2016年10月2日日曜日

02- スタンディングオベーションが気持ち悪いのではなく…

 安倍首相の所信表明演説で自民党議員が総立ちで拍手したのは、勿論自然発生的などというものではなく、最前列のいわゆる1年生議員たちに予めそうするように指示されていたためで、その波及効果でああなったのだということが種明かしされました。
 
 それが「異様な光景で、気持ち悪いもの」、「米議会の猿真似」、「北朝鮮議会並み」などと人々の眼に映ったことは9月28日の記事:「もはや北朝鮮 安倍首相の所信表明で自民党議員が起立・拍手」で紹介した通りですが、翌27日の予算委で民進党の細野氏が「この国の国会ではないのではないかと錯覚した」と述べたことに対して、首相「どの国だというのか。あまりに侮辱ではないか」と気色ばんだということです。
 
 また自民党の高村正彦副総裁は30日の役員連絡会で「スタンディングオベーションをすると叱られるというのは、グローバルスタンダードに合っているのか」語ったということです
 
 「日々雑感」氏は1日のブログで、スタンディングオベーションが気持ち悪いのではなく、「兵隊さんありがとう が気色悪いのだ」と述べました。正にそれが普通の国民が持っている感覚です。
 安倍首相をはじめ自民党議員の面々は、もうそういうセンスも失うほどに片寄っているのでしょうか。
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首相“何が問題なのか” 本会議での総立ち拍手
追及に“侮辱”と気色ばむ場面も
しんぶん赤旗 2016年10月1日
 安倍晋三首相は30日の衆院予算委員会で、所信表明演説(26日、衆院本会議)中に自らの呼びかけに応じて自民党議員が立ち上がって拍手した問題について「どうしてそんなに問題になるのか理解できない」と述べました。民進党の細野豪志代表代行への答弁。
 首相は演説で、海上保安官、警察官、自衛官の働きぶりに触れ「今この場所から、心からの敬意を表そうではありませんか」と呼びかけました。これに応じて多くの自民党議員が示し合わせたように立ち上がって拍手。首相も壇上で拍手し、演説が中断。大島理森議長が注意する事態となりました。
 
 27日の衆院議院運営委員会理事会で「首相の行為は不適切」との認識で与野党が一致。自民党理事が「政府に対して『気をつけてほしい』と伝えたい」と表明していました。
 予算委では細野氏が演説時の状況について「この国の国会ではないのではないかと錯覚すら覚えた」と述べたことに対して、首相が「どの国だというのか。あまりに侮辱ではないか」と気色ばむ場面もありました。
 
 
スタンディングオーションが気持ち悪いのではなく、
「兵隊さんありがとう」が気色悪いのだ。
日々雑感 2016年10月1日 
<「スタンディングオベーションをすると叱られるというのは、グローバルスタンダードに合っているのか」。自民党の高村正彦副総裁は30日の役員連絡会でこう語った。
 米国議会の大統領演説では聴衆が立ち上がる場面がよく見られる。高村氏の発言は「国際標準」を持ち出すことで、批判をかわす狙いとみられる。党幹部の一人は「起立して拍手することを禁じている国などない」と語った。
 首相は衆院本会議での所信表明で領土や領海の警備を続ける海上保安庁、警察、自衛隊の活躍を挙げ、「今この場所から、心からの敬意を表そう」と呼び掛けた。首相自身も壇上で拍手したが、長引いたため大島理森議長が「ご着席ください」と議場を制した>(以上「毎日新聞」より引用)
 
 スタンディングオーションが気持ち悪い、といっているのではない。ことさら安倍氏が「警察、海保、自衛隊の各員に感謝の念を捧げよう」と呼びかけたのに対して、自民党議員が立ち上がって拍手した映像が戦前・戦中の国民学校児童が先生に唱和して「兵隊さんありがとう」と言わされていた図と重なって見えたから気色悪いのだ。
 高村氏がスタンディングオーションを禁止するのはグローバルスタンダードに合っていない、と発言したのはお門違いだ。なにもすべてのスタンディングオーションが悪いといっているのではない。「兵隊さんありがとう」と自民党国会議員が総立ちして拍手したのが、戦前・戦中の国民学校生徒でもあるまいに、と感じたからに他ならない。
 
 確かに安倍自公政権になって軍靴の響きが耳元で聞こえ始めた。彼が首相になって、日本はいきなり好戦国になったかのようだ。南シナ海に軍事基地を建設するなどして進出した中国に対して、日本の首相が中国を牽制するのはなぜだろうか。
 中国は南シナ海で日本は当事国ではない、余計な口出しをするな、と批判している。確かに中国のいうとおりだ。日本は南シナ海に領空も領海も有していない。そうした意味では日本は当事国ではない。
 ただ安倍氏の理屈は南シナ海を日本の船舶が多く航行しているから、シーレーンを守る意味から日本も当事国だ、というものだ。しかしそれは屁理屈というべきだろう。そうした伝でいけば世界中の出来事が日本も当事国ということになるそれは大変危険な発想だ
 
 奇しくも高村氏はグローバルスタンダードという言葉を使った。平和憲法を制定していて軍隊(グローバルスタンダードに照らせば自衛隊は軍事力世界第10位の軍隊だ)を保有するのは立憲主義国のグローバルスタンダードにそぐわないのではないだろうか。
 安倍氏の下で自民党国会議員も日本の好戦国化を推し進めているかのようだ。「戦争法」制定はまさにその象徴だが、戦前の治安維持法に勝るとも劣らない「緊急事態法」の制定を目論んでいる。歴史に学ばない愚者たちの集団だと批判するしかない。そして愚者たちを選出する国民・有権者も戦争の体験に学ばない愚者以下だと敢えて批判する。