2016年12月13日火曜日

13- 南スーダン 駆け付け警護は危険すぎる

 南スーダンのPKOに派遣された陸上自衛隊11次隊に付与された、安全保障関連法に基づく「駆け付け警護」と「宿営地共同防護の新任務実施が12日から可能になりました
 襲撃に遭った国連職員などから要請を受けると部隊は軽微な火力を携行し駆け付けて救出しますが、現地の武装勢力は携帯式ロケット砲などの優勢な武器を持っているので、自衛隊は丸腰同然だということです
 
 憲法を曲げて無理に「駆け付け警護」などを行えるようにすれば、そのしわ寄せを受けて命の危険に晒されるのは自衛隊員です。自衛のための満足な武器を所有しないままで、自衛隊員を危険な任務につけることの不当性は早くから指摘されていました(⇒派遣すべきではないということ)。それが新任務の付与によって否応なく現実の問題になりました。
 
 政府は、隊員の1日当たりの派遣手当て1万6000円に加えて、「駆け付け警護」の任務を行った場合には8000円の手当を加算し、死亡時や重症時の弔慰金や見舞い金の限度額について、これまでの6000万円から9000万円に引き上げました。しかし勿論金で済まされる問題ではありません。
 もしも戦闘で自衛隊員が死亡したら、ことは稲田朋美防衛相の首一つでは済まされない、と日刊ゲンダイは述べています
 
 日刊ゲンダイとNHKの記事を紹介します。
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現地は戦闘激化も…南スーダン駆け付け警護が実施可能に
日刊ゲンダイ 2016年12月12日
 武装勢力を相手にほとんど丸腰の上、手足を縛られてどう戦えというのか──。
 
 南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣された陸上自衛隊は、第10次隊から11次隊に指揮権が移り、安全保障関連法に基づく「駆け付け警護」の新任務実施が12日、可能になった。
 
 駆け付け警護は、襲撃に遭った国連職員やNGO関係者から要請を受けて、自動小銃を携行した警備隊員らで編成する約60人の部隊が駆け付け、救出する任務。正当防衛だけでなく、任務を妨害する暴徒排除などのために銃による威嚇や警告射撃ができる。宿営地を他国軍と連携して守る共同防護も可能になった。
 
 だが、現地の反政府勢力は携帯式ロケット砲など陸自警備部隊の火力を上回る武器を持っているから、丸腰も同然だ。実際に、派遣部隊の宿営地がある首都ジュバでは7月、政府軍と反政府勢力が衝突。PKOの中国軍車両がロケット弾の攻撃を受け、中国兵2人が死亡した。
 
 しかも、現地は移動が容易な乾期に入り、政府軍と反政府勢力の戦闘激化が懸念されており、複数の地域でレイプや焼き打ちによる民族浄化が進行するなど治安悪化が指摘されている。
 
 政府の南スーダンPKO実施計画には、安全を確保して有意義な活動を実施することが困難な場合は「部隊を撤収する」とあるが、戦闘で自衛隊員が死亡したら、事は稲田朋美防衛相の首一つでは済まない
 
 
駆け付け警護の任務 1日8000円の手当を加算
NHK NEWS WEB 2016年12月6日
政府は6日の閣議で、国連のPKO=平和維持活動にあたるため、南スーダンに派遣されている自衛隊員が、安全保障関連法に基づいて、「駆け付け警護」の任務を実施した場合、1日当たり8000円の手当を加算することを決めました。
 
政府は国連のPKOにあたるため、先月から順次、南スーダンに派遣している自衛隊の部隊に対し、安全保障関連法に基づいて、国連の関係者らが襲われた場合に救援に向かう「駆け付け警護」などの新たな任務を付与し、今月12日から活動が開始されます。
南スーダンで活動している自衛隊員には現在、1日当たり1万6000円の手当が支給されていますが、政府は6日の閣議で、「駆け付け警護」の任務を実施した場合、8000円の手当を加算することを決めました。
また、防衛省は「駆け付け警護」を実施して、隊員が死亡したり、重度の障害を負ったりした場合に支払われる弔慰金や見舞い金の限度額について、これまでの6000万円から9000万円に引き上げることも決めました。
稲田防衛大臣は閣議のあとの記者会見で、「過去に自衛隊が派遣された地域と比べて危険かどうかという観点ではなく、南スーダンの勤務環境や任務の特質性を総合的に勘案して決めた。自衛隊の任務には、すべてリスクが伴い、リスクの増減という観点で行ったものではない」と述べました。