2016年10月9日日曜日

09- 閣僚の白紙領収書問題(続報)

 菅官房長官稲田防衛相、高市総務相、3閣僚の白紙領収書」問題について、8日付のしんぶん赤旗が3つの記事を載せました。
 続報として紹介します。
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主張閣僚の白紙領収書 制度ないがしろの責任は重大
しんぶん赤旗 2016年10月8日
 日本共産党の小池晃書記局長が参院予算委員会で閣僚の「白紙領収書」問題を取り上げ、政治資金を規正する制度の根幹を破壊すると追及して、大きな反響を呼んでいます。稲田朋美防衛相、菅義偉官房長官、政治資金を所管する高市早苗総務相の3人で、自らの政治団体などが購入した政治資金集めのパーティー券代として「白紙」の領収書を受け取り、自分たちで記入して政治資金収支報告書に添付したというものです。領収書が正しいものでなければ実際に支出されたかわかりません。政治資金規正法の領収書徴収義務に違反する疑いがあります。
 
金額欄が同じ筆跡
 稲田防衛相の「白紙領収書」問題は「しんぶん赤旗」日曜版が8月14日号で、菅官房長官の「白紙領収書」問題は同じく10月9日号で暴露・追及したものです。小池議員はさらに高市氏の「白紙領収書」についても追及しました。
 稲田氏は資金管理団体「ともみ組」の2012年から14年分の政治資金収支報告書に自民党議員などの政治資金パーティーの会費を支払ったとして添付した領収書のうち約260枚、約520万円分が、別々の議員が発行した領収書なのに金額を書いた人物は同一とみられるものでした。筆跡鑑定では金額を書いた人物は「ともみ組」の収支報告書を書いた人物と同じとみられ、「白紙」の領収書を受け取り、あとで金額を書き込んだと稲田事務所は認めました。
 
 菅氏の場合も全く同様です。菅氏の資金管理団体「横浜政経懇話会」が政治資金パーティー券代として政治資金収支報告書に添付した領収書のうち、同じ期間の約270枚、約1875万円分の金額欄が同じ筆跡でした。収支報告書にあった事務所関係者の筆跡と一致します。小池議員が取り上げた高市氏の場合も、同氏が代表の自民党支部が報告書に添付した約340枚、約990万円分の領収書で同様の問題があります。
 
 政治資金収支報告書は、政治家がカネの流れを公表して自らの政治活動について国民の点検を受ける重要な資料です。とりわけ国会議員関係の政治団体は収支報告に特例が設けられ、資金管理団体であれ政党支部であれ、人件費以外の支出には領収書を徴収することなどが求められます。違反すれば3年以下の禁錮などの重罪です。
 自民党議員同士の仲間内であってもパーティー券を購入して「白紙」の領収書を受け取り、金額を勝手に書いて報告書に添付して提出したのでは何の証明にもなりません。万が一、金額を多めに書いて浮かせた金を裏金に回しても証拠は残りません。現職閣僚を含む自民党内に「白紙領収書」がまかり通っているとすればそれこそ政治資金制度を破壊するものです。
 
言語道断な開き直り
 「しんぶん赤旗」の指摘や小池議員の追及に稲田氏や菅氏は事実を認めましたが、「白紙領収書」の発行は受付が混雑するからだなどと言い訳し、高市氏を含め法的に問題はないかのように開き直っています。金額などを後から書き込む「白紙領収書」が要件を満たさないのは常識であり、正確な記載を求める法律に反しています。
 「政治とカネ」の不正と疑惑を一掃するためにも閣僚らは政治資金規正法を厳しく守り、「白紙領収書」の悪習は断ち切るべきです。
 
 
「白紙領収書」疑惑 3閣僚追及に大反響 各紙が小池質問を報道
しんぶん赤旗 2016年10月8日
 菅義偉官房長官、稲田朋美防衛相、高市早苗総務相の「白紙領収書」の疑惑に迫り「共感し感動した」との声が寄せられた日本共産党・小池晃書記局長の6日の国会質問。同日夜のテレビ報道が詳しく紹介したほか、大手紙すべてが7日付朝刊で報じました。
 
 日刊スポーツは「よくある手法」の大見出しで、小池氏が国会で提示した領収書の写しを大きく掲載。資金管理団体の収支報告書に添付された領収書のうち同じ筆跡のものが計260枚、総額520万円分にものぼることを小池氏に指摘され、稲田防衛相は事実と認めたと書いています。
 「朝日」は「自民議員間で慣例化か」との見出しで社会面トップで報道。政治資金パーティーで支払った側が後から金額を書き込む白紙領収書を「問題ない」とする答弁を批判する専門家のコメントを紹介しています。
 東京新聞は1面で「白紙領収書が『慣行』 菅、稲田氏認める」との見出しを立て、白紙領収書に金額や日付を後から自分の事務所で記入する「慣行」を正当化する開き直りを認めれば政治資金規正法の「根幹がガタガタだ」と小池氏が追及したと伝えました。
 
 
白紙領収書「悪用できる」 5万~10万円領収書 元国会議員も「エッ」
さらなる追及に期待の声
しんぶん赤旗 2016年10月8日
 安倍内閣の閣僚による「白紙領収書」問題を追及した日本共産党の小池晃書記局長の質問(6日)が、大きな反響を呼んでいます。「問題ない」と強弁した菅義偉官房長官、稲田朋美防衛相、高市早苗総務相ら3人の大臣のさらなる追及を求める声が強まっています。
 
 「パーティー券の領収書を白紙で渡すのは“慣行”化していたね。金額をどう書くかは、もらった側の判断による。その気になれば、悪用できるよね」
 こう話すのは、自民党の政治資金事情をよく知る元国会議員です。
 元国会議員によると、議員同士のパーティー券は「お互い2万円ずつ購入するのが暗黙のルールだ」といいます。
 「昨日の質問で、菅義偉官房長官の分には5万円や10万円の領収書があると聞いて『エッ』と思った。派閥の領袖が、所属議員から多めに買うというならわかるけども、そんなこともあるのかな」
 
 白紙の領収書に書き込むという政治資金規正法を踏みにじった行為は許されないものです。しかも、元国会議員が疑問を呈したように正しい額が記載されているかどうかも問われます。
 元国会議員は、今回の小池氏の質問について「御党は、よく調べたね。さらに深掘りすると、いっぱい問題が出てくると思うな」と、今後の追及に期待を寄せます。
 
 党本部には、多くの声が寄せられています。新潟県長岡市の女性は「富山市だけでなく、国会議員もこんなことをやっているんだと、あきれ返っちゃったよ。怒りを力に(知事選などのトリプル選を)がんばります」と怒りの声を寄せてきました。「われわれ自営業者で、あんな領収書が通りますか。腹が立って仕方がない」(男性)など、さらなる追及に期待する声もあります。
 
法のねじ曲げ解釈 失格答弁
        神戸学院大教授 上脇博之さん
 菅官房長官、稲田防衛相、高市総務相の3人は、政治資金規正法の領収書の徴収義務違反と収支報告書へのその写しの添付義務違反に当たります。真正な領収書を徴収してはいないからです。
 お金を払った側が領収書の金額を書いていいのだったら、実際の支出額とは違う金額を書くことができます。それが許されれば、領収書を徴収する義務や、その写しを政治資金収支報告書に添付する義務を課すことに意味がなくなります。
 それではダメだから、受領側が「間違いなく、この金額を受け取りました」と証明するのが領収書です。
 お金を払った側が領収書に金額を書いてはダメという社会常識です。その前提にたって総務省は「収支報告の手引き」も作って、領収書の徴収とその写しを添付するように指導しています。
 それなのに「法律上の問題は生じない」という高市総務相の答弁は所管大臣の答弁としては失格です。総務相の資格が問われます。
 高市総務相も白紙領収書を使っていたのですから、容疑者が罪に問われないように法律をねじ曲げて解釈しているようなものです。
 こうした白紙領収書は、パーティー券の購入の場合だけなのかも疑われます。さらなる追及が必要です。