2016年10月2日日曜日

TPP協定を批准しようというのは狂気の沙汰

 TPP協定がもしも発効すれば、日本の農業が破壊されるに留まらずに、現行の日本の医療制度や薬価基準も破壊されて、米国型の超高額医療制度に移行することになります。
 協定が百害あって一利もないのは米国民にとっても同様で、米巨大企業は国民を犠牲にすることもいとわずに巨利を貪ろうとしているのです。
 米国民のTPPへの激しい怒りの前には、さすがのヒラリー大統領候補もTPP反対を言明せざるを得なくなりました。勿論トランプ候補も反対しています。
 
 しんぶん赤旗(「主張」)は、アメリカでも批准の見通しが全く立たないなかで、TPP協定の成立を狙う根拠は失われているとし、アメリカの批准を促進するために日本が率先して批准するのではなく、安倍政権の責任で撤回すべきものであると述べています
 
 また植草一秀氏もブログで、オバマ政権下でのTPPの承認は絶望的であり、来年2月に発足する新政権TPP反対の方針を示す可能性が高いとして、日本が先行してTPPを承認するべき理由は皆無であるとしています
 
 この売国のTPP協定を、安倍政権はなぜそんなにがむしゃらに批准しようとしているのでしょうか。
 「彼が売国奴だから」と考えるほかには・・・ 「気でも狂ったのか」というしかありません。
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主張TPP承認批准案 「早期成立」強行する道理ない
しんぶん赤旗 2016年10月1日
 今週から始まった臨時国会の論戦で、焦点になっているのが戦争法の本格的運用や補正予算案など経済政策とともに、安倍晋三政権が承認を目指す環太平洋連携協定(TPP)の問題です。衆参本会議の代表質問に続いて衆院予算委で審議が始まった補正予算案にも、TPPの国内対策が盛り込まれています。安倍政権はTPP承認案と関連法案の「早期成立」を目指していますが、輸入米の価格(SBS価格)の偽装問題や協定の誤訳問題も次々明らかになり、アメリカでも批准の見通しが全く立たないなど、早期成立を狙う根拠は失われてしまっています
 
公約にも決議にも反して
 TPPは、安倍政権が国民に中身を知らせないままアメリカなどとの合意を強行した環太平洋地域12カ国の貿易協定です。関税を原則ゼロとし、サービスや投資なども自由化、食の安全や医療、雇用、保険などあらゆる分野で輸出大国と多国籍企業に有利なルールを国民に押し付けるものです。
 自民党は民主党政権下の野党時代にはTPPの交渉参加に反対し、2012年の総選挙でも各地で「TPP反対」を宣伝しました。ところが安倍首相が政権に復帰した途端、選挙公約に口を拭い、交渉参加を強行しました。しかも、コメ、麦、牛肉など農産物の重要5項目は関税撤廃の例外にするよう求めた国会決議さえ踏みにじって合意を強行したのです。
 合意では日本の農産物の8割以上、重要5項目でも3割近くの品目で関税を撤廃、関税が残った品目も大幅引き下げや輸入枠の拡大など無傷のものはありません。選挙公約にも国会決議にも違反した協定内容は、本来国会に持ち出すことさえできないはずです。
 
 安倍政権は前国会にTPP承認案と国内対策の関連法案を提出しましたが、交渉経過については肝心な中身を塗りつぶした「黒塗り」の資料しか示さず、都合のよい試算で農業への影響は小さく経済は大きく増えると宣伝しました。ところが最近になって、輸入米(SBS=売買同時入札米)が公表より安く販売されていた疑惑が発覚しました。輸入米の国内販売価格は国産米と同水準だからコメへの影響はないとする政府の試算が、成り立たなくなるのは明らかです。
 TPP承認案を審議する条件は失われているのに、安倍政権は日本が率先して批准し、「早期成立」させるのは、遅れているアメリカの批准を促進するためだといいます。アメリカのオバマ政権は残る任期中に批准するといってはいますが、次期大統領候補は民主党のクリントン候補も共和党のトランプ候補もTPP反対です。日本が批准してもアメリカが批准するかどうかは極めて不透明です。
 
平等・互恵の貿易ルールを
 TPPは日本とアメリカいずれもが批准しなければ発効しません。首相は日本が批准して、まだTPPに参加していない国にも参加を促すといいますが、発効の見込みも立たないのに参加国を増やすというのも絵に描いた餅です。
 TPPの承認批准案と関連法案は、根拠が崩れたまま「早期成立」に突き進むのではなく、安倍政権の責任で撤回すべきものです。TPPを強行するのではなく、食料主権と経済主権を尊重した互恵・平等の貿易・投資のルールづくりに取り組むことこそ重要です。
 
 
TPP強行採決宣言が示す安倍政権の驕りと緩み
植草一秀の「知られざる真実」 2016年9月30日
9月30日の衆議院予算委員会で輸入米の価格偽装問題が取り上げられた。問題を追及したのは民進党の福島伸享議員と緒方林太郎議員である。
民進党は一刻も早く消滅するべき政党であるが、有能で主権者の意思に正面から向き合う優れた議員も存在する。一刻も早く、主権者の意思に向き合う議員の糾合、連帯を求めたい。
 
山本有二農水相は輸入米の価格偽装問題についての調査結果を補正予算審議の裁決までに提出することに難色を示した。
緒方議員は、対応の遅れが国会審議に支障を与えかねないとの山本農水相の過去の発言を取り上げて真意を質したところ、自民党委員から「国会が止まってないじゃないか」とのヤジが飛びだした。国会審議を止めることを促す発言である。
 
この臨時国会で、安倍政権が最重要議題に位置付けているのがTPP承認案である。
通常国会では、政府が審議に必要な情報をまったくと言ってよいほど国会に提出しなかった。その一方で、衆議院特別委員会の委員長である西川公也氏は、『TPP交渉の真実』と題するTPP交渉の内幕を記述した著書を出版する予定であったことが明らかになった。
西川氏は事実関係を認めていないが、客観的事実はこのことが事実であることを強く示唆している。
 
9月29日の二階派の会合では、衆院TPP特別委員会の理事を務める自民党の福井照衆院議員が驚愕の発言をした。
「この国会ではTPPの委員会で西川(公也)先生の思いを、強行採決という形で実現するよう頑張らせていただく」国会審議に入る前に「強行採決という形で実現するよう頑張らせていただく」と述べたのだ。
福井氏は当日、委員会理事を辞任したが、これがいまの安倍政権である。
 
TPPは12ヵ国で協議しているが、12ヵ国のGDPの85%以上を占める、少なくとも6か国が手続きを終えないと発効しない。
12ヵ国のGDP合計額に占める比率は日本が17.7%、アメリカが60.4%で、日米のいずれか1ヵ国でも批准手続きを終えないと発効しない。その米国がTPPを承認する道はまったく開けていない。
11月8日に実施される大統領選の民主、共和両党の候補者はTPP反対を表明している。
また、米議会下院のマコネル共和党上院院内総務は、TPPにはいくつかの深刻な欠陥があり、年内は動かない」と述べ、「次期政権がTPPの内容を修正する可能性がある」と指摘した。
さらに、共和党の実力者であるライアン下院議長もTPPの内容を修正しない限り審議には応じないとの方針を示している。
つまり、オバマ政権下でのTPP承認は絶望的であり、来年2月に発足する新政権はTPP反対の方針を示す可能性が高い。
 
この状況下で日本が先行してTPPを承認するべき理由は皆無である。仮に米国がTPPを承認することがあっても、それは、間違いなくTPP修正後になる。その修正内容を確認もせずに、日本が先行批准することは、日本国民に対する完全なる背信行為になる。
そのTPPについて、審議に入る前から「強行採決という形で実現する」と委員会理事の立場にある者が発現したのだから、このことだけで審議紛糾は確実である。
 
また、政府TPP対策本部の大江博首席交渉官は9月29日に日本記者クラブで記者会見し、臨時国会でのTPP承認案と関連法案の審議について、「米大統領選までに衆議院を通してメドをつけたい」と述べた。これまた驚くべき発言だ政府を代表する国会議員が発現するなら理解できるが、単なる一公務員が立法府の意思決定について方針を示すなど、前代未聞である。
すべては、安倍政権の「緩み」に起因している。
「国会の数を握れば何をやっても構わない」という、「驕り」と「緩み」、そして「思慮の浅さ」が完全に露呈している。
(以下は有料ブログのため非公開)