2016年9月4日日曜日

04- 年金積立金 巨額損失後に4兆円投入

 このところ米FRB議長が利上げに前向きな発言をしたことで、1週間ほど円安傾向がつづき株価も上昇していますが、これは一時的なことで逆に超円高になるサインが点灯したといわれています。そうなれば株安になり、年金資金や政府資金を使っての株の買い支えがさらに行われることになります。
 
 政府筋の機関が株を買い支えた場合株高でも株を売り抜けることはできません(=そうすると株が暴落する)。
 従って最終的に株バブルが破たんしたときに、投機筋が売り浴びせて下がり切った株価がそのまま国民の懐に残ることになります。年金積立分の数十兆円が二束三文になるということです。 
 
 しんぶん赤旗によれば、それ以前の段階の株価下落時に買い支えだけでも既に莫大な損失を出しています。ということは最終的な惨状はもう火を見るよりも明らかなのですが、この政府の身勝手な暴挙を誰も止められないのでしょうか。
 政府は買い支えを止めれば株が暴落するというでしょうが、どのみち最終的に暴落した株が国民の懐に残ることに変わりはありません。
 日刊ゲンダイの記事も併せて紹介します。
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年金積立金 巨額損失後に4兆円投入
損失膨張 株価下落時に買い支え
しんぶん赤旗 2016年9月3日
 公的年金が昨年夏以降、株価が下落しているにもかかわらず、4・4兆円を株式に追加投資していたことが本紙の調べで分かりました。同時期、資金運用全体のうち、国内・国外債券での運用を除き、国内・国外株式での運用に限ってみると、14兆円近い損失を出していました。株価の大幅下落によるものです。4・4兆円もの追加投資は、株価を最重視する安倍晋三政権の意向を反映したものです。株価の下落局面で、年金が株式の買い支えに使われたことを示しています。(佐久間亮)
 
 公的年金の運用資金は国民が納めた年金保険料が原資です。運用額は約130兆円で主に国内外の債券や株式に投資しています。市場運用の目的は「年金事業の運営の安定に資する」こと。短期間で巨額の損失が発生する株式は、年金の安定を危うくする不安定要因であり、運用資産とするのは問題です。
 
 事実、株式市場が低迷する中、公的年金は2015年7~9月期に株式で8兆円の損失を計上しました。年明け以降も、世界経済減速や英国の欧州連合(EU)離脱決定の影響を受け、1~3月期5・9兆円、4~6月期4・7兆円と巨損を連発。15年7月以降の損失は14兆円に達しました。
 
 安倍政権は14年10月、公的年金の運用方法を見直し、安全性の高い国内債券の比率を60%から35%に引き下げる一方、株式比率を24%から50%へ倍増しました。株式比率を1%上げるだけで1・3兆円の資金が株式市場に流れ込みます。公的年金で株価をつり上げアベノミクスを正当化する狙いでした。
 
 官邸主導で国内債券から株式への資金移動が決められた結果、株式運用の危険が顕在化した15年7月以降も、公的年金は国内債券から5・8兆円の資金を引き揚げ、そのうち4・4兆円を株式に移す事態が生じたのです。14年10月の運用見直し以降の株式への追加投資の合計は12兆円。安全性の高い資産を減らし、株式比率を増やしたことが株価下落局面での損失を膨張させる要因になっています。
 
 
エコノミストも警鐘 …市場騒然“超円高サイン”が点灯中
日刊ゲンダイ 2016年9月3日
 金融市場で不気味な囁きが広がっている。
 「超円高のサインが点灯したといわれます。米の利上げ観測で、このところ円安に振れていますが、週明け以降、円高に逆戻りする危険性があります」(市場関係者)
 米FRBのイエレン議長が利上げに前向きな発言をしたことで、ここ1週間ほど円安傾向が顕著だ。発言前は1ドル=100円前後だったが、2日は103円台半ばまで下落した。
 円安の流れを受け、株価は上昇。日経平均は1万7000円に迫る勢いを見せている。
 「ただ、日経平均は1万7000円の壁を突破できない。7月高値は1万6938円で、8月高値は1万6943円。9月に入ってからの高値も、1日は1万6941円、2日は1万6946円です。壁を越えられないのは超円高への警戒だといわれます」(証券アナリスト)
 
■デッドクロス出現後は4回とも超円高に
 三菱UFJモルガン・スタンレー証券のリポート(8月29日付)が“円高サイン”を指摘した。ドル円相場の超長期移動平均線(12カ月と24カ月)を分析したもので、7月末に「12カ月線」が「24カ月線」を上から下に抜くデッドクロスが起きたという。90年以降、4回出現し、その後は例外なく超円高に向かっている。
 91年3月のデッドクロス後は、95年4月(1ドル=79.75円)まで円高が進行。上昇率は43%だった。その後も、99年、03年、08年に出現し、上昇率は16.9%、15.2%、29.0%を記録している。
 株価は大幅下落だ。直近の08年を見ると、日経平均は年初の1万4691円が、年末に8859円まで落ち込んだ。わずか1年間で4割も下がった。
 「米利上げ観測が遠のいたら、一気に円高へ振れ、株安になりかねません。いまは、その危険性をはらんだ危うい相場なのです」(第一生命経済研究所首席エコノミストの熊野英生氏)
 08年並みの円高(上昇率29.0%)となったら、1ドル=73円レベルだ。日経平均は4割下落で、1万1070円となる。
 戦慄の相場が到来するかもしれない。