2016年10月5日水曜日

05- 米軍主導連合軍はISを守るための空爆を続行

 戦争大国アメリカは巨大な軍需産業を抱えているため「常に戦争をしなければ、そして兵器や弾薬を売り続けなければ国家がもたない」状態にあります。そのため第二次世界大戦以降も、ベトナム戦争、キューバ危機、アフリカ紛争、イラク戦争、アフガニスタン戦争・・・等々と際限なく戦争を続けてきましたが、そもそもアメリカに宣戦布告する国など地球上には存在しません。
 それでも間断なく戦争を継続するためにアメリカが最後に(9・11事件の前に)発明した方法が「対テロ戦争」でした。
 
 アメリカはテロ撲滅の大義で戦争を継続はしますが、そこには本当に撲滅してしまうと戦争の種がなくなるという二律背反があります。
 シリア空爆もISを撲滅するという大義で行っているのですが、実際にはISへの直接的な打撃は殆どありませんでした。それが昨年9月30日にロシアがISへの空爆に参加してからは、ISは撲滅の寸前まで追い込まれました。
 そうなるとアメリカはISを存続させるために、もうなりふり構わない正面及び側面からの援助に走り出さざるを得ません。櫻井ジャーナルがその実態を報じています。
 
     (関係記事)
2015年2月6日 テロとの戦いをずっと続けていたい それが米国の本音
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シリアのデリゾールで政府軍の進撃を止めてダーイッシュを守るため、
米軍主導連合軍は空爆を続行
櫻井ジャーナル 2016年10月3日
 アメリカ軍が主導する連合軍はシリア北東部の都市デリゾールでの軍事作戦を活発化させている。9月17日にシリア北東部の都市デリゾールでシリア政府軍をF-16戦闘機2機とA-10対地攻撃機2機で攻撃、62名とも80名以上とも90名以上とも言われる兵士を殺したのに続き、28日には2つの橋を破壊、30日にも別の橋2つを爆撃した。政府軍の進撃を止め、ダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)を守ることが目的だと見られている。
 
 17日にはダーイッシュに対する大規模な攻撃を準備中だったシリア政府軍を空爆、それから7分後にはダーイッシュの部隊が地上でシリア政府軍に対する攻撃を開始している。空と陸で連携していた可能性が高いことは言うまでもない。アメリカの好戦派は形振りを構っていられなくなっているようだ。
 
 シリアを侵略してバシャール・アル・アサド政権を倒すため、アメリカをはじめとする国々はサラフ主義者/ワッハーブ派やイスラム同胞団を中心とする傭兵集団を投入してきたが、その目論見は昨年9月30日にロシア軍が空爆を始めてから大きく揺らいでいる。停戦を利用して侵略軍の態勢を立て直し、携帯型の防空システムMANPADや対戦車ミサイルTOWを大量に供給して反撃させようとしてきた。最近では特殊部隊をシリアへ増派、いくつもの拠点を作りつつあると伝えられている。
 
 イランのメディアによると、シリア北部にある7つの基地に特殊部隊を派遣、そのうちマブロウカには少なくとも45名、アイン・イッサには100名以上、コバネには300名以上、タル・アブヤダには少なくとも200名だとされている。勿論、こうしたアメリカ軍の軍事作戦をシリア政府は承認していない。