2016年12月23日金曜日

23- 安倍政権は天皇誕生日のお言葉にも干渉

 天皇誕生日放映される恒例の天皇の記者会見では、「生前退位」の問題に関してほんの少ししか触れられ、踏み込んだ発言をされないということです

 安倍政権は「生前退位などを検討する有識者会議ヒアリング対象メンバーに自分の人脈や日本会議系の極右学者たちを配置して、天皇が望まれる生前退位の恒久的制度化を否定する仕組みを作っています。

 そのことに天皇が不満を抱かれるのは当然なのですが、会見でのお言葉では、今年一年を振り返るなかで、自分が思いを述べたことについては触れものの、生前退位を巡る議論の方向性については言及せず、一言、検討に感謝の意を表するだけということです。
 
 もともと天皇誕生日会見は宮内記者会があらかじめ複数の質問事項を宮内庁側に提出し、調整したうえでそれに応答するかたちなっています。当然「生前退位問題については質問が出された筈なので、宮内庁側によって封じ込められたものと思われます。
 この背後には、今年9に突然宮内庁の風岡典之長官が退任させられ、山本信一郎次長が長官に昇格し、次長内閣危機管理監の西村泰彦氏(警視総監)を送り込むという安倍内閣による周到な宮内庁人事がありました。
 
 7NHKを通じて天皇が「生前退位意向を国民に語られましたが、官邸はこのことを知らされていなかったとして激怒したと言われています。この出来事も もとはと言えば天皇のご意向を安倍政権が長い間無視し続けてきたことに起因しています。しかし官邸はこのことに宮内庁の風岡長官が関与していたとみて、報復する人事を行うとともに、宮内庁次長の要職に安倍首相と つうつう の人間を据えました。そうなれば天皇の処遇は政権の思いのままです。
 
 昨年7月に、それまで歴代の内閣が踏襲してきた「集団的自衛権の発動は違憲」とする考え方を踏みにじって、「集団的時自衛権を行使できる」とする閣議決定を行ったときにも、安倍首相は予め内閣法制局長官の首をすげ変えていました。
 宮内庁にしても内閣法制局にしても、それぞれ独立性が保障される必要性がありますが、安倍首相にはそうした感覚は一切ありません。いまや何でもありの異常な政治が行われているわけです。
 
 日本国憲法 第18条には「何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、・・・・・ 、その意に反する苦役に服させられない」と謳われています。
 苦役を強制する権利は誰にもありません。まして大部分の日本人が認めない特殊な皇室観を持つ一部の人たちによって、実質的にそのことが行われることは絶対に許されません。
 
 LITERAの記事を紹介します。
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天皇が明日の誕生日会見で「生前退位」に殆ど触れられず、の情報! 
安倍官邸の封じ込めで記者の質問もなく…
LITERA 2016年12月22 日
 衝撃的な情報が飛び込んできた。
 明日の天皇誕生日には、天皇の会見の模様が新聞、テレビで一斉に報道されるが、周知のように会見そのものはすでに20日、宮中で行われている。ところが、天皇はその席で「生前退位」の問題に関してほんの少ししか触れず、踏み込んだ発言をしなかった、というのだ。
 
 本サイトでもお伝えしてきたように、安倍首相は天皇の生前退位などを検討する有識者会議委員やヒアリングメンバーに自分の人脈や日本会議系の極右学者たちを配置。天皇が望む退位の恒久的制度化を否定する流れをつくり出し「一代限りの特別法」で対処する方針を打ち出した。そのことに、天皇が不満を抱いていることがこれまで様々に報じられており、今回の誕生日会見では天皇が、生前退位問題をめぐる安倍政権の姿勢に対して踏み込んだ発言まで行うのではないかとの観測も流れていた。
 ところが、20日に行われた会見で天皇は、今年一年を振り返るなかで、自分が思いを述べたことについては触れたものの、政府や有識者会議の議論の方向性については言及せず、一言、検討に感謝の意を表しただけだったという。これは一体どういうことなのか。
 
 そもそも、天皇の誕生日会見は例年、宮内記者会(記者クラブ)があらかじめ複数の具体的な質問事項を宮内庁側に提出し、調整したうえで、天皇がそれに応答するかたちとなっている。当然、今年は生前退位問題について、質問を出す動きがあったはずなのだが……。
「記者会から陛下への質問は事前に宮内庁総務課がチェックします。記者側には当初、生前退位問題を具体的に聞こうという動きもあったようですが、宮内庁側に差し戻されて、記者会の質問が今年を振り返る抽象的なかたちでひとつにまとめられてしまったと聞いています。ようするに、『生前退位』への個別具体的な質問を封じ込められてしまったんでしょう」(宮内庁関係者)
 
 こうした“生前退位発言封じ込め”の背後に、今年9月の宮内庁人事の影響があることは想像に難くない。
 宮内庁は9月23日、風岡典之長官が同月26日付で退任し、山本信一郎次長が長官に昇格する人事を発表した。宮内庁長官は通常、70歳の節目に交代して次長が昇格するが、ポイントは報道関係などの鍵を握る次長の後任人事だ。官邸は、その事実上のキーマンに、内閣危機管理監の西村泰彦氏(第90代警視総監)を送り込んだのである。警察官僚が宮内庁次長に就任するのは実に22年ぶりで、官邸の危機管理監から直に宮内庁入りするのは異例中の異例だった。
 官邸は、7月の「生前退位の意向」というNHKによるスクープは、宮内庁幹部によるリークによるものだとして激怒。風岡長官の退任はその “報復人事” だと目されているが、それ以上に西村元危機管理監の次長抜擢がもつ意味は大きい。
 
 もともと西村氏を官邸に引き込んだのは、“官邸の情報将校”の異名をもつ杉田和博内閣官房副長官(元内閣危機管理監)だと言われるが、西村氏は以前、警視庁の広報課長も務めており、マスコミにも太いパイプをもっている。つまり、官邸は宮内庁内の締め付けを強化するとともに、メディアコントロールに長けた警察官僚を宮内庁のナンバー2に送り込んだというわけだ。むしろこの人事は、今回の “生前退位発言封じ込め” のために行われたのだと言っても過言ではないだろう。
 
 他にも、官邸はこの間、さまざまなチャンネルで天皇側にプレッシャーを与え続けてきた。
 たとえば、安倍首相がヒアリング対象者にねじこんだ平川祐弘東大名誉教授は、11月、記者団に対して「ご自分で定義された天皇の役割、拡大された役割を絶対的条件にして、それを果たせないから退位したいというのは、ちょっとおかしいのではないか」とまで発言。これは、明らかに官邸から天皇側に対する強い牽制のメッセージだった。
 
 さらに、11月末には、天皇の学友である明石元紹氏が、7月に天皇から直接電話を受け、「生前退位」について「これは僕のときだけの問題ではなく、将来を含めて可能な制度にしてほしい」と伝えられていたことが明らかになったが、これに対しても、官邸は一斉に批判コメントを発した。
 たとえば「週刊新潮」(新潮社)12月22日号によれば、萩生田光一内閣官房副長官は「いきなりあんなことを言ってくるとは思わなかった」となじり、菅義偉官房長官は、「結局、自分が陛下と親しいってことを言いたいだけ」と公然と批判した。
「他にも、官邸は天皇周辺に『これ以上、踏み込んだ発言をしたら憲法違反になる』というメッセージを送っていました。記者たちにもオフレコでそのような解説をする官邸関係者もいましたしね」(官邸関係者)
 
 天皇が誕生日会見で「生前退位」に関してほとんど踏み込まなかったのならば、官邸のこうした“封じ込め作戦”が奏功したということだろう。会見の詳細については、情報解禁される明日、マスコミ各社が一斉に報じるまで定かではないが、いずれにせよ、天皇は外堀を埋められ身動きがとれなくなりつつあるようだ。(編集部)