2016年10月11日火曜日

11- 生前退位問題 政府は世論の動向を十分に踏まえるべき

 読売新聞が「生前退位問題について政府は結論を急ぐべきか」と「一代限りの特例法で良いか」について、世論調査を行いました。その結果は、「急ぐべきか否か」については賛否が拮抗しましたが、「一代限りの特例法で良いか」については、「今後のすべての天皇陛下に認める制度改正を行う」べきが、特例法で良いの2・5倍に上りました。
 
 生前退位問題は一般的には慎重に検討すべきことですが、天皇がご希望になってからも内閣は5年間にもわたって放置するというサボタージュを行ってきたことを考え合わせると、やはり出来るだけ急ぐべきです。
 
 生前退位問題については政府は先に「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」のメンバーを決めました。その名称はしかし、天皇が「生前退位」は「公務の負担軽減」で代替されるものではないと仰っているのを全く無視したものになっていて大問題です。
 これについては安倍首相が「退位の問題も含めて議論してもらう」と述べているので、ここでは善意に解釈するとしても、選ばれたメンバーが全員「内閣の意向」を最優先させる人たちばかりなので、果たして国民の願いがそこに反映されるのか大いに疑問です。それに有識者会議の初会合がまだない段階で、政府が一代限りの特例法で行くという意向を表明するのも大いに問題です。   
 この問題が政府の偏った皇室観に沿って進められることは許されません。政府も有識者会議も、国民の気持ちがどうなのかについて十分に思いをいたすべきです。
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生前退位、検討「急ぐ」「慎重」拮抗…読売調査
読売新聞 2016年10月9日
 読売新聞社は7~9日、全国世論調査を実施した。
 現在は認められていない天皇陛下の「生前退位」について、政府が結論を「急ぐべきだ」と思う人は48%で、「慎重に検討すべきだ」の45%と拮抗(きっこう)した。政府は17日から始まる有識者会議の議論などを経て、早ければ来年の通常国会で法整備を図りたい考えだが、対応の「スピード感」を巡る国民の意見は分かれている。
 
 生前退位に関する政府の具体的な対応は「今後のすべての天皇陛下に認める制度改正を行う」が65%で最も多く、「今の天皇陛下だけに認める特例法をつくる」は26%、「生前退位を認める必要はない」は3%だった。政府は「特例法」を軸に検討しているが、国民の間では恒久制度化を求める声が多い。生前退位について結論を「急ぐべきだ」と答えた人でも、69%が「制度改正」を挙げ、「特例法」の29%を大きく上回った。
 
 
退位後の新たな「身位」明記へ 時期定める案も浮上、政府
東京新聞 2016年10月10日
 政府は、天皇陛下の生前退位を巡る法整備で、退位後の陛下の呼称を法案に明記する方向で検討に入った。政府関係者が9日、明らかにした。退位後も皇族として新たな「身位(身分・地位)」を位置付ける。政府は今の陛下一代に限った特別法を軸に調整する構え。対象が限定されることを明確にするため、退位時期を条文に盛り込む案も浮上している。
 
 退位後の具体的な呼称は、17日に初会合を予定する有識者会議の今後の議論を踏まえ検討する。(共同)