2016年9月20日火曜日

20- 防衛省 PKO防護用兵器開発の方針

自衛隊PKO重武装化 防衛装備庁 中長期方針 活動中の攻撃想定
東京新聞 2016年9月19日
 国連平和維持活動(PKO)に参加する自衛隊に将来必要となる装備として、防衛装備庁が、武装勢力による迫撃砲攻撃や自爆テロに対応するための兵器を開発する方針であることが分かった。これまでPKOに派遣された自衛隊は、道路などの施設整備や物資輸送が中心で、隊員が持つ武器は護身用の拳銃や小銃、宿営地を守る機関銃に限られていた。同庁の開発方針は、PKOの危険性が今後、増大することを前提としている。(新開浩)
 
 防衛装備庁は八月、今後二十年程度の間に必要になると見込まれる装備開発の方針をまとめた「中長期技術見積もり」を作成。弾道ミサイル対処や離島への侵攻阻止と並び、PKO部隊の装備を拡充させる必要性を指摘した。見積もりは、PKO部隊が武装した反政府勢力に攻撃される事態を想定し、現状の最小限の装備では活動が困難になる可能性を指摘。開発が必要な装備として(1)宿営地に撃たれた迫撃砲弾を迎撃する機関砲(2)活動中の隊員への自爆テロを防ぐ爆発物の感知センサー(3)空輸中の自衛隊機を狙う対空ミサイルに対する防御機能-などを挙げた。
 
 見積もりは二〇〇七年に初版が作られ、今回は九年ぶりの改定。初版にも、PKO用の装備を開発する方針は盛り込まれていたが、地雷除去や情報収集のための無人機・ロボットの開発が主要テーマで、隊員が武装勢力に攻撃を受ける事態は想定していなかった。
 防衛装備庁は、安全保障関連法に規定された新任務の内容は改定に反映させなかったと説明している。同庁は昨年十月、安保法の成立に続いて発足し、見積もりの改定作業を本格化させた。改定版は安保法に基づく新任務の訓練が八月に始まった直後にまとまった。
 
 防衛省は、南スーダンPKOに十一月に派遣する交代部隊に「駆け付け警護」を新任務として付与した場合でも、隊員に持たせる武器は現状と同様、拳銃などにとどめる方針だ。部隊の活動は道路などの施設整備が中心で、重装備は必要ないと判断している。