2016年10月26日水曜日

保守2大政党制を目指す「連合」それに追随する民進 野田幹事長

 弁護士猪野亨氏がブログで民進党の支持基盤となっている連合の本質を分かりやすく説明しています。それは同時にそうした組織に依拠している民進党の救いの無さの説明にもなっています。
 民進党は早く野田佳彦に代わる幹事長を立てて脱皮するべきです。
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連合の右翼的再編の末路 民進党は連合に依存しても集票は期待できない
 連合の再編は避けられない
弁護士 猪野 亨のブログ 2016年10月25日
 新潟県知事選挙では、連合が自民党推薦候補を推し、原発の再稼働に向けた姿勢を鮮明にしました。
 私はここまで明確に連合が自民党推薦候補を支援しているとは知りませんでした。
 東京10区の衆議院補欠選挙においても連合は、民進党に揺さぶりを掛けています。
 民進党の蓮舫代表が新潟県知事選挙の応援に乗り込んだときには、連合が激怒し、野田佳彦幹事長が「弁明」するという始末です。
 
 しかし、連合が推した森候補は惨敗します。
 しかも連合による支援は、森候補への投票行動にはつながらなかったということまで明らかになっています。民進党支持層への影響はほとんどなかったということです。
 ⇒ 民進と連合に亀裂 問われる原発問題へのスタンス(朝日新聞2016年10月19日)
「朝日新聞社が実施した16日の知事選での出口調査によると、民進支持層で連合が支持した自公推薦候補に投票したのは14%にとどまる。」
 
 連合自体は、多くの労働組合(単産)の寄せ集めにすぎず、それぞれが独自に政党(特に民進党)との関係を持っています。
 連合が右向け右といえば、加盟単産が右に向くというものではないのですが、新潟県知事選挙を見ても明らかなとおり、連合自体には、もはや組織票を動かすだけの求心力はありません
 いや最初からなかったと言ってもよいくらいです。
 過去を辿れば日本労働組合総連合会(連合)が結成されたのが1989年ですが、当時から労働組合の右翼的再編と言われていました。
 社会党の支持基盤であった総評が解体されただけでなく、その流れの中で国労などの闘う労働組合は政府による国家的不当労働行為により潰されていきました。
 連合の右翼的再編の目的は、労働組合として構造改革を推進し、大企業の利益を擁護することです。大企業のユニオンショップ制度に守られた大単産がその中心的な役割を担っています。
 電力会社の電力総連(全国電力関連産業労働 組合総連合)ばかりでなく、その他の大企業の大単産も原発を推進する経団連とも歩調を合わせているわけです。
 しかし、基本は、このような労働組合はユニオンショップであり、経営側の後ろ盾によって組合員を確保しているというのが実情であって、組合幹部を除いては組合への帰属意識など個々の組合員にはありません
 連合やその傘下の大企業の大単産は、決して集票マシンにはなれないということです。
 
 他方で、官公労は組織率が低下しているとはいえ、旧社会党の支持基盤でもあり、政治色は全く異なります。
 この官公労も組織率の低下や国労への弾圧などを背景に、連合結成という右翼的再編の中に巻き込まれていきます。その中で旧社会党が解体されていきます。政党版の右翼的再編です。
 その意味でも連合は、もともと政治色の異なる労働組合が巨大化することで存在意義を見いだそうとした野合なのです。
 構造改革を推進する連合にとっては、自民党か民進党(当初は新進党)かは本質的な問題ではなく、経団連と同じく、保守二大政党制こそが連合にとってのあるべき姿でした。
 結局、構造改革をよりスムーズに実現するという観点から新進党との関係を強化していきましたが、これは連合にとって必然的な結びつきではなく、自民党を支援するというのも先般の新潟県知事選挙で自民党推薦候補を推すことも何ら不思議なことではないのです。
 
 現実に民進党支持層が全く連合の思惑通りには動いてはくれませんでした。
 連合に求心力がなかったことを露呈したと言っても過言ではありませんし、連合の存在意義そのものが否定されたというべきものです。
 
 今年の4月には連合傘下の化学総連が連合から離脱しました。その理由は民進党が共産党との選挙協力(野党共闘)に踏み切ったからです。
 
 連合にとって共産党は構造改革に反対する敵でしかなく、民進党がその共産党と協力し合うというのは、絶対に許容できない一線です。単なる感情的に共産党が嫌いという次元のものではありません。
 
野田佳彦氏の構造改革路線と連合の政策は一致しているのだ
 しかし、民進党が東京10区補選などでも連合の顔色ばかりを見ていたために惨敗となりました。
 共産党側が立腹するのも当然です。
「不満を募らせるのが共産党だ。小池氏は24日の記者会見で野党が本当の意味で心を一つに戦っているか。そこが有権者に伝われば、全く違う結果が出た可能性も大いにあると述べ、民進党主導の共闘に異議を唱えた。」
 
 結局、民進党が連合の顔色ばかりを気にしていることこそ、政党としての政策をいびつなものにしてしまっているのです。
 民進党の中にも次のような動きが出てきたことは歓迎すべきことです。
「連合への配慮もあって自主投票を堅持した民進執行部への批判も高まる中で、ベテラン議員は「連合こそ民意と離れた対応を反省すべきだ」と指摘。閣僚経験者の一人は「連合の存在に縛られていては主張があいまいな政党であり続ける」として、関係見直しを志向すべきだと語る。
 民進の原発政策自体も今後は問われそうだ。江田憲司代表代行は知事選の応援演説で「民進党も原発再稼働を認めることは絶対にない」と明言。」(前掲朝日新聞)
 
 既に連合そのものが労働者の利益を代弁しない労働組合であり、その矛盾も大きく、政治力においても低迷するのは必至ですから、右翼的再編そのものが崩壊し、さらなる連合の再編も不可避となるでしょう。