総務省の速報によると9月の家計支出は前年同月比でー2・1%と13か月連続のマイナス、消費者物価指数は前年同月比0.5%下落と7カ月連続でマイナスでした。これが「この道しかない」として始めたアベノミクスの実態です。
安倍政権は当初はもっともらしく「3本の矢」などと謳い、その後は矢と的を混同したような理解不能な説明もありましたが、兎に角実際に行ったことは日銀の異次元金融緩和のみでした。その結果海外の投資ファンド、富裕層それに大企業は大いに潤いましたが、その分国民全体は貧しくなり、その結果が上述の指標の落ち込みになりました。
「”この道しかない”という結果がこれであれば一体アベノミクスとはなんだったのか」。小沢一郎氏はツイッターでそう述べています。アベノミクスそのものが今やタブーになりつつある・・・とも。
そういえばどのマスメディアもアベノミクスの批判はしません。
金子勝 慶大教授は、「日銀が金融緩和をしても、ちっとも物価上昇しないし、大企内部留保ばかりがたまる」、「安倍内閣のやることは鉄鋼、電力、重電機など経団連の中枢をなす産業の救済プロジェクトで、そこに湯水のように金を注いでいる」、「下がった株を日銀が買い支えても、アメリカの投資ファンドを儲けさせるだけ。運用で損が出ると資産が傷つくのでさらに株を買わなくてはならない。そうなると日銀の信用と国民の年金が尽きるまで株を買い続けるはめになる」と述べています。恐ろしい話です。
アベノミクスはもとを糺せば消費税を10%に上げるには物価が3%(後に2%にダウン)上がる環境が必要ということからスタートしましたが、物価上昇が目的化した時点で事態は本末転倒となりました。
さらに消費増税が不可避的に必要であるのかについては、産経新聞の編集委員の田村秀男氏は消費税増税で税収がアップし財政再建につながると考えるのは「馬鹿もの」であると述べています。
さらに消費増税が不可避的に必要であるのかについては、産経新聞の編集委員の田村秀男氏は消費税増税で税収がアップし財政再建につながると考えるのは「馬鹿もの」であると述べています。
まさにアベノミクスは惨状を呈しています。
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「この道しかない」・・・ 一体アベノミクスとはなんだったのか
小沢一郎(事務所)ツイート 2016年10月28日~29日
10月28日
本日発表された9月の消費者物価指数は前年同月比0.5%下落と、7カ月連続でマイナス。早速日銀が2%の物価上昇目標の実現時期先送りを検討との報道。もういい加減にすべき。どうしようもない。初めから全部間違っていることを、まず認めるべき。アベノミクスそのものが今やタブーになりつつある。
2016年10月28日
よくよく思い出してもらいたい。アベノミクスの三本の矢! 日銀のジャブジャブ。結局これだけ。二本目も三本目も存在はしなかった。今やアベノミクスそのものがまやかしであることがはっきりした。陳腐な官製バブルとその破裂で今や金融市場は硬直化。安倍政権は経済をおかしくしただけ。説明もなし。
10月28日
大体「この道しかない」などと豪語しておいて、物価目標達成すらこれだけずるずると先延ばしで一体全体どうするつもりなのか。今はTPP国会だとか騒いでいるが、どんどん目くらましをして、国民の目線を盛んに逸らしているようにしか見えない。まず、「この道しかない」の釈明が絶対的に必要である。
10月29日
総務省公表の9月家計調査では家計支出が▲2.1%と、実質13カ月連続のマイナス。消費者物価指数も▲0・5%と7カ月連続のマイナス。消費者心理は確実に冷え込んでおり、これが「この道しかない」ということであれば、一体アベノミクスとはなんだったのかということになる。結局は、全部間違い。
10月29日
一番意味不明なのは、もはや実現不可能な物価目標2%を未だに言い続け、実現できないことの碌な釈明もなく、自己を正当化する無責任な答弁しかしていない、アベノミクス特攻隊長の黒田総裁の言動である。戦後、金融政策がこれだけ政治に蹂躙されたことはない。一人が責任をとって済むレベルではない。
(日本を元気にする選択肢)
大手企業救済のアベノミクスは「負けるゲーム」
慶大教授 金子勝 赤旗日曜版 2016年10月23日
(前 略)
「このままいくと、日本は衰弱死します。日銀が金融緩和をしても、ちっとも物価昇しないし、大企内部留保ばかりがたまる。トリクルダウン(企業からのおこぼれ)はないのに出てくるのは当面の株価を上げる政策ばかり。安倍首相は、リニア新幹線や原発輸出に武器輸出と、巨大国家プロジェクトばかりに力を入れる。大日本帝国の戦艦大和じゃないけれど、時代は変わったのにやることが旧来型で、負けるゲームをやっているようなものだ」
財界に顔を向けた政策だといいます。
年金運用は泥船
「そもそも経団連の中心になって来たのが鉄鋼、電力、重電機など。安倍内閣のやることはこういう産業の救済プロジェクトになってしまっている。そこに湯水のように金を注ぐ。まるでローマ帝国の国の最期をみているような憂うべき状況です」
公的年金の株式運用の拡大も批判します。
「下がった株を日銀が買い支えてもアメリカの投資ファンドを儲けさせるだけです。運用で損が出ると資産が傷つくのでさらに株を買わなくてはならない。この悪循環がいったん始まると、日銀の信用と国民の年金が尽きるまで株を買い続けるはめになる。泥船です」
大企業の発想は「我が亡き後に洪水は来たれ」だと
「いまの大手企業は老化していると思います。東芝や三菱自動車など大企業で不正が相次ぎ、東京電力は福島第1原発の事故を起こした。でも、誰もきちんと責任をとらない。責任をとらないということは、転換ができないということです。失敗を認めないと失敗は累積します。そういう閉塞状態のなかとにかくお金を刷って株価を持たせようとする。未来のために変えていこうという改革志向がない。とりあえず、自分が死ぬまで持てばいいという発想。まさに『我が亡き後に洪水は来たれ』です」
「増税 = 財政再建」と信じる馬鹿ものどもへ
田村秀男の日曜経済講座 2016年10月23日
(前 略)
乾坤一擲の日銀マイナス金利を無効にした元凶は消費税増税である。増税後の消費需要の低迷を反映して、消費者物価は今年1月に前年を下回り、3月以降はマイナスが続いている。日本経済はデフレ局面に舞い戻ったかのようで、アベノミクスが目指してきた「20年デフレ」からの脱却はまさに頓挫寸前だ。消費税増税を安倍首相に強く勧めてきた黒田総裁はまさか、消費税増税がブーメランのごとく、自身の政策を直撃するとは予想しなかっただろう。
おまけに米国からは円高圧力がかかる。米大統領選のクリントン、トランプ両候補とも円安を強く警戒している。クリントン氏を推すオバマ政権は最近まとめた「為替報告書」で、日本の円安誘導を強く牽制(けんせい)している。米連邦準備制度理事会(FRB)はドル高の要因になる利上げを先延ばし続けている。
安倍首相が10%への増税を重ねて延期したのは、国家・国民の利益を優先する当然の選択だ。しかし、消費税増税による恐るべき日本経済への災厄を直視しようとする声は国内では依然として少数派にとどまる。増税すなわち財政再建・日本再生という破綻した論理が幅を利かせている。税制改正法案の国会審議では、与野党とも消費税増税の何が問題なのかを真摯(しんし)に討論し、日本を沈めるドグマを払拭すべきではないか。(産経新聞 編集委員)