2016年11月3日木曜日

03- 現行の経済指数は実態を反映している

 総務省が発表した9月の消費者物価指数は7カ月連続のマイナスとなり、実質消費支出前年同月比マイナス2.1%で、こちらも7カ月連続のマイナスでした今年に入ってプラスになったのは2月の1回だけであり、2015年もプラスは2回しかなく、消費はずっとマイナスのままで推移しています
 こういう中で1日に開かれた日銀の金融政策決定会合で、黒田総裁の任期中で2%の物価上昇目標達成事実上断念しました。
 デフレ状態のなかでは消費税アップはできないということから、デフレ脱却のメドの一つの指数として物価の2%上昇がいわれたものであり、国民の所得が増えないなかで異次元金融緩和などで無理矢理に物価だけを上げようとするのは本末転倒のことでした。挫折したのは当然のことです。
 
 政府は、統計の取り方に不備があり実態はもっと良好な筈であるというような見解を一時流しましたが、それは希望的観測に過ぎずに、他の有力な指数の動向を調べても現行の家計調査とほぼ同じ動きを示しているということです。
 家計の消費がずっとマイナスのままというのは明らかに経済全体の反映であるという訳です。
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統計がウソというのはウソ? ~ 物価、消費とも7カ月連続のマイナス
THE PAGE 2016年11月02日
(The Capital Tribune Japan)
 このところ日本の物価が深刻な状況となっています。消費者物価指数は消費支出も同じく7カ月連続のマイナスでした。一部では日本の統計に不備があり、実際の消費はもっと良いはずとの見方もあるようですが、それは希望的観測に過ぎないようです。
 
消費はずっとマイナスのまま
 総務省が発表した9月の消費者物価指数は代表的な指標である「生鮮食品を除く総合(コア指数)」が前年同月比でマイナス0.5%となり、物価の下落はこれで7カ月連続となりました。エネルギー価格の影響を受けない「食料及びエネルギーを除く総合(コアコア指数)」もゼロ%となっており、すべての指標で物価上昇はストップしたことになります。1日に開かれた日銀の金融政策決定会合では、2%の物価目標達成に関して、黒田総裁の任期中での実現を事実上断念しています。こうした状況を背景にメディアでは「デフレ再来」といった見出しを目にする機会が増えています。
 
 物価が下がってモノが買いやすくなるのであればそれも悪くはないのですが、消費は低迷する一方です。9月の実質消費支出は前年同月比マイナス2.1%となり、こちらも7カ月連続のマイナスでした。7カ月連続といっても、今年に入ってプラスになったのは2月の1回だけ、2015年もプラスは2回しかありませんでした。要するに消費はずっとマイナスのままなのです。
 
 この間、原油価格の上昇によって物価が上昇基調になった時期もありましたが、その時には値上げが相次ぎ、やはり消費は低迷しました。物価が下がったら下がったで、今度はデフレマインドで消費が弱いという状況です。日本の家計には体力がないので、物価がどう動いても消費は弱く推移してしまうようです。
 
家計の消費がマイナスは経済全体の要因
 家計調査については、高齢者の専業主婦世帯が多いなどサンプルに偏りがあるとの指摘が出ており、日本の消費はもっとよいのではないかといった見解も見られます。日本の経済統計にいろいろと改善すべき点があるのは事実ですが、実際の消費がもっとよいというのは希望的観測に過ぎないでしょう。
 
 東京大学大学院教授で物価が専門の渡辺努氏によると、共通ポイントカードである「Tポイント」のデータから作成した消費指数は、現行の家計調査とほぼ同じ動きを示しているそうです。Tポイントの利用者は若年層も多いことを考えると、家計調査に偏りがあるという話は単なるイメージという可能性が高くなります。
 
 高齢者の専業主婦世帯といえば、今の日本ではもっともお金を持っている層です。この層にサンプルが偏っているのであれば、場合によっては実際の消費はもっと悪い可能性すら出てきます。家計の消費がずっとマイナスのままというのは、経済全体の要因であると理解するのが自然でしょう。