2016年11月29日火曜日

29- 南スーダン「反政府派支配地域」明記 「PKO5原則」は崩壊

  これまで政府は南スーダンの情勢について、「反政府勢力のリーダーであるマシャール前副大統領は海外におり系統だった反政府勢力は存在せず、彼らが支配している地域もないのでPKO参加5原則は維持されている」と説明してきました。
 
 しかし陸上幕僚監部作成の「南スーダンPKO10次派遣要員家族説明会資料」(2月1日時点)では、南スーダンに「反政府派支配地域」が存在することが明記され、その境界に「戦闘発生箇所」があることも示されていました。それが今月派遣された11次派遣要員の「家族説明資料」(8月1日時点)は「支配地域」がなくなり、「反政府派の活動が活発な地域」に差し替えられていました。
 
 共産党の井上哲士議員は22日の参院外務防衛委員会でその事実を示し、国連事務総長報告でも2月よりも8月の方が現地より緊迫の度を加えていることは明らかだとして、稲田防衛相に説明資料のゴマカシを糺すとともに、PKO5原則がもはや成り立っていないと主張しました。
 
 南スーダンPKO派遣では、政府はウソにウソを重ねてことを進めています。それも「駆け付け警護」という危険な新任務を付与された部隊の派遣に当たってのゴマカシですから、ことは重大です。
 
 しんぶん赤旗の「主張」と関連の記事を紹介します。
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主張南スーダン新資料 派兵ありきのごまかし許せぬ
しんぶん赤旗 2016年11月28日
 陸上自衛隊が南スーダンPKO(国連平和維持活動)への派兵について作成した資料の中に、反政府勢力の「支配地域」を示した地図があることが判明しました。自衛隊の「PKO参加5原則」には「紛争当事者」間の停戦合意がありますが、南スーダンでは7月以降、政府軍と反政府勢力の内戦が激化しています。しかし、日本政府は、反政府勢力に「支配地域」がないことなどを理由に「紛争当事者」と認めず、「参加5原則」は満たされていると説明しています。陸自作成の資料は、政府が自衛隊派兵ありきでいかにでたらめな説明をしているかを示すものです。
 
「支配地域」の存在隠す
 陸自の資料は、日本共産党の井上哲士参院議員の要求に防衛省が提出しました。南スーダンPKOへの第10次隊の派兵(5月~)を前に隊員の家族向け説明会で使用されました。資料の中には、「政府派・反政府派の支配地域」と題する南スーダンの地図(2月1日時点)があり、「反政府派支配地域」を赤い線で囲み、「戦闘発生箇所」も示されています。
 
 政府は、今月20日から南スーダンへの派兵を始めた第11次隊に戦争法(安保法制)に基づく「駆け付け警護」などの新任務付与を閣議決定した際、反政府勢力のマシャール前副大統領派は「紛争当事者」には当たらないとしました。理由として「同派により『支配が確立されるに至った領域』があるとは言えない」(「新任務付与に関する基本的な考え方」)とし、「支配地域」がないことを挙げました。
 
 さらに、第11次隊の派兵を前にした家族向け説明会資料(防衛省が井上議員に提出)でも、第10次隊の派兵の際と同様の地図(8月1日時点)が掲載されましたが、「府派・反政府派の支配地域」という表題や、赤い線で囲んだ「反政府派支配地域」の部分は「反政府派の活動が活発な地域」に、「戦闘発生箇所」も「衝突発生箇所」に書き換えられました
 
 南スーダンでは、7月にキール大統領派(政府軍)とマシャール前副大統領派との大規模な戦闘が発生し、国連の報告書でも昨年8月の両派の「停戦合意」の「崩壊」が繰り返し指摘されています。マシャール派を「紛争当事者」と認めれば「PKO参加5原則」は成り立たなくなってしまいます。
 
 内戦激化の中でも、「PKO参加5原則」は崩れていないと強弁して第11次隊を派兵し、加えて「駆け付け警護」などの危険な任務を付与するため、マシャール派には「支配地域」がないかのように資料を改ざんした疑いが濃厚です。「不正確な記述」のため「修正した」(稲田朋美防衛相)などと後になってごまかして済む問題ではありません。
 
自衛隊の撤退は急務
 南スーダン情勢に関する最新の国連専門家委員会報告書(15日付)は「さらに一層、悲惨な暴力が激化する可能性が高い」と明記しています。加えて報告書は、政府軍の最高幹部らが国連を敵対視し、PKOや人道支援活動に対し執拗(しつよう)な妨害を繰り返していると指摘しています。
 
 「駆け付け警護」の新任務を付与された自衛隊部隊が、政府軍と交戦する事態も起こりかねません。政府軍との戦闘は、憲法9条が禁止する海外での武力行使そのものです。自衛隊の撤退は急務です。
 
 
「反政府派支配地域」を明記 南スーダン「PKO5原則」崩壊
井上議員 陸幕資料示し追及
しんぶん赤旗 2016年11月23日
参院外交防衛委
 日本共産党の井上哲士議員は、22日の参院外務防衛委員会で、南スーダンへの自衛隊派兵問題を取り上げ、南スーダンPKO第10次要員(5月派遣)の家族への説明で、政府がすでにPKO参加5原則が崩れていると認識していたのではないかとただしました。
 
 井上氏が示した陸上幕僚監部作成の「南スーダンPKO第10次派遣要員家族説明会資料」(2月1日時点)では、南スーダン北部に「反政府派支配地域」が存在することが明記され、支配地域との境界に「戦闘発生箇所」があることも示していました。一方、今月派遣された第11次派遣要員の「家族説明資料」(8月1日時点)は、「支配地域」がなくなり「反政府派の活動が活発な地域」に差し替えられていました。
 
 井上氏は、「政府はこれまで、反政府側の支配地域があるかどうかはPKO参加5原則が維持されているかどうかの基本的な指標だと答弁してきた」と指摘。「それなのに、反政府側の支配地域があると家族に説明しながら、第10次要員を派遣した。つまり、参加5原則が崩れていると認識しながら、それを承知で派遣したということだ」と迫りました。
 
 稲田朋美防衛相は、「第10次要員が派遣される場合においても、紛争当事者が現れ出たとは認識していない」と言い訳に終始。井上氏は国連事務総長報告を読み上げ、「2月より8月の方がさらに治安は悪化しているのに改善したかのように家族に説明し、派遣を継続することは許せない」と批判。「PKO参加5原則が破たんしていることは明らかだ」と強調し、南スーダンからの自衛隊のすみやかな撤退を求めました。