2016年10月15日土曜日

南スーダン 和平協定は既に破綻と非戦ネット 国連も強い懸念

 南スーダンでは、しばしば戦闘により300人とか20人とかの規模で人命が失われています。
 日本国際ボランティアセンターのスーダン事業現地代表の今井高樹氏によれば、かろうじて治安が維持されているところは首都ジュバ市の中心部だけで、郊外の多くはまったく不安定であって、「昨年8月に締結された和平協定は、すでに崩壊したとみるのが妥当」だということです。
 さらに「南スーダン政府と政府軍はPKOに敵対的な態度をとっている」ということで、PKO参加5原則から逸脱した状況にあるようです。
 11月に現地部隊と交代で派遣される自衛隊に「駆け付け警護」などの新任務を付与するなどは論外であり、PKOからの撤退を検討すべき」段階にあるということです
 
 註)
   PKO参加5原則
   「PKO政策Q&A外務省作成)」によれば、「PKO参加5原則」は下記のとおりです。
1)紛争当事者の間で停戦合意が成立していること
2)当該平和維持隊が活動する地域の属する国を含む紛争当事者が当該平和維持隊の活動及び当該平和維持隊へのわが国の参加に同意していること。
3)当該平和維持隊が特定の紛争当事者に偏ることなく、中立的立場を厳守すること。
4)上記の基本方針のいずれかが満たされない状況が生じた場合には、我が国から参加した部隊は、撤収することが出来ること。
5)武器の使用は、要員の生命等の防護のために必要な最小限のものに限られること。
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南スーダンと自衛隊考える “和平協定は崩壊”
NGO非戦ネット集会 現地報告
しんぶん赤旗 2016年10月14日
 国際協力・交流活動などにとりくむNGO(非政府組織)などでつくるNGO非戦ネットは12日夜、南スーダンの現状と自衛隊の「駆け付け警護」について考える集会を東京都内で開き、120人が参加しました。
 
 日本国際ボランティアセンター(JVC)のスーダン事業現地代表の今井高樹氏にジャーナリストで平和新聞編集長の布施祐仁氏が聞きました。
 今井氏は、9月に南スーダンで活動した体験にもとづき報告。同国の国連平和維持活動(PKO)に派遣されている自衛隊が駐留する首都ジュバについて今井氏は「ごく限られた首都中心部は安定しているが、郊外の多くはまったく違う」「昨年8月に締結された和平協定は、すでに崩壊したとみるのが妥当」とのべました。
 
 現地を今月視察した稲田朋美防衛相は「ジュバ市内は比較的落ち着いている」と国会答弁。安倍政権は自衛隊に「駆け付け警護」など新たな任務付与を狙い、緊迫しています。
 今井氏は「南スーダン政府と政府軍はPKOに敵対的な態度をとっている」と指摘し、「自衛隊に新たな任務を付与すれば政府軍兵士と対峙(たいじ)することになりかねない」とし、「PKOからの撤退を検討すべきだ」と訴えました。
 
 日本共産党の井上哲士参院議員が参加しました。
 
 
南スーダン 砲撃・銃撃戦 国連が懸念
しんぶん赤旗 2016年10月14日
 国連南スーダン派遣団(UNMISS)は12日、ここ数週間、南スーダン各地で暴力や武力衝突が増加しているとして、強い懸念を示す声明を発表しました。
 
 声明によれば、南スーダン政府軍(SPLA)と反政府勢力の間で激しい砲撃や銃撃戦が行われ、死者や住民の避難が続いています。
 さらに声明は、中央エクアトリア州のイェイから首都ジュバを結ぶ幹線道路で民間人を乗せた車両が襲撃され、20人以上が死亡した事件に言及。同地域では依然として武力衝突が継続しているものの、UNMISSの立ち入りは許可されておらず、SPLAなどへの要請を行っているものの、依然として移動制限は解除されていないとしています。
 声明は、非戦闘員への暴力行為や攻撃を非難し、政府軍・反政府軍双方に対し、直ちに敵対行為を停止するよう求めています。
 
 安倍政権は、国連平和維持活動(PKO)要員として南スーダンに派兵している陸上自衛隊に、安保法制=戦争法に基づく「駆け付け警護」や「宿営地共同防護」といった新任務を付与することを月内に判断する方針でしたが、情勢の急速な悪化などにより、判断を11月以降に先送りしています。