2016年10月21日金曜日

21- 厚労省 年金カット額を過少に試算

 いま安倍内閣が提出している年金カット法について、民進党が直近の過去10年間に当てはめると支給額がどうなるかの試算を求めたところ、厚労省は減少幅を実際の半分近くになるように誤魔化したものを出してきたと言うことです。
 それだけではなく、その分現役世代将来の国民年金額7%増えるという、非現実的な見通しを出してきました。
 まことに卑怯・卑劣な話です。
   (関係記事)
10月16日 安倍内閣は年金カット法を目指す 政活費報告はデタラメの限り
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試算も詐欺まがい 安倍政権「年金カット法」のイカサマ
日刊ゲンダイ 2016年10月20日
 壮大なマヤカシにダマされてはいけない。安倍政権が今国会で強行採決しようとしている「年金カット法案」。物価と賃金の“より下がった方”に合わせて年金を減額する老人いじめの悪法だ。一体いくら減らされるのか。民進党の要求に応じ、厚生労働省がようやく試算を公表したが、まあ、これが詐欺みたいなものなのだ。
 
  法案に盛り込まれた新ルールを直近の過去10年間に当てはめると、年金受給額が今より3%減るという。国民年金で月2000円、厚生年金は月7000円。だが、民進党の独自試算はもっとシビアだ。下げ幅は52%になるとして、国民年金は月3300円、厚生年金は1万1800円減ると計算した。政府試算と比べると、それぞれ年額1万6000~5万8000円もの開きがある。試算した井坂信彦衆院議員が言う。
 「政府は年金の減額分を過小に見せるような試算を意図的にして出してきたのです。試算するにあたって、過去10年に実際に行われた『特例水準の解消』や『可処分所得割合の減少』を前提条件に含めなければならないのに、なぜかこれらは条件から外され、累計2%の“上げ底”が図られました。それで年金カット額がわずか3%と表示されたわけですが、会計のプロが見たら一発でインチキと分かるひどい試算です。厚労省はよくこんな恥ずかしい試算を公表できたものです」
 
■「7%増」の過大見積もり
 政府試算のイカサマはこれだけではない。給付の削減が進むため、現役世代については、将来の国民年金額が7%(月5000円程度)増えるとしている。こちらはかなり過大な見積もりだという。
 「現役世代の年金を月5000円アップするには、過去10年のカット額を、運用利回り42%で20年間運用し、23倍に増やす必要があります。しかし、この低金利時代に42%の運用利回りをコンスタントに出し続けるのは非現実的。年金カットを国民に納得させるためにバラ色の将来を描いてみせたのでしょう」(井坂信彦衆院議員)
 
  そもそも、常に物価と賃金の低い方に合わせて年金がスライドされるということは、物価が上がっても年金が減るリスクと隣り合わせということだ。しかも、一度下がった金額は二度と元に戻ることはない。こんなエゲツない法案ができたら、餓死する高齢者が相次ぐのではないか。「たった3%だから大丈夫」なんて甘く考えているとひどい目に遭う。 
 
 
「年金カット額を過少に試算」 抑制新ルールに民進が反発
東京新聞 2016年10月20日
 衆院厚生労働委員会は十九日、塩崎恭久厚労相からの所信表明の聴取などを行った。年金給付額を抑制するルールの強化などを盛り込んだ年金制度改革関連法案の取り扱いを巡って与野党の対立が深まる中、民進党が委員会の開催に抗議し、開会が予定より約二十分遅れるなど紛糾した。 (中根政人)
 
 民進党は関連法案を「年金カット法案」と批判。新ルールを二〇〇五年度にさかのぼって適用した場合の試算を厚労省が十七日に発表したが、同党は「高齢者の年金のカット額を過少にみせている」などと試算結果に反発している。
 
 十九日の衆院厚労委の開会前には、野党筆頭理事を務める民進党の柚木道義氏が「政府がありえない試算を出して国民をだましている」などと、丹羽秀樹委員長(自民)ら与党側に詰め寄り、厚労省の試算の再提出を求めた。共産党も同調し、一時騒然となった。
 
 関連法案には、パート従業員らの厚生年金加入の拡大や国民年金に加入する女性の産前産後の保険料免除などの充実策もセットとなっている。無年金者対策に年金を受け取るために必要な加入期間(受給資格期間)を二十五年から十年へ短縮する見直しを盛り込んだ年金機能強化法改正案も含まれる。一方、年金給付額を抑える新ルールや、給付をさらに抑える仕組み「マクロ経済スライド」の強化策も盛り込まれている。
 
 民進党はこの日も、受給資格期間短縮の法案を分離して審議するよう要求。一括審議を主張する政府・与党を「無年金対策を人質に取っている」と批判する