月23日
今上天皇「8月には、天皇としての自らの歩みを振り返り、この先の在り方、務めについて、ここ数年考えてきたことを内閣とも相談しながら表明しました。多くの人々が耳を傾け、各々の立場で親身に考えてくれていることに、深く感謝しています」宮内庁 https://t.co/CTFTqSy4jf 
 
山尾しおり「皇位継承について善き公論を」(民進党) https://t.co/PnferG8NGr  
「象徴天皇の永続性を大切に考えるならば、『今回に限りとりあえず退位を認める』という特例法はあまりに無責任であり、どの天皇にも適用される皇室典範の改正という本丸に正面から取り組むことが是非とも必要」
「今回特例法で対応すれば、時の天皇陛下の地位が、法律成否の手綱を握る時の政権の意向に左右される前例を作ることになります。天皇の地位が時々の政権の影響下におかれてよいとは思えません。したがって、時々の政権の影響を極力排除するため、皇室典範を改正して、恒久的一般的な要件手続きを定めるべきです」
 「一部のメディアからは『政争の具にするな』と、安倍総理と同じようなセリフが聞こえてきます。しかし、国家の根幹に関わる重要な問いかけがなされているにも関わらず、政権与党が抜け道を探っているようにしか見えない今、民意と陛下の思いに寄り添った王道の見解を出すのは野党第一党の使命です」
 「政争の具批判をおそれて、その使命を放棄し、政権与党と異なる見解を出すことを控えるなら、野党は不要ということになります。私は、野党議員としての使命を果たしたい」
 民進党は、早くこの人(@ShioriYamao)=山尾志桜里を党の代表にすべきだろう。
 
 民進党は、天皇の譲位(生前退位)問題について、国会の議論と並行して、国会の外でも意見交換の機会をどんどんセッティングして、シンポジウムやパネルディスカッションを行うのが良いと思う。
 本来、最終的に決める権限を持つのは主権者である国民なのだから、憲法の規定に従ってそのプロセスを粛々と進めるのが、野党第一党として今果たすべき役割だろう。
 
 「有識者会議と称する何か」が何を言おうと、関係ない。
 官製の「有識者会議と称する何か」を主権者である国民よりも上位に置く規定は、憲法にも皇室典範にも存在しない。
 国民側は、無視して全然差し支えない。
 
 政府は安倍晋三首相の私的諮問機関として有識者会議を設置(毎日)
「有識者会議と称する何か」の正体は「安倍晋三首相の私的諮問機関」に過ぎず、何の法的権限も有していない。
もっともらしい外見と体裁に幻惑されて国民が従う必要など、どこにもない。
 
 菅官房長官は「議論の最中で予断を持つことなく、静かな環境で議論を進めてもらいたい」と建前を述べるが、実際には官邸は有識者会議の議論が始まる前から「一代限りの特別法」が「政府の既定方針」であるかのようにメディアに定期的に流して報道させ、議論を誘導する流れを作ってきた。やり方が汚い。
 
言い換えれば、「安倍晋三首相の私的諮問機関」として用意された「有識者会議と称する何か」は、首相官邸が既に決めている「一代限りの特別法」を、官邸だけで一方的に決めたと思わせないようにするためのアリバイ作りの人形劇にすぎない。
 責任の所在を拡散し、本当の責任者が誰なのかを隠してしまう。
 
 生前退位は特措法でも可能 政府答弁書(産経、10月8日) https://t.co/AjCqbDg2xR 
「有識者会議と称する何か」がまだろくに議論もしないうちから、こんな抜け道の憲法解釈が「閣議決定」されていた。
これの何が「予断を持つことなく」なのか。
 危険な法解釈の前例が作られる。
 
 >香坂京夢 天皇の人権問題を解決するには 天皇制廃止以外に方法がないと 私は考えているから。
 
 誰かが天皇制を廃止してくれるまで、今の天皇が人権や人道面でひどい目に遭っても無視・傍観する、ということでしょうか? 
 私にとって、天皇は天皇である以前に、一人の生身の人間です。
 天皇を制度の一部としか見ない考え方は、日本会議と同じでは?
 
 国民の過半数が「恒久的制度」を望み、天皇も「恒久的制度」を望むという状況の中では、いくら国会の議席数では優勢でも、「一代限り」という政治的方便で片付けようとする安倍晋三政権とそれに従う有識者会議は明らかに「少数派」であり、なおかつ「国民」と「天皇」両方の意思に逆らう存在でもある。
 
 天皇の譲位(生前退位)問題は、安倍政権が「国民」と「天皇」両方の意思を平然と無視して、自分と取り巻きの利害だけで意思決定を下す、独裁的な政治権力者である現実を明瞭に浮かび上がらせる。
 人事操作で形式を支配し、私製の「第三者機関」や「有識者会議」で権力行使の実体を国民の目から隠す。
 
 岩上安身「天皇陛下の『生前退位』の意思に反発する日本会議メンバーは何様なのか 『天皇の退位を突っぱねるのは冷酷な専制君主だけだ』、英紙『ガーディアン』の記事を一挙仮訳」(IWJ) https://t.co/NBvM7GLJR2